なぜ教育が主戦場となったのか

著者 :
  • 勁草書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326653355

作品紹介・あらすじ

百マス計算だけでは学力崩壊は防げない。公立中高一貫校も問題解決の切り札足りえない。家庭教育は迷走しつづける現実。-数学オリンピックメダリストを育ててきた著者による謎解き。

感想・レビュー・書評

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  • ひさびさにじっくりじっくり、ぎらぎら読めた本。塾へ行っても成績が上がるのが初期に限られ、その後伸び悩むのはなぜか?
    本当に学力は階層と結びついているのか?
    結論からいえば下位層のみが学力を再生産している。なぜなら彼らは子どもを放置して学業に力をいれないから。いれたとしても、アルゴリズム型学習でしかないから。
    子どもたちをおおまかに3つに分類。
    ①よみかきそろばんすらできない層
    ②よみかきそろばんしかできない層
    ③よみかきそろばん以外もできる層
    小学校に上がる時点ですでにこれだけばらばら。
    生活科などに代表する、興味・関心から自発的な学習を行えるにはまずよみかきそろばんができていないとその調べ方などの手段すら思いつかないし、現在の教育界が大量生産しているアルゴリズム型学習では応用力を養う機会が得られず、自発的な学習は発展しようがない。上位層はアルゴリズム型学習の餌食になっている。

    なんだかまとまらないのでもう一度読むことにする。
    最後の方はグローバリズムなどいろいろスゴイ話になっているけれど、これは掘り出し物だなぁとおもった一冊。
    しかし文化資本(家庭学習)が基礎だと言われると、いろいろ考えてしまうなー。(できそうにない…)
    百ます計算はしつけと訓練にねらいがあるのであって、万能ではないというのも納得。つまりはやっぱりまず最初にしっかりとした骨組みを与えよ、話はそれからだ!っていう。

  • 2008年刊行。予備校数学講師の著者(東大「文学部」中退というのが興味深い)が、昨今の教育格差言説に対して批判的主張を展開しつつ、教育の制度的意義に新たな光を当て、さらにグローバル経済化における教育の現代的意義の再構築を模索するもの。教育格差における格差の中身が社会教育学者と著者とでは異なっている。つまり、前者は所得格差を軸に、後者は文化的格差を軸としているように読める。これではかみ合うはずがない。が、著者の見方は個人的には新奇で、アルゴリズム学習(数学塾SEGとは対極)の弊害も納得。
    もっとも、教育格差論よりも第2章以下の教育の制度的意義の方が面白い。それは教育の意義を国民統治の手段としている点だ。そして、多数を占めるようになったサラリーマン層を統治する上で、現行の教育制度が機能していないと主張する。昨今、サラリーマン階層における実力主義化が進み、加えて家業継承が想定できないこと、現行の普通教育制度は学者と公務員養成を主眼とし(職業教育制度は狭小かつ異端)、サラリーマン階層の子弟教育に適合しないとの主張は、一定の合理性を包含すると思えるのだが。

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著者プロフィール

元駿台英才セミナー講師

「2019年 『暗算力 誰でも身につく!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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