戦争の論理―日露戦争から太平洋戦争まで

著者 :
  • 勁草書房
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326248353

作品紹介・あらすじ

歴史の闇に埋もれた戦争にまつわる制度や組織や論理を精緻に発掘する。

感想・レビュー・書評

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  • 日露戦争から太平洋戦争終結直後の期間、政治的なパラダイム転換を来した一要因である「戦争」「戦争の準備」に関する言説・政治指導者の方向性を丁寧に読み解く書。また、短いものの十章「政治史を多角的に見る」が有益な史的視点を与えてくれる。2005年刊行。著者は東京大学大学院人文社会系研究科助教授。

  • 在郷軍人会と田中義一内閣。軍縮会議の様子が良く理解出来た。

  •  本書は「日露戦争から太平洋戦争」までの「戦争の論理」を詳細に考察することを目指したものである。
     本書の「はじめに」を読むと、「床屋談義レベル」の歴史問答ではなく、歴史小説や歴史評論によく見られる安易な軍部批判を超えた緻密な考察を目指したことはわかるが、本書を読み終わって、その目的が成功しているようには思えなかった。
     昭和戦前期から太平洋戦争に至る中での「軍の論理」や「田中義一と在郷軍人会」が目指した政治システム、「日露戦争」直前の日本の国内動向等の詳細な考察は、それなりに一般に語られている雰囲気とはだいぶ違っていたことが、本書でわかる。
     しかし、それが歴史的にどのような意味と位置を持つのかがよくわからないと感じた。
     歴史を見るには、よく「鳥の眼と蟻の眼」があると言われる。本書は、「蟻の眼」の本なのだろう。本書の「田中義一の政治活動」や、「日露戦争」直前の国内動向、「ロンドン軍縮条約問題」当時の「宮中グループの政治力」など、それ自体興味を引く調査・考察はあるが、歴史の大きな流れを指摘した上での考察ではないように思える。
     本書は、歴史の考察としては「生煮え」なのではないだろうか。残念な本であると感じた。

  • 図書館で借りてきた本。

    わたしにとっては随分難しすぎた。読めない漢字も多かった(苦笑)

    あと、歴史を流れで話すというわけではなく、すごく細かい部分1点を細かく述べているので、全体的な流れが未だによく分かってない自分にとっては、言ってることの半分も分からなかったのではないか。

    なんか無理矢理読み終えた、という本だった(汗)

  •    5 おわりに
     これまで、第一次世界大戦期における日本側の対外的危機意識は、大戦終了後のパリ講和会議で展開された各国の活発な外交に適応できなかった日本外交に対する国民の絶望という点で捉えられてきた。しかし、パリ講和会議において醸成された日本側の対外的危機意識は、単に新外交や宣伝
    情報戦に適応できなかった日本全権掃の間抜けな行動を憤慨するといった、表層の怒りによって出
    てきたわけではなかった。日本側の不満は、開戦以来五年の長きにわたって蓄積されてきたもので
    あり、国家の主権や人種の尊厳にかかわる原理的な問題として捉えられていたのであった。国家主
    権という、根本的な部分で、日本がいまだ西欧列強からの圧迫を受けているのかもしれないと考え
    ることは、日本のアジアにおける安定的な支配を脅かすものと捉えられた。
     ?開戦当初における中立中国と中立アメリカの良好な協調ぶりへの困惑、?同盟国イギリスと、
    太平洋の対岸にあるアメリカが、日本の参戦時に加えた戦域制限などに対する原理的な怒り、?勝
    敗が決することなく世界戦争が終わり、その後には中国を舞台とする経済戦が始まるとの暗い予想、
    ?パリ講和会議の山東問題において日本の法理上の解釈が通用しなかったこと、?アメリカ上院に
    おけるウィルソン攻撃の材料として山東問題が使われたことに対する失望と困惑。筆者はこうした、
    日本側に生まれた、根の深い対外的危機意識が、日本において広い国家改造要求を生み出したと考えている。このような対外的危機意識は、アジア諸国に対して日本を盟主とした結集を訴えるもの
    ではなかったので、これまで必ずしも十分に分析されてこなかった。しかし、英米との平和的な関
    係が築かれていたかに見える第一次世界大戦前後において、国家改造要求を伴う対外的危機意識が
    醸成されていたことの意味は大きい。アジア主義の一つの重要な潮流が、この時期にたしかに生ま
    れていたのである。

  • 日米開戦の必然性が「大阪冬の陣」の故事になぞらえて説明され、日露戦争の勝利がその真実を隠し、あたかもドラマチックな敵前大回頭後の30分によるものとされるほど、史実を見つめない、日本。そうした「歴史の闇に埋没」された事実に目を向けることを示唆する刺激的な論考集です。
    「日本においては、歴史書ではなく講談や歴史小説のインパクトが国の命運を左右しもする」との指摘は丹念な史料調査に裏付けられたとき、コワくもあります。

  • 『毎日新聞』に村上陽一郎の書評あり。おもしろそう。
    http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/dokusho/news/20050807ddm015070103000c.html

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プロフィール

加藤 陽子
1960年、埼玉県大宮市(現、さいたま市)生まれ。1989年、東京大学大学院人文社会学系研究科修了(文学博士)。現在、東京大学大学院人文社会学系研究科(日本史学)教授。専門は日本近現代史であり、特に1930年代の外交と軍事を中心に研究を続けてきた。
著書『徴兵制と近代日本1868-1945』(吉川弘文館、1996年)、『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書、2007年)、『昭和天皇と戦争の世紀』(講談社、2011年)、『模索する1930年代』(山川出版社、2012年)、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(新潮文庫、2016年)、『戦争まで』(朝日出版社、2016年)などがある。

加藤陽子の作品

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