- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326301607
作品紹介・あらすじ
パラダイムシフトをもたらした名著をついに完訳。国と国との関係を決めるのは何か?政治家の手腕か?国家の体制か?国際政治のダイナミクスを科学的に考えぬき、国際システムの構造に光をあてる。
感想・レビュー・書評
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3990円購入2010-06-09
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[枠の話]既存の国際政治学の見方に一石を投じ、その学問のあり方を変えるまでに至ったとされる一冊。理論としての国際政治を明確に打ち出し、ネオ・リアリズムとも呼ばれる学派の形成に一役買ったことでも知られています。著者は、アメリカ政治学会会長を務めたことでも知られるケネス・ウォルツ。訳者は、早稲田大学政治経済学術院で教授を務めた河野勝と安全保障関係に関する著作を多数世に送り出している岡垣知子。原題は、『Theory of International Politics』。
はっきり言って前半部はとても難解でしたが、本書の重要部とも言える国際政治の構造に関する理論については、後の議論に大きな影響と反響をもたらしたこともあり、国際政治学に興味のある方にとっては読んでおいて損はないかと。著者が示した理論(それが決定的に正しいかどうかは誰にもわからないのではないかと邪推しますが)をいかに応用していくかというところに、本書の醍醐味があるような気がしました。
〜国際政治の状況を国家の国内的性質から推論することはできないし、また国家の外交政策や対外行動の総和によって国際政治の理解に到達することはできないのである。〜
読後の疲労感がとてつもなかった☆5つ -
キッシンジャーは国際秩序がすべての大国によって受け入れられていれば政党であり、一国以上の大国がそれを拒否する場合は革命的であると定義した。
国際政治の理論は、なぜ戦争が繰り返されるのかを説明し、戦争が生じやすくなったり生じにくくなる条件を提示するものである。しかし、それは特定の戦争が起こることを予測するものではない。
国際政治の体系的理論は国家レベルではなく、国際レベルで佐藤している力を扱うものである。
国際政治の理論は、国際政治についての物語と同じく、各時代の大国の観点から書かれる。
国際政治理論は経済学、社会学、文化人類学、そのほかの非政治的分野の理論の確証を通して信頼性を獲得できる。アナーキーにおいては安全保障が最高次の目標。
勢力均衡理論は、国際政治を競争的な領域として描く。 -
ネオリアリズムを構築したケネス・ウォルツによる名著
国際システムが無政府的であることが国家を権力闘争に向かわせる要因だとする。そして、二極状態こそが国際システムを安定させる構造であることを解く。
この理論はあくまでも力の分布のみに着目する理論であるので、他の理論によってその説明の浅さはカバーされるべきである。
あと翻訳が遅すぎる。 -
とても強固である。この一言に尽きる。
と言ってもこれは装丁の話ではなく、その理論としての強度が尋常ではないという意味で、そう言える。
本書は80年代のアメリカにおける国際政治学を席捲した。その内容は、国際政治を分析する際には構造を見るべきであり、その構造とは即ちパワーバランスである、また国際システムとはアナーキーであるために自助的なシステムであり、そのために国家はパワーバランスについて注視して対応する、というのが凡そであるから、そこまで極端なことを言っているわけではない。
しかしその理屈も、国内の事情を勘案せずに分析されるとなると、それは極端であると、非難の対象となる。その上彼は、ミクロ経済の議論に則り、自身の理論が現実の結果と異なることも大した問題でない、とする。そうした自己擁護のために、全九章のうちの前半四章を費やしているのだから、そうそう論破できるものではない。是非ともこのロジックに舌を巻いて欲しい。
そうやって方々から叩かれたせいか、同時に誤解されることも多い。決して彼は国内政治が不在であるかのように述べたわけではない。パワー以外の要素が存在しないとも言っているわけではない。これはあくまで国際政治において、体系的に論ずるための理念型としての理論の提示であり、何より大事なのは、分析の際にどのレベルで物を語るのか、そしてそのレベルで物を語った際にはどういうことが言えるのか、という議論の厳密化と細分化なのだとウォルツは示しているのだろう。なお、アメリカにおいては、この後10年はこの土台の上での議論が続いたが、その事実がまた強固さを示しているのだと思う。 -
僕には少し難しかった。分かったことは、国際政治を見るときは幾つかの層(レイヤー)に分けて考えることが重要だということ。
独学で読むにはあまり向かないと思う。誰か指導者や友人を見つけて、一緒にレジュメを作成しながら読み解くような本。 -
ネオ・リアリストの大家であるウォルツの翻訳本です。
構造決定論的であるといわれているウォルツですが、
思ったより、そこまで単純化されていなかった。
一言でいえば、国家の能力によって、構造が構築され、それによって国家行動に制限を加えるということが書かれていました。
冷戦の時代に書かれたこの本が、当時に大きな影響を及ぼしたのは想像に難くない。
良い本です。