東京総合指令室 - 東京圏1400万人の足を支える指令員たち (交通新聞社新書072)

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  • 交通新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784330507149

作品紹介・あらすじ

われわれが日々利用する電車、そして世界に類を見ない高密度輸送を行なう東京圏の鉄道は、誰がどのように管理し、支えているのか。国内最大規模の指令室であるJR東日本の東京総合指令室を取材し、紹介する。この指令室では、1日約1400万人を運ぶ東京圏の在来線輪送を管理しており、所属する500人余りの社員が、乱れたダイヤを回復させ、トラブルで停まった列車をなんとか動かそうと奮闘している。本書では、これまでほとんど紹介されることがなかった指令室の過去・現在・未来に迫り、東京や日本の鉄道の側面をかいま見る。

感想・レビュー・書評

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  • JR東日本の鉄道輸送を支える心臓部「東京総合指令室」を紹介してくれる一冊。
    写真など詳細情報はないけれど、セキュリティ性の高い施設を概要だけでも紹介してくれるのは興味深い。

    500名のスタッフが東京体育館アリーナくらいの広いフロアで24時間当直勤務しているようで、仕事は輸送指令、運用指令、営業運輸指令、設備指令に分かれている。

    東京圏輸送管理システムATOSに注目してしまうが、けっこう人手の作業が多いようで、発想を変えればシステムダウンしても対応できるってことで若手教育やBCP的には良いのかな。

    日々の運用管理をされている方には本当に頭が下がる。東日本大震災の直後は、「毎日がダイヤ改正」状態だったということで、読んでいるだけで胃が痛くなりそうなところもあった。
    武蔵野線は折り返し運転に強いらしい。

  • #879「東京総合指令室」
     首都圏の鉄道を管理する、JR東日本の「東京総合指令室」。その性格ゆゑ、表舞台に出る事は少ない組織であります。本書でも、セキュリティ上、詳しく書けない事もあつて隔靴掻痒の感があります。それでも現場のルポ、関係者インタヴューなどで、想像を膨らませる事が出来ました。
     天下の東京圏を走る電車群の、現在の走行位置がリアルタイムで掴めるやうになつたのが、意外と最近の事だと知り、驚きました。ATOSつて凄いね。
     スタッフの皆さま、今後も頑張つて下さい。

  • 司令室で、運行管理をしているのは知っていたが、
    司令室で働くみなさんに改めて感謝します。
    特殊な技術が必要なのかと思いきや、普通に人事異動で配属されるようで、それにもビックリしました。

  • たまに新幹線の指令所での訓練がニュースになったりするが、在来線でも同じように運行管理をしていることを理解している人は少ないと思う。そうした縁の下の力持ちにスポットを当てた貴重な書。
    ただ、もっと詳しい人に取材しても良かったのでは、と思う箇所がある。

  • 「最近、自動運転と鉄道に興味があります」の第四弾(転職するわけではないです)。JR東日本の首都圏列車運行を一括管理する東京総合指令室に密着した本。意外にアナログな部分や、人間でなければならない仕事が多いのです。駆け込み乗車が列車運行に及ぼす影響がかなり大きいので、余裕をもって乗車しましょう。
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  • 東京圏の鉄道輸送を電力、信号、転轍機から車両、人員の運用まで一手に引き受ける指令室。稠密運行が当たり前のJRの裏方として奮闘する司令員の皆さんは尊敬に値する。スジ屋と言われるダイヤ編成のプロがいることは知っていたが、それだけでは様々な障害に対応するできないことが本書を読むと良く判る。これだから鉄道は面白い!

  • 「(指令室の仕事は)営業職のように個人の成果は問われず、みんなで一丸となって取り組む必要があるので、とくにチームワークが求められる」(p.52)

     異常時の対応では「初動」が重要なので、計画の担当者も、運転整理の判断をじっくり考えている余裕はなく、即決しなければならない。だから異常がないときは、計画担当の指令員は「◯時◯分に◯駅で人身事故が起きたらどうするか」などという課題を自分でつくり、頭でシミュレーションする練習をひたすら繰り返す。こうした練習がなければ、慌ただしい異常時に対策を即決して指令計画書を書くことはできないという。(pp.68-69)

     輸送力のような「量」の問題が解決すると、次は輸送の「質」が求められてくる。とはいえ、通勤電車が頻繁に行き交う朝のラッシュ時に、リクライニングシートを備えた特急列車を走らせるのは難しいので、東京圏の在来線では、基本的に朝のラッシュ時を避けるように運転されている。(p.146)

     鉄道が便利になることは、これまで『鉄道は乗り換えが面倒』と思って鉄道を利用しなかった方が、鉄道を利用するきっかけをつくることになると思うのです。だから、今後は鉄道会社がお互いに切磋琢磨しながらも一緒にできる工夫はどんどん協力し合って、東京圏全体の鉄道が便利になればと思うのです。鉄道会社はお互いに競争と協調の関係なのです。(p.176)

  • 電車の運行を管理する司令室に関する本。
    今まで知らなかったことも多く、単純に面白かった。
    全体的にはインタビューが中心にまとめられているが、解説に関しても過不足なく入っていて読みやすかった。
    私たちが普段何気なく利用している裏で、様々な人の努力と機器の進歩があることに驚いた。

  • ○巨大鉄道企業・JR東日本の秘密が詰まっている
    実際にJR東日本の「東京総合指令室」へ訪問し、関係者へインタビューしたルポである。
    関東地区でATOSという管理システムが導入されてから、通常時もさることながら遅れが発生したりしたときに情報の発信が頻繁になったり遅れを解消するスピードが速くなったのではないか。JRのユーザーエクスペリエンスは格段に向上したはずである。
    それを支える舞台が東京総合指令室。本書では、豊富なインタビューと取材で、いまのJRのあり様と発展してきた経過、ATOSの前のCTCなどの時代から掘り下げて解説している。

    この中で一番驚いたのは「お客様目線で運輸指令も動くようになった」というような記述である。
    確かに、ある一定の時期から全社的にお客様目線を大事にするような風潮が見て取れるような気がしていたが、お客様と直接接しない指令の人たちでも、そういう意識で仕事をしているのだ、と思わず感心させられる。
    少し物足りない面があるとすれば、東京総合指令室以外の指令室、例えば新幹線や大阪などのことも取り上げて比較しても面白かったかもしれない。

  • 4〜5

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著者プロフィール

川辺 謙一(かわべ・けんいち)
交通技術ライター。1970年生まれ。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。メーカーで半導体材料などの研究開発に従事した後に独立。鉄道・道路・都市に関する高度化した技術を一般向けに翻訳・解説している。おもな著書に『図解・地下鉄の科学』『図解・首都高速の科学』『図解・燃料電池自動車のメカニズム』(講談社ブルーバックス)、『東京総合指令室』『図でわかる電車入門』(交通新聞社)、『東京道路奇景』『日本の鉄道は世界で戦えるか』『東京 上がる街下がる街』(草思社)などがある。

「2022年 『世界と日本の鉄道史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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