構築主義を再構築する

著者 :
  • 勁草書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326653195

作品紹介・あらすじ

21世紀に社会学は生き残れるか?フーコーに出逢い、構築主義に出逢い、かつそれらを超えてセクシュアリティの歴史社会学的分析に向かう著者の中間総括。

感想・レビュー・書評

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  • 『子どもが減って何が悪いか!』(ちくま新書)で、男女共同参画社会と少子化対策とがバインドされることに対しスルドイ突っ込みを入れた著者の、論文集。リサーチリテラシーなんてことを言い出すと、自分も「結論に合わせた統計を持ってくる」なんていうワザを使うわけにはいかない。もーのすごく几帳面というか、社会学を「科学」として成立させるための要件にこだわっている様子がうかがえる。

     論文集とはいえ、方法論をいいつのるばかりでも、お堅いものばかりでもなし。

     第5章「フェミニズムに期待すること」は、上野千鶴子や江原由美子の「家父長制」論争をふまえつつ、フェミニズム的な論法は「測定なき公式・綱領主義」に陥っているという批判をするのだが、これがたいへん説得的。
    「男女の間に観察可能な差異が存在すること」は、すなわち「性支配」があることだというのがフェミニズムの論法である。しかし、これは「性支配以外の要因によっても、男女の差異が生じる可能性がある」ことを考慮に入れてないロジックであるとして、徹底してここにくらいついていく。ここに、著者が「社会学」を「科学」として成り立たせようという使命感のようなものが読み取れて、迫力がある。

     また、『子どもが減って~』の続編とも言うべき第12章「人口減少社会における選択の自由と負担の公平」もおもしろかった。『子どもが減って何が悪いか!』は機動戦士ガンダム(@ブライト・ノア)からとったそうだが、今回は「装甲騎兵ボトムズ」のキリコ・キュービィの台詞が使われてたりするのも見所(あんたもすきですねー)。

     思うに、リサーチ・リテラシーを社会学にもってくるというのは、みんな「そりゃそうすべきだとは思うけど……」、やたらめったら大変なので、手法として人気がないんじゃないかなぁ(100%当てずっぽう)。だって「尻から考える」ほうがラクだもんね。そこんところ、赤川氏は、ものすごくこだわっていて、まじめな人だなぉと思う。

  • 構築主義で言説分析する赤川さんのやつ

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著者プロフィール

東京大学大学院人文社会系研究科教授

「2022年 『社会の解読力〈歴史編〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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