私的所有論

著者 :
  • 勁草書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326601172

作品紹介・あらすじ

「私のもの」とは何か?代理母、女性の自己決定権、臓器移植など、所有と他者と生命をめぐり、社会・倫理を横断して考える。

感想・レビュー・書評

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  • 現実を受け止めて、考えること、そして、それに対して答えを出すことの、難しさを考えさせてくれる本

  • すっごく読み辛いけど、読まなきゃって思わせる本(多分猫は、ちゃんと理解出来ていないと思いますが、、、)。

    私的所有論 - 株式会社 勁草書房
    https://www.keisoshobo.co.jp/book/b26107.html

    (プロフィールに掲載している「お気に入りベスト3」のひとつ)
    ※文庫化されている
    https://booklog.jp/users/nyancomaru/archives/1/4865000062

    • zhimeiさん
      これ大好きです。当時、朝日新聞書評欄で森岡正博の文を読んで購入しました。以来、人体だけでなくその他のあらゆる所有の概念に関する事柄が気になり...
      これ大好きです。当時、朝日新聞書評欄で森岡正博の文を読んで購入しました。以来、人体だけでなくその他のあらゆる所有の概念に関する事柄が気になります。知的財産権も、最近映画が話題になった『さらば、食料廃棄』あたりとかも。『所有と分配の人類学』もすごく良かった記憶があります。裏表紙の写真がとっても可愛いです。
      2013/10/04
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「もすごく良かった記憶があります。」
      はい。私も衝撃を受けました。
      第2版が文庫になったので、折に触れてパラパラ捲るように購入しようと思って...
      「もすごく良かった記憶があります。」
      はい。私も衝撃を受けました。
      第2版が文庫になったので、折に触れてパラパラ捲るように購入しようと思ってます。。。
      2013/10/07
  • 【目次】
    序 [i-v]
    目次 [vii-xiv]
    凡例 [xv]

    第1章 私的所有という主題 001
    1 私的所有という主題 003
      [1]能力 
      [2]所有=処分に対する抵抗 
      [3]自己決定の外側、そして線引き問題
    2 主題が置かれている環境 009
      [1]技術・生命倫理学 
      [2]社会学 
      [3]問いについての歴史
    注 019

    第2章 私的所有の無根拠と根拠 025
    1 所有という問題 027
      [1]自己決定の手前にある問題 
      [2]私的所有という規則 
    2 自己制御→自己所有の論理 031
      [1]自己制御→自己所有の論理 
      [2]批判 
      [3]「自由」は何も言わない 
    3 効果による正当化と正当化の不可能性 041
      [1]利益?(1) 
      [2]利益?(2) 
      [3]「共有地の悲劇」? 
    4 正当化の不可能性 052
      [1]サバイバル・ロッタリー 
      [2]正当化の不可能性 
    注 056

    第3章 批判はどこまで行けているか 067
    1 自己決定の条件 069
      [1]批判を検討する 
      [2]決定のための情報 
      [3]自己決定ではないとする批判 
      [4]他者(達)の侵害/パターナリズム
    2 公平という視点 078
      [1]何が問題にされているか 
      [2]富者しか利用できない? 
      [3]貧しい者が搾取される? 
    3 交換と贈与について 085
      [1]交換と贈与について
      [2]本源性の破壊?
    注 089

    第4章 他者 101
    1 他者という存在 103
      [1]制御しないという思想 
      [2]私でないのは私達ではない 
      [3]他者である私 
      [4]「自然」
      [5]他者という存在 
    2 境界 116
      [1]境界という問題 
      [2]境界線は引かれる 
      [3]β?その人のものでないもの 
      [4]α? その人のものであるもの 
      [5]α/β 
    3 自己決定 127
      [1]自己決定は肯定される 
      [2]自己決定の/を巡る困難 
      [3]自己決定は全てを免罪しない 
      [4]決定しない存在/決定できない事態 
      [5]自己決定のための私的所有の否定
      [6]条件を問題にするということ
    4 技術について 145
      [1]技術 
      [2]「私」 
      [3]私が私を作為することに対する他者の感覚 
      [4]離脱? 
      [5]他者による規定 
    5 生殖技術について 153
      [1]抵抗の所在 
      [2]単なる快と不快という代償 
      [3]偶然生まれる権利 
    注 165

    第5章 線引き問題という問題 173
    1 自己決定能力は他者であることの条件ではない 175
    2 線はないが線は引かれる177
      [1]線引きの不可能 
      [2]同じであること/近いこと
    3 人間/非人間という境界 182
      [1]ヒトという種、あるいは、人であるための資格 
      [2]人のもとに生まれ育つ人であることを受け止める人 
      [3]資格論の限界
      [4]その人のもとにある世界 
    4 はじまりという境界 195
      [1]はじまりという問題 
      [2]生産物に対する権利 
      [3]他者が現われるという経験 
      [4]所有と資格
    注 205

    第6章 個体への政治 215
    1 非関与・均一の関与 217
      [1]自由な空間 
      [2]均質な関与・権力の透明な行き渡り 
      [3]自己を制御する自己の想定
      [4]関数の不在→個体関与の戦略 
    2 主体化 223
      [1]主体化 
      [2]二重予定説 
      [3]公教育 
      [4]介入・成長・消失 
    3 性能への介入 228
      [1]環境・遺伝への注目と介入 
      [2]アメリカ合衆国とドイツにおける優生学 
      [3]優生学の「消失」 
    4 戦略の複綜 241
      [1]自己原因/被規定性 
      [2]放任/介入 
      [3]介入/非関与 
      [4]個体への堆積 
    注 249

    第7章 代わりの道と行き止まり 269
    1 別の因果 271
      [1]社会性の主張 
      [2]真性の能力主義にどう対するのか 
      [3]間違っていない生得説に対する無効 
      [4]因果を辿ることの限界 
    2 不可知による連帯 280
      [1]保険の原理による修正 
      [2]可知になる時 
    3 抵抗としての自由 285
      [1]抵抗としての自由 
      [2]自由であるための資格 
    4 より「根底的」な批判 290
      [1]能力主義者である私の否定 
      [2]関係の自然史 
      [3]政治学への転換 
      [4]閉塞? 
    5 行き止まりを通り抜ける 301
      [1]禁じ手を使う 
      [2]人のいない市場 
      [3]円環から抜ける 
    注 309

    第8章 能力主義を否定する能力主義の肯定 321
    1 問い 323
      [1]いくつかの問い 
      [2]答が答えていないことについて 
    2  I 〈私が作ったものが私である〉の否定 328
      [1]手段性・個別性に関わる批判 
      [2]手段性の不可避性 
      [3]個別性の不可避性 
      [4]Iの否定 
    3  II 〈能力に応じた配分〉の否定+肯定 335
      [1]正しさはないが起こってしまう 
      [2]廃絶の試みについて 
      [3]市場+再分配という退屈な仕掛けの、しかし退屈であるがゆえの採用
    4  III 〈能力しか評価してはならない〉の肯定 348
      [1]IIIは所有・契約の原理からは導かれない 
      [2]I・IIはIIIを正当化しない 
      [3]IIIの擁護 
    5 結論と応用問題への回答と解けない問題 352
      [1]結論および再確認 
      [2]他者があることの経験の場――例えば学校について
      [3]遺伝子検査と雇用、保険 
      [4]他者が他者であるがゆえの差別
    注 367

    第9章 正しい優生学とつきあう 373
    1 出生前診断 375
      [1]出生前診断 
      [2]障害者の社会運動の批判 
      [3]女性の運動の批判・応答 
      [4]残されている問題 
    2 女性の「自己決定」という設定の錯誤 390
      [1]決定の対象は「自己」ではない 
      [2]負担者であるがゆえの権利という論理 
    3 「当事者」の不在 393
      [1]「本人の不幸」という主張は成り立ちえない 
      [2]抹殺とする批判を採らない 
      [3]範疇に対する差別? 
    4 なぜ私達は行うのか 401
      [1]不快/不都合 
      [2]死/苦痛 
      [3]いずれも勝手な行いであることの中の差異 
      [4]「正しい」優生学としての出生前診断・選択的中絶 
    5 何がなされうるのだろうか 412
      [1]知らされてよいのか 
      [2]積極的な権利としての選ばない権利 
    6 積極的優生について 418
      [1]積極的優生 
      [2]積極的優生は不愉快だから禁止される 
    7 引き受けないこと 422
      [1]否定するのでなく、場から降りること 
      [2]小さな場に現われる 
      [3]私から遠ざけること 
    注 428

    おわりに(一九九七年五月 立岩真也) [443-445]
    文献リスト [9-66]
    索引 [1-8]

  • 通常の私的所有は財について指すが、身体の私的所有をどう位置づけるのか。私的所有の原則に従えば、臓器提供や代理出産が認められるはずだが、私たちにはそれを肯定しない感覚がある。自己決定を肯定しながらも、「〈他者〉を制御しないこと」「〈他者〉が在ることの受容」を私的所有の原則の代わりに提示し、生殖技術や優生学を論じる。

  • 題名に惹かれて読み出した
    部分で読むと共感できるけれど
    少し読むうちに説明がつべこべと回りくどく
    本人も急所を押さえての文章ではないのではと感じ始めた
    優しすぎるのか?究極を求めるあまりなのか?
    哲学的に本質を語ろうとしているのかと思うと
    状況論に振り回されてみたり
    広い視野で臨もうとしているのだろうけれど
    視点が定まらないようにしか見えない

    自分の肉体的な所有と心の所有
    他者の肉体的な所有と精神的な所有
    更に自然界に対する物的所有に生命への暴力的侵略
    そして時間の拘束と空間の拘束つまり過去と未来

    そもそも著者の有限無限つまりは自然界ひいては時空間に対する
    基本的なスタンスを読み切れないために
    著者の語る言葉の判断に苦しむ場面が多く
    私的の意味と所有の意味のとらえどころもつかめず
    自と他の距離感に付いても曖昧のまま語られているようにしか
    私の稚拙な目では読めませんでした

  • どちらかというと生命倫理や障害者福祉の世界で有名な人だと思いますが、この本の内容はもっと政治・思想などにも応用できる幅広い内容です。

    自分の体は自分のものか?自分の作ったものは自分のものか?という一見自明な問いかけから始まり、功利主義・自由主義・マルキシズム・能力主義などの政治・思想的立場を「私的所有」という点から切っていきます。

    その上で、そこから発展して自己決定・フェミニズム・生命倫理などを論じていきます。
    上述の分野では立岩真也氏はすでに有名でしょうが政治・思想的問題に関心のある人にとっても非常に面白い本だと思いますので、是非。

    しかしまあ、読みにくいですな。取り上げている観点はあくまで「私的所有」なのですが、これ自体非常に広く応用できるテーマではあります。
    そこで応用出来るテーマ(代理母とか臓器移植とか)について片っ端から論じていくうえ、しかもそれぞれのテーマでの代表的考え方をいくつも取り上げて論ずるので、だんだん内容が入り組んでわけが分からなくなってくる...

  • 080915購入。

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著者プロフィール

立岩 真也(たていわ・しんや):1960年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。社会学専攻。著書に『私的所有論 第2版』(生活書院)、『弱くある自由へ――自己決定・介護・生死の技術』『造反有理――精神医療現代史へ』『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』(以上、青土社)、『介助の仕事――街で暮らす/を支える』(筑摩書房)、『自由の平等』(岩波書店)、『自閉症連続体の時代』(みすず書房)、『人間の条件――そんなものない』(新曜社)など。共著に『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』『税を直す』『差異と平等――障害とケア/有償と無償』『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』(以上、青土社)、『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』(生活書院)ほか多数。

「2022年 『人命の特別を言わず/言う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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