瀬名秀明ロボット学論集

著者 :
  • 勁草書房
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本棚登録 : 76
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326101856

感想・レビュー・書評

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  • アシモフの作品と晩年の彼のようすを取り上げ、彼が作中のロボットに自らを投影していたのではないか、とする部分がおもしろい。
    ロボットを擬人化せずにいられない人間の考察は他の研究者の著にも見受けられるものの、人間がロボットに近付いていくようすについてはこの一冊のものが最もしっくりくるように感じた。
    「私たち人類は数千年、数万年をかけて、ヒトというキャラクターを黙々とつくり上げ、世界観を構築してきた。それはヒトというキャラクターや人間社会という世界観を実世界から離昇させるための、長い助走に過ぎなかったのではないか。その滑走路にあたるものが、すなわちロボットだったのではないか」

  • Thu, 05 Feb 2009

    某学会誌に書評を書くことになって,〆切り間近に勢いで読んだ.
    とはいえ,500頁ほどあってしんどかった.
    瀬名秀明氏がこの五年ほどでロボット関係の話で行った対談や講演が収録されている.
    語り下ろしってやつやなー.


    瀬名さんは,國吉先生とか浅田先生とか,いわゆる認知発達ロボティクス関係のコミュとおつきあいが深く,
    最近は今年のロボット大賞の審査員など,いろいろやってはる.


    内容はSF作家との対談や学会での講演など.


    第Ⅱ部「「デカルトの密室」を解き明かせるか」では’05~’06に早稲田大学や東京大学で行われたゼミでの対談や講義が収録されている.
    そこでは特に筆者が’05年に発表した小説「デカルトの密室」についての議論が中心に展開される.
    デカルトの心身問題が議論される中で,攻殻機動隊やイノセンスといった先端のSFアニメ作品でのストーリーを交えながら議論が進む.
    アニメ,ゲーム,SF小説といった,枠に囚われないロボット意識についての議論は面白い.
    しかし,筆者の「デカルトの密室」を読んでいなければついて行き難いのは本書の難点であろう.

    ミステリ小説における後期クイーン問題とロボット研究の相同性を指摘するあたりは作家独自の視点といえ面白い.

    推理小説中の探偵が犯人を見つけられるのは作家が必要なだけの証拠を探偵に渡すためであり,探偵はその制約の中での解しか見つけることが出来ず,もしそれ以外に解があったとしても到達出来ないに為に真実に到達する事が出来ないという,多少メタな問題がある.
    これが後期クイーン問題である.
    知能研究では設計者が課題を限定し,その中でロボットにタスクを解かせ知能を検証する.その構図が後期クイーン問題と同型的に映るのだと筆者は言うのだ.

    語りおろしはやっぱり,書籍のクオリティとしては厳しくなりがちですね.

  • 講演集なので分量の割にはすんなり読めた。新書の「インフルエンザ21世紀」の方がボリュームあるくらい。ただ講演集のため内容の重複が多くて、中盤以降は読んでて若干だれることがあるのはある。でも瀬名秀明の洞察と言語化能力は特筆すべき。この人も科学と人文をつなぐ知の巨人と言っても差し支えないと思う。

  • ロボットに関する研究・文学・哲学それぞれをかいつまんで勉強できる。
    推理作家である著者ならではの視点も興味深い。

    ①ロボットが内包する“物語”と、物語の身体性という切り口
    ②ロボットに私たちが感じる“違和感”。その「境界知」からわかる知性と創造性、信頼、視点について
    ③ミステリにおける後期クイーン問題と、ロボットの実験の類似性…。

    ロボットは心を持ちうるかという鉄板の議論もあり。
    心身二元論については軽く触れるだけ。

    現代は、構成論的アプローチで人間性に迫る時代のようです。

  • 一気読み。久々に附箋片手に読書。
    色々積読している小難しい本を読もう。

  • ロボットや人工知能を取り扱ったフィクションや研究などを、小説家である瀬名さん独自の視点でまとめている。

    特に興味深かったのは、現在のロボット研究が陥っている状況と"後期クイーン問題"との類似を論じている箇所。「現在のロボットに実装されている知能は、開発者が想定している箱庭でしか通用しないものである」という指摘は非常に的を射ている。

    SF作家・アニメ監督へのインタビュー、人工知能系の研究会へのコミットメントなど、取材を精力的に行っており、いろいろな角度からロボットを捉えようとしている所にも好感を覚えた。こんなにも理性的かつ文化的な観点から"ロボット"を洗い直した著作というのは、なかなか見当たらない。
    欲を言えば、ガチなロボット研究者との対談なども加え、工学的な観点も盛り込んでほしかった。

  • ロボットを取り扱った漫画や小説などを、時系列で独自の視点からまとめています。ロボット好きなら読んでおいて損はないです。

  • 攻殻機動隊がらみで書かれているところ、特に興味深かったです。
    ロボット学が哲学・心理学・生物学・社会学とも深く関わっていくことを知り、面白そうでいいな~と思いました。生きてるうちにロボットがパートナーになる世界、くるだろうか・・・。楽しみ。

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著者プロフィール

1968年静岡県生まれ。東北大学大学院薬学研究科博士課程修了。薬学博士。小説『パラサイト・イヴ』(1995、角川書店、2007、新潮文庫)で第2回日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。SF小説をはじめ、ロボット学や生命科学など科学に関する著作多数。小説作品に『BRAIN VALLEY』(1997、角川書店、2005、新潮文庫。第19回日本SF大賞受賞)、『ポロック生命体』(2020、新潮社)など、ノンフィクション作品に『パンデミックとたたかう』(2009、岩波新書。押谷仁との共著)、『ロボットとの付き合い方、おしえます。』(2010、河出書房新社)などがある。

「2020年 『宇宙・肉体・悪魔 [新版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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