ネット炎上の研究

  • 勁草書房
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本棚登録 : 216
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326504220

作品紹介・あらすじ

インターネットが普及すれば多くの人が自由な議論の輪に加わり討論の民主主義が社会のすそ野に広がっていくと期待された。しかし論調は暗転し、ネット上での意見交換に悲観的な意見が増えてくる。この論調の暗転の大きな原因になったのがいわゆる炎上問題である。本書はこの炎上について定量的な分析を行うとともに、本書なりにその原因と社会としての炎上対策を示す。

感想・レビュー・書評

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  • 良書、というか、情報発信者で自分は打たれ弱いと思う人には必読の書と言える。
    ネット炎上に対してはこれくらい冷静に距離を取って客観的に観察・分析・対応するのが良いと思う。網羅的でありながら定量的。特に、炎上に加担するバカは0.5%程度、積極的に攻撃する狂者は1万人に1人以下のオーダーだということは現代の基礎知識として頭に入れておくべき数値。
    SNS禁止令を発するべきソシオパス数百人程度に網をかければ、ネットはもっと息苦しくなくなるかもしれないという希望と、本当にそうだろうかという不安。アリの集団のように、また別の数百人が攻撃者となったりして。
    これまでなら狭い社会の中でやり過ごし、無視し、時には吊し上げることで対処してきたノイジーマイナリティというやっかいものが、SNSを得たことで安全圏から手当たり次第に攻撃を加えることが可能となってしまった。
    これらごくごく少数の例外に対しては物理的対応(検挙、SNS禁止令)をやっていくしかないのだろうと思う。そうして風通しの良くなったネット社会を見てから死にたいものだ。
    サロン型SNSはピンと来ない。アンケート結果が示しているのはメンバーシップ制ではなく、ノイジーマイナリティの排除ではないのか?

  • 炎上に関して知りたいのは、やはり炎上のきっかけ、炎上が広がるメカニズム、炎上をさせている人の実態、動機、行動態様等々であるが、本書はそう言った炎上のメカニズムを理論的に整理、解明するものではなく(多少そういった話も出てくるが)、あくまでもデータに基づいた炎上の実態を分析するものである。

    そういった意味でちょっと購入の意図とは異なる内容ではあったが、しかしやはり学術的に丁寧に分析がなされているので、そこから導き出される炎上の実態については、説得力があり、興味深い内容であった。

    学術的なやり方としてはまあデータを取って統計的に分析するのはオーソドックなやり方だと思うが、ツイートが増加、拡散していくメカニズム・ネットワークをモデル化し、それを実際の炎上事例に当てはめて、炎上が広がりやすい・にくいネットワーク構造を特定するというのも研究としてはありだと思う。

    それが炎上を防止する一つの方策にもつながると思う。

  • オーソドックスにネット炎上を分類し、状況を分析し、原因を探り、政策的な対策を検討している。
    148ページまで読んだ

  • Internet
    社会

  • <閲覧スタッフより>
    SNSの投稿やブログでの発言に批判が殺到する炎上問題。大勢が加担していると思われていたが、実は少数の限られた人たちが起こす現象だった。アンケート調査やデータ分析をすすめると意外な事実がみえてくる。ネット炎上について学術的に研究した1冊。
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    所在記号:007.3||タナ
    資料番号:10233298
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  • ネット炎上の研究

    炎上について定量的に考察し、原因や対策について述べた本。

    アイスケースに入った学生の件などは、その後学生の通う学校側が謝罪文を出し、学生は専門学校を退学させられている。(撮影した人は入った人とは別人で退学していない?)

    被害にあったスーパーかすみは、お客様が営業時間中にアイスケースの中に入った事実を確認したためとして、アイスを全撤去し、ケースの清掃および消毒を実施する金銭的被害が出ている。

    炎上は2014年には年間400件程度発生しており、実被害が出るケースも少なくない。

    リツイートによる拡散ってバケツリレー方式だから、一括配信するニュースとかと違って情報の統制が効かなそうだと思った。影響力のある人は責任ある行動が必要。

    炎上により、有名人でなくとも炎上する可能性が出て来ている。

    英語では炎上をフレーミングという。ただし、より広い意味でインターネットを通じた一対一の罵り合いも含む。

    炎上をしっかり分類している。

    炎上には然るべき理由があるものと、

    (おせちが画像と違う問題など)

    とばっちりや逆恨みで受けるものがある。

    炎上事件へ書き込みをしたことのある人はインターネットユーザの0.5%と少数で、さらに炎上参加者の9割は一言コメントを述べるだけで攻撃しない。

    炎上参加者は子持ちの男性が多い。

    2ちゃんねるなどの炎上事件の実行犯は実は少ないことが多く!コメント数の大半を一人で埋めているような場合もあるという。

  • 第1章。炎上の基礎的データと概観。FacebookよりTwitterの方が炎上が起きやすい。使用したのはエルテス社のデータ。
    従来のマスメディアで批判が殺到する状態との違いは下記の4点。1.拡散力、2.情報発信の容易化、3.批判の可視化、4.サイバーカスケードの存在。
    第2章。最近の炎上事例を、対象や内容で分類。不適切な言行等が引き金になるのは想像できるが、批判の範囲にはほとんど難癖めいたものもあり、中には「他者と誤解される」のようにまったくの貰い事故もある。
    第3章。さらにいくつかの事例を取り上げ、炎上によって情報発信の萎縮が起きることを社会的コストと結論。2000年代初頭のネット楽観論など、いま見ると牧歌的。
    第4章と第5章は、本書の目玉。炎上参加者の数と属性について数量分析を行い、炎上参加者には「年収の多い、若い、子持ちの、男性」が多いと結論。一方「独り暮らし、学歴、ネット使用時間」などの属性は相関関係が見られなかった。
    またインターネットユーザーのうち炎上参加者はわずか1%、しかもリピーターが多く、ごく少数が起こしている現象。
    第6章では歴史的経緯を振り返り、他の暴力や権力について、長い歴史の中で暴走や濫用を抑える仕組みが作られてきたことを指摘。同様に情報発信力という力についても社会的に解決されるべきとする。
    第7章と第8章は対策編。「もともとが学術ネットワークであったインターネットでは一個人の情報発信力が非常に高く設計されておや、それを濫用する特異な人を想定していなかった。ここに炎上の原因がある」(p173)という指摘になるほど。初期のインターネットでは、ある程度閉ざされているゆえにフラットな情報発信でも成り立っていたという。対策として提唱されるのが閉じたサロン型ネットワークだが、この効果には自分はやや疑問。実現したとしてそれはネットではない、ような気がする。
    第8章は社会的な歯止め、法や教育の整備。韓国での実施例から、身元確認はあまり効果的でないとのこと。

  • 仕事用も兼ねて。実際の例が豊富にあげられていてめちゃくちゃ説得力ある。最後の方の炎上対策については,業務でSNS等を運用しなくてはならない人に非常に参考になると思った。

  • 多くの先行研究も引用しながらネット炎上の初期からどのように変化していったのか分析していて、この時代を実際に生きてきた私はとても面白く読むことができました。イメージと実際は異なるということがわかった。

  • 実際の事例、アンケート、データから炎上について定量的な評価を行なっている。また、炎上対策としてサロン型SNSの導入を提案。炎上は対策可能であるという著者たちの強い信念を感じる。

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著者プロフィール

田中辰雄(たなか たつお) 1957年、東京都に生まれる。東京大学大学院経済学研究科単位取得退学。国際大学グローバルコミュニケーションセンター研究員、コロンビア大学客員研究員を経て、現在、慶應義塾大学経済学部准教授。専攻は計量経済学。主要著作・論文『ゲーム産業の経済分析』(共編著・東洋経済新報社、2003年)、『モジュール化の終焉』(NTT出版、2007年)、『著作権保護期間』(共編著、勁草書房、2008年)ほか。

「2016年 『ネット炎上の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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