- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326653874
作品紹介・あらすじ
本書には5名のライフヒストリーが収録されています。子どものころに南米から日本に移住し、やがてゲイとしての自分に気づいた人。夜の世界でなんとか自分の生きる場所を切り開いてきた「ニューハーフ」。満州で生まれ、波瀾万丈の人生の果てに大阪でホームレスをしていた男性。さまざまな人たちが語る、「普通の人生」の物語です。
感想・レビュー・書評
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様々な「街の人々」にそれまでの人生をインタビューした一冊です。
マイノリティーの人々の人生色とりどり読めてとても興味深いです。
誰の人生も一冊の本に等しいわけですが、この人たちの人生に比べたら僕は大分薄い一冊になりそうです。 -
2018年11月29日に紹介されました!
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前知識なく読みました。
冒頭の一文、
「我々が空想で描いて見る世界よりも、隠れた現実の方が遥かに物深い(柳田国男)」を踏まえて読み続けました。
ゲイ、ニューハーフ、摂食障害、シングルマザーの風俗嬢、元ホームレスの人生の記録が、インタビュー方式で淡々と記されていました。
生きるためには都度選択肢を選び、そしてまた選びを綴ること。それが一つの命の灯火としてあり続けるのだと感じました。
私は生き様という言葉が大嫌いです(他人が使うべきではない言葉だと思う)
人には奥深さがあり、人の人生は言葉ひとつで語れるものじゃないなと思いました。 -
【やっぱね、人ってね人間てね、一人では絶対生きていけん】(文中より引用)
立場も環境もまったく異なる5人のライフストーリーを収録した一冊。著者は、社会学を専攻している岸政彦。
語りを編集することなく、読みづらさが残ったとしてもそのまま収録している点が特徴的。その分本当に語りかけられているかのような錯覚を覚え、それぞれの人生がより生々しく伝わってくるような気がしました。
読後にふと散歩に出かけたくなるような作品でした☆5つ -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/688267 -
柳田国男の[山の人生]になぞらえて、外国籍のゲイ、ニューハーフ、摂食障害の女性、シングルマザーの風俗嬢、ホームレスの老人のインタビューのルポ。一般人とはかなりかけ離れている人生だが、読んでいると引き込まれていく。共感というか、ふーんそうなんだという感じ。
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この本は、社会学者の岸政彦先生とその学生が聞き取ったインタビュー集です。日系南米人のゲイ、ニューハーフ、摂食障害の当事者、シングルマザーの風俗嬢、元ホームレスの、人生の記録が収録されています。私はインタビューの仕事をしていて、何か偉業を成し遂げた人にだけフォーカスすることにジレンマを感じていました。電車に乗り合わせた人がなぜか気になって、その人の人生を想像することがあります。ただ、その人に実際に話を聞けるかと言えば、それはすごく難しい。そういったことを読みたい人がどれだけいるのだろうかとも。この本は、きれいに文章を整えるのではなくありのままの語りを載せているので、一言一言がリアルです。だからこそ、残る。インタビューはその人のすべてを知れるわけではないけれど、少しだけ覗き見したような気持ちになる。岸先生は「『断片の断片』をなるべくそのまま記録することで、結果的にいちばん『人生の形に近いもの』を世の中に残そうと思いました」と書かれていました。フィールドワークとして沖縄や被差別部落で聞き取りをしている岸先生の人柄も感じさせる1冊です。