- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784323010113
感想・レビュー・書評
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子供の頃に一度、おとなになってから前にたぶん一度読んで、映画も(どれかわからないけど)見た、古いおはなし。
でもまたすっかり忘れていて、小豆島ののんびりと牧歌的な小さな分校の先生と生徒のお話、くらいに思い込んでしまっていた。それも間違いではないんだけど(昭和の始めの小豆島は確かにのどかだと思う)、実はもっと骨太で芯のある話だった。壺井栄さんだものね。
女性の生き方、参政権とかそういう立派なことじゃなくて1人の人間として自分の可能性と幸福を追求する権利のようなもの、そういうことを訴える姿勢を強く感じた。女性に限らず、子供たち、かな。それは今でも言われ続けていることで、いわゆる貧困の連鎖と子供の将来が生まれでほぼ決まってしまう可能性は未だに解決されていない。
境遇によって翻弄される弱者への哀しくも優しいまなざし。
『今ではもう人の記憶から消え去ったかに思える松江といい、今また富士子といい、どうして彼女たちがわらわれねばならないのか。しかし、大石先生の心の中でだけは、彼女たちも昔どおりいたわられ、あたためられていた。』
という文が胸を打つ。
この本が戦後間もない昭和27年に(なぜかキリスト教系雑誌に連載で)刊行されたことに、壺井さんの思い、その時代の人々の思いを感じる。
古いんだけど古めかしくない、名作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
奥付:1994/11 48刷
これで読書感想文を書いた。
時代背景(戦争)は暗くて、つらいのに、子どもたちと先生はとてもあたたかい交流をしていて、その関係性が好きだった。