暴力のオントロギー

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326151127

感想・レビュー・書評

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  • 抑圧されたものは必ずどこかで突出場面を見出すし、また見出すように通路付けを行わなくてはならない。社会形成の原点は規則ではなく、規則を形成させる動員たるべき暴力と闘争。

    未開社会とはひとつにして全体であろうとする不分割の社会、階級無き社会、支配するものとされるものへの分割がない社会、社会から分離した権力装置のない社会。首長が威信だけをもち、権力をもたないこと、首長制と権力との分離、これが国家無き社会。ーいや、未開社会は完成した、充実した、成熟した社会だからこそ権力を持たない。社会が未分割であり、不平等が生まれないようにすること。つまり政治的なもの、政治権力の出現と戦う権力。未開の平和は社会システムが絶えずに産出するもの。

    ”本当の意味で平等な社会”とは何か?

  • 私は自分が暴力的だという自覚がある。言葉や行為によって幾度も誰かを傷つけてきたという思いがあるからだ。そんな私は、学習や人格の陶冶によって暴力的な部分を自分の中から除去することができないものかと思い悩んでいた。

    しかし、そもそも暴力は人間存在の根源にとりついていて、それを引き剥がすことはできないらしい。そして暴力と闘争は社会形成の根源的な要素である。社会は人間と人間の関係から生じる。そのため、社会形成の原理はそのまま人間関係の原理ともなる。

    しかも暴力は暴力によってしか封印できないようで、今村さんが提唱されるのは「第三項排除の論理」である。人類はこの論理に従って血で血を洗う暴力による闘争を封じ込めてきたそうである。

    A、B、Cの三者から成る共同体があるとする。そこでAとBとCがいて互いが闘争し合う。そのままであれば三者とも傷つき、最後にはみなが死に絶え共同体としては滅びるより他ない。それを避けるためにAとBが心をひとつにしてCを排除する。報復されないくらいに痛めつけ共同体の周辺に存命させるか場合によっては殺害する。こうすることによってAとBは互いを認め合い秩序を形成し共同体存亡の危機を回避する。

    まったくいじめの原理である。人間から暴力を消し去ることができないように暴力に根ざすいじめも消し去ることはできない。せいぜい暴力の発現形態をもう少しましなものにずらす他ない。

    平和を目指すためには暴力と闘争の渦巻く地獄のような社会の深層を見据えることを避けられないようだ。まだまだ勉強しなければならない。でも、何となくこれは男の論理のような気がするな…女の人はたぶん違うように考えて答えをだす。


    Mahalo

  • ほとんどが第三項排除について書かれている。
    ただ一人を全員一致で排除し暴力を加える事で他のメンバーは市民社会の一員である事を確認し安定する。
    ルネ・ジラールの著作を読みたくなった。

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著者プロフィール

1942年岐阜県に生まれる。1970年京都大学経済学部大学院博士課程修了。元東京経済大学教授。2007年歿。著書『交易する人間』(2000、講談社)『清沢満之と哲学』(2004、岩波書店)『抗争する人間』(2005、講談社)『マルクス入門』(2005、筑摩書房)。訳書 ブルデュ『実践感覚』全2巻(共訳、1988/1990、みすず書房、新装版2001、新装版2018)アルチュセール他『資本論を読む』全3巻(1997、筑摩書房)マルクス『資本論』第1巻(共訳、2005、筑摩書房)ほか。

「2018年 『実践感覚 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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