〈現在〉という謎: 時間の空間化批判

著者 :
  • 勁草書房
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感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326102778

作品紹介・あらすじ

いまこの瞬間、私たちがありありと感じる「時間の流れ」は幻想にすぎないのか? 哲学者と物理学者が真正面から「現在」を論じ合う!

自然科学における時間は、私たちが感じる「ありありとした現在」を否定し、結果的に哲学者には時間を「空間化」しているように映る。時間や現在に対するそうした捉え方の違いはどこにあるのか。好評を博したシンポジウム「『現在』という謎」を軸に、物理学と哲学それぞれの立場からのコメントと応答も盛り込む、唯一無二の時間論集。

感想・レビュー・書評

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  • 私は自然科学の高等教育を受けてきた人間である。それゆえか、物理学者のコメントは私の考えをかなり精度よく代弁したものになっていたため、この形式は画期的だった。

    宇宙そのものに言及していく形而上学的な時間論には意義を見出せなかった。森田先生は宇宙の時間の流れについて幾つかのモデルを紹介している。それらは経験論的には同一であるが「形而上学的には異なる」という言い方がなされていた。経験的には同一であるものの差異の重要性についてはもう少し掘り下げてほしかった。

    ベルクソン的な時間観、インド哲学における時間観が説明されている章は非常に面白かった。特に後者は、普段我々が暗黙に前提としているデカルト的な時間観を丸ごと相対化するものであったため、東洋の時間論ひいては東洋思想全般に対する興味を掻き立ててくれた。

  • 【書誌情報】
    編者:森田邦久
    4,200円+税
    出版年月日:2019/09/26
    9784326102778
    A5 320

    自然科学における時間は、私たちが感じる「ありありとした現在」を否定し、結果的に哲学者には時間を「空間化」しているように映る。時間や現在に対するそうした捉え方の違いはどこにあるのか。好評を博したシンポジウム「『現在』という謎」を軸に、物理学と哲学それぞれの立場からのコメントと応答も盛り込む、唯一無二の時間論集。
    http://www.keisoshobo.co.jp/smp/book/b477659.html

    【メモ】
    ・参加者の一人による補遺(?)というか、通称「谷村ノート」。
    http://www.phys.cs.is.nagoya-u.ac.jp/~tanimura/time/note.html


    【目次】
    はじめに[森田邦久]

    第1章 物理学における時間――力学・熱力学・相対論・量子論の時間[谷村省吾]
     コメント:物理学における時間と時間の形而上学[佐金武]
     リプライ:物理学の概念を形而上学で塗り重ねてもすれ違いになるだけではないのか[谷村省吾]

    第2章 時間の問題と現代物理[筒井泉]
     コメント:時間の「逆行」とはどのような現象か?[小山虎]
     リプライ:量子力学での因果関係と哲学的視点[筒井泉]

    第3章 現代物理学における「いま」[細谷暁夫]
     コメント:物理学者からの問題提起に答えて[小山虎]
     リプライ:物理にも哲学にも伝わっていないこと[細谷暁夫]

    第4章 客観的現在と心身相関の同時性[青山拓央]
     コメント:哲学者に考えてもらいたいこと[谷村省吾]
     リプライ:まず問いの共有を[青山拓央]

    第5章 時間に「始まり」はあるか――哲学的探究[森田邦久]
     コメント:物理学者が哲学者の時間論を読むとこうなる[谷村省吾]
     リプライ:哲学者も物理学を無視しない――形而上学と物理学の関係性[森田邦久]

    第6章 「スケールに固有」なものとしての時間経験と心の諸問題――ベルクソン〈意識の遅延テーゼ〉から[平井靖史]

    第7章 非可逆的な時間は実在するのか?――ベルクソンとプリゴジンの時間論の検討[三宅岳史]
     コメント:自然を判定の鑑とする物理学――第6章&第7章へのコメント[筒井泉]
     リプライ:木には木の、森には森の描き方を[平井靖史]
     リプライ:科学と哲学の間――モデル構成の必要性[三宅岳史]

    第8章 時間論はなぜ「いま」の実在の問題となるのか――インド仏教の視点から[佐々木一憲]
     コメント:「いま」という時からの眺め[佐金武]
     リプライ:対岸からの視界[佐々木一憲]

    あとがき[細谷暁夫]
    索引

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著者プロフィール

1971年兵庫県姫路市生まれ。現在、大阪大学大学院人間科学研究科准教授。博士 (理学)、博士 (文学)。専門は科学哲学。主な著書に『科学とはなにか』(晃洋書房)、『量子力学の哲学』(講談社現代新書)、『科学哲学講義』(ちくま新書) 、『アインシュタイン vs. 量子力学』(科学同人)など。

「2020年 『時間という謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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