エベレスト50年の挑戦―テンジン親子のチョモランマ

  • 廣済堂出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784331509197

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  • 父はエドマンド・ヒラリーと共に人類初のエベレスト登頂を果たした
    シェルパ、テンジン・ノルゲイ。父にとっては7度目の、そして最後の
    エベレスト挑戦だった。

    世界的に有名な父の背中を、息子は追う。自分も父のように、あの
    山の頂上に立ってみたい。18歳の時、初めてのチャンスが訪れる。
    だが、父は即座に息子の申し出をはねつける。

    「エベレストには私が登っているから、お前が登る必要はない」

    時は経ち、息子にもエベレストへ挑戦する機会が訪れる。映画の
    撮影隊からの参加要請だ。偉大な父は既に亡くなった。どうしても
    父の歩んだ足跡を辿りたい。父は、あの山で何を見、何を感じた
    のか。

    1996年の春。息子が参加した登山隊がエベレストの頂上を
    目指したのは、エベレスト史上最大の悲劇と言わる大量遭難
    の起ったシーズンだった。

    登山家自身や登山家を主人公として書かれた本はたくさんある。
    だが、本書のように登山家が登頂を目指す為の縁の下の力持ち
    とも言えるシェルパの視点で書かれたものは非常に少ないので
    とても興味深く読んだ。

    特にシェルパたちの信仰については大変参考になった。山へ
    向かう前に高位の僧侶からお告げをもらう。1996年に著者が
    頂いたお告げは、まるで大量遭難を予言するような不吉な
    お告げだった。

    他の登山隊の、構想のお告げを実現したような悲劇を目の当たり
    にして、撮影隊の登頂はあわや中止になりかける。だが、山の
    女神は息子が参加する撮影隊に微笑んだ。

    山頂を目指しながら、息子は父を思う。父から聞いた話を思い
    出す。そうして息子の初登頂は、父の初登頂と重なって行く。

    父への思い、家族への愛、自分が所属するシェルパたちの
    エベレストへの思いを余すところなく綴った良書である。

    内容は非常にいいのだ。だが、本書には大きな問題がある。
    まず、この邦題。邦訳が出版されたのがエベレスト登頂50
    周年の年だったからこの邦題なのだろうが、内容にまったく
    そぐわない。原題は『Touching My FATHER'S Soul』。
    そのまま『父の魂に触れる』と訳して、副題をつければ
    よかったんじゃないか。

    それに本書をプロデユースした女性スポーツ・ライターの
    「日本語版発刊に際しての前書き」と、巻末の「日本人が
    挑んだエベレスト」は不要だ。テンジン親子の話の余韻を
    台無しにしている。

    せっかくダライ・ラマ14世による「序文」もあるのに、無理矢理
    エベレスト登頂50周年を盛り込んで出版する必要があったの
    だろうか。スポーツ・ライターなのに、なんで余計なことをして
    しまったかなぁ。しかも、シェルパたちからしたらエベレストと
    呼ぶよりも、チョモランマの呼び方の方がいいのにね。

    貴重な内容なのに、本文と関係のないところで残念だった。

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