- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784329010018
作品紹介・あらすじ
時間ノイズの内部へ!音楽の概念と作曲の概念をラディカルに変容させた現代音楽最後の巨匠・シュトックハウゼンのセリエルな思考が、二十世紀音楽すべてに批判の矢を放つ。
感想・レビュー・書評
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徹底的に時代の改革者であろうとしたシュトックハウゼン。この取っ付きにくくて難しい文章が、そのまま彼の苦悩を表している。
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この本のことは前から知っていたが、私は作曲するくせに音楽の本はあんまり読まない人なので、ずっと後回しにしてきた。
が、これは素晴らしい本だった。
シュトックハウゼンの音楽が好きかどうかに関わらず、現代音楽に関心のある人は、いやそうでなくても、この本は必読だと思う。
1950年代から1961年にかけて書かれたカールハインツ・シュトックハウゼンの論文が集められているが、当時まさに風雲急を告げ、ヴェーベルンに由来する「全面的セリー技法」や「電子音楽」が活動し始めていた。その辺の背後にある思想が、ここにはとても明確に書かれている。
ヴェーベルン的なセリーが、さらに音そのものの周波数等の「比」にまで適用され、サウンドコンポジションの地平が拓けてゆくさま。「時間」「持続」の分析からさらに通常の「楽譜」スタイルまで革新されていくさま。
この本を読めば20世紀「前衛」音楽の背後には、このような「思考の躍動」があったのだと気づき、深い感銘を受けることになるだろう。
・・・だが、そのような「前衛」の理論づけなんて、作者が解説しなきゃ、聞いただけじゃわからないし、そんなもの退屈じゃないか、と言う人も多いだろう。しかし意外にも、シュトックハウゼンは、セリー音楽のセリー(音列)が聞き取れないという反論を予期している。
「誰が原始を見ることが出来ようか。それでもあらゆる物質現象は原子構造に基づいているではないか。」(P50)
シュトックハウゼンは、理論だけに熱中していたわけではなかった。彼はもちろん、「音楽」をつくっていたのだ。 -
99夜
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[ 内容 ]
時間ノイズの内部へ!
音楽の概念と作曲の概念をラディカルに変容させた現代音楽最後の巨匠・シュトックハウゼンのセリエルな思考が、二十世紀音楽すべてに批判の矢を放つ。
[ 目次 ]
技法(手仕事)の状況―「点の音楽」の特徴
ヴェーベルン『九楽器のための協奏曲』作品24第一楽章アナリーゼ
作業報告1952/53―オリエンテーション
作業報告1953―電子音楽の成立
メチエ(手仕事)の現状について―サウンドコンポジション
群の音楽 『ピアノ曲1』リスニングガイド
ヴェーベルンからドビュッシーへ―統計的形式のためのノート
構造と経験時間
…いかに時は過ぎるか…
電子音楽と器楽音楽
空間の中の音楽
音楽とグラフィック
モメント(瞬間)形式―演奏時間、作品時間そして瞬間のあいだの新しい関連性
音楽的時間の統一性
発明と発見―形式生成のために
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
何度も読み返したい音楽原論。続刊はなかなかでなさそうなので、ドイツ語勉強して原書読むぞこのやろうという気持ちになる。頑張れオレ。