統治と功利

著者 :
  • 勁草書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326101696

作品紹介・あらすじ

リベラリズムを構想する政治理論として古典的功利主義を現代的に再構成。今日の問題に応答する新しい功利主義像を偏見に抗して力強く描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 【書誌情報】
    『統治と功利――功利主義リベラリズムの擁護』
    著者 安藤馨
    ジャンル 哲学・思想・倫理
    出版年月 2007年5月
    ISBN 978-4-326-10169-6
    判型・ページ数 A5・328ページ
    定価 4,400円(税込)

    本書では、個人が何をなすべきかではなく、いかなる法・国家制度が望ましいかを問う「統治理論としての功利主義」に焦点を当ててその構想の輪郭を描き出す。時代遅れの教説として真剣な検討の対象にさえされないといった戯画化された功利主義批判に一石を投じ、統治功利主義がリベラリズムの最良の構想でありうることを明らかにする。
    https://www.keisoshobo.co.jp/book/b26673.html

    【簡易目次】
    はじめに

    第I部 功利主義の諸形態と具体像及びその内在的批判

    第1章 統治理論と個人道徳
     1.1 統治理論と個人道徳の差
     1.2 統治功利主義の名宛人
     1.3 制度と個人
     1.4 総督府功利主義
     1.5 正義の理論としての統治功利主義
     1.6 小括

    第2章 行為功利主義と規則功利主義
     2.1 功利主義的一般化
     2.2 功利考量対象の規則への限定
     2.3 最適規則体系の条件
     2.4 統治功利主義に於ける規則の位置
     2.5 小括

    第3章 直接功利主義と間接功利主義
     3.1 客観的評価と主観的受容
     3.2 間接帰結主義に対する批判と応答
     3.3 間接帰結主義のモデル

    第4章 厚生と内在的価値
     4.1 善の功利説
     4.2 指標的功利説
     4.3 それは「誰」の厚生か?

    第5章 主観的功利説と客観的功利説
     5.1 客観説
     5.2 主観説

    第II部 功利主義に対する外在的批判とその検討

    第6章 帰結主義批判と応答
     6.1 帰結主義について
     6.2 帰結主義と個人

    第7章 厚生主義批判と応答
     7.1 適応的選好形成
     7.2 快楽生産の効率性

    第8章 総和主義批判と応答
     8.1 方法論的個人主義による総和主義の論証
     8.2 経済学的論証
     8.3 還元主義的人格観

    第III部 功利主義とリベラリズム

    第9章 善と正義 功利主義はリベラルか
     9.1 善に対する正義の基底性
     9.2 功利主義はリベラリズムの「劣った構想」か

    第10章 功利主義に於ける国家と個人
     10.1 統治手段としての自律
     10.2 国家介入の境界

    結語

    文献一覧
    あとがき
    索引


    【抜き書き】
    ・『統治と功利』p.293-294
    「我々は統治功利主義がリベラリズムの一構想として理解されること、それがリベラリズムの最良の構想であり得ることを主張し、リベラリズムとしての統治功利 主義が国家或いは法の限界問題に対して基礎的快の侵害の有無という他者危害原理的基準を以て応答することを簡単に確認した。また、今後も統治技術の着実な 発達が続くならば到来すべき状況の下で、という留保を付しつつ「人格亡きあとのリベラリズム」としての統治功利主義を素描した。ここに於いて統治功利主義 は、「人格」の解体を容認し一定の範囲でそれを推進しもするという、現在の政治哲学的立場の多くから隔たった地点に立ち、その急進性を露にしたのである。」

  • 天才。

  • むずい
    再読しないと

    私が知りたいことが書いてある(と思う)

  • パーフィットを援用し、「人格」の内在的価値を否定する議論が刺激的だった。(「個人」がその「個人」自身の利益を最大化しようとすることに、なんら根源的な正当性は認められない。人格という概念自体、人々が幸せになるのに都合がよかったために、仮構された概念なのである。実際は瞬間瞬間の意識状態があるだけだ)。

    そこからさらに、アーキテクチャ的統治の技術的発達(おすすめ機能、POSなど)によって、統治単位を「個人」から「瞬間的意識」へと移行させることができるという展望が述べられたときは目から鱗が34枚ほど剥がれ落ちた。

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著者プロフィール

神戸大学准教授

「2017年 『法哲学と法哲学の対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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