グランドホテル―異形コレクション〈9〉 (広済堂文庫)

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本棚登録 : 106
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (655ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784331607343

作品紹介・あらすじ

闇を愛する皆様。ようこそ。おいでくださいました。此処は、知る人ぞ知る伝説のホテル。超一流のサーヴィスを受けるに相応しい読者の皆様方を、かねてより、お招きいたしたく、御案内状をしたためた次第です。はい。「異形コレクション」九回目のおもてなしは、この「グランドホテル」のヴァレンタイン・フランから。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。

    何度読んでも「新鮮なニグ・ジュギぺ・グァのソテー。キウイソース掛け」の強烈さに目を見張る。悪趣味ここに極まれり!最高です。

    趣のあるホテルを堪能しました。
    夏の方がやや好みかなぁ。

    このようなモザイクノベルをまだまだ読んでみたい。

  • とあるグランドホテルを舞台にしたモザイクノベル形式のアンソロジー。

    ・ぶつかった女(新津きよみ)
    ホテルである必然性はなし。他の何かでも代用可能。
    オチが分かりづらいので何度か読み返す。

    ・探偵と怪人のいるホテル(芦辺拓)
    悪役がミステリやSFを嫌っているという造形が芦辺さんらしく思い、やはり苦手。
    しかし世俗的な悪役たちと被害者になるしかない男の物語が、探偵と怪人の物語へ変貌するところにグッときてしまう。
    屍者の帝国を思いだす。

    ・三階特別室(篠田真由美)
    一番ホテルが主役になっている。
    建築物の描写や知識は洗練。
    建築的におかしなところを指定することで怪談を否定しながらも、でも結果として現実に戻らず別の怪談が生み出される。

    ・鳥の囁く夜(奥田哲也)
    日常/非日常、和洋折衷、生と死。
    境界の場としてのホテル。
    人の死によってタイタニック号みたいな死の世界に沈んでいく。
    ホテルという場所で民俗学、文化人類学的な世界観、儀礼が生み出されている。

    ・To・o・ru(五代ゆう)
    暗黒神話じみた終わり。

    ・逃げようとして(山田正紀)
    いずれの短編もホテルのどこかにある異界への入り口を描いているのだと思えてきた。
    奇妙な入り口の物語。
    ファンタジーでは異界への入り口は冒険の始まりや救いになるもの。
    ホラーにおいても、もしかしたら同じものを描いているのかも知れない。

    ・深夜の食欲(恩田陸)
    一場面のイメージを描いたような短編。永遠にワゴンを押す男。

    ・チェンジング・パートナー(森真沙子)
    クロゼットの扉。
    人間くさい男と女の話。

    ・Strangers(村山潤一)
    画。海外のゴーストっぽい。

    ・厭な扉(京極夏彦)
    読んだことがあった。
    厭と幸せを描くアイディアと文章力。

    ・新鮮なニグ・ジュギペ・グァのソテー。キウイソース掛け(田中啓文)
    ニグ・ジュギペ・グァの描写も習性も調理も、微に入り細を穿つ描写で圧倒。生理的な嫌悪感が増し増し。
    気持ち悪いけど収録作のなかでも屈指の一篇。
    これも異界への入り口がホテルに存在していたからこそ。

    ・ヴァレンタイン・ミュージック(難波弘之)
    ミュージシャンとのことで、スタッフやライブの事前準備の描写は面白い。
    素人っぽさのあるノリの軽い文体は、ラノベに近いものを感じたり(展開も含め)
    篠田真由美とは文体のベクトルがもう重なっているところのないぐらい異なるが、モザイクノベルとして、「三階特別室」と同じ要素を扱っているのがなんとも不思議。
    『街』の音楽の人。

    ・冬の織姫(田中文雄)
    ホラーというよりは雰囲気の良いミステリ。
    順番にここまで収録作を読んでいるなか、ここで刑事が出てくると違和感を覚える。

    ・雪夫人(倉阪鬼一郎)
    短い。タイトルからしんみりした話が始まるかと思いきや……

    ・一目惚れ(飯野文彦)
    スプラッタ。傍観者である語り手への違和感は解消される。

    ・シンデレラのチーズ(斎藤肇)
    他にもこれをやっている短編があったらさすがに止められていそう。
    グランドホテルの意味を意図的になくしている。
    最後、語り手の冷めた感性が印象的。

    ・うらホテル(本間祐)
    ホテルに飾られている絵に焦点を当てた一篇。
    演劇のような夢のような語り口。

    ・運命の花(榊原史保美)
    写真散文詩。
    評価できない。言葉通りの意味で。

    ・螺旋階段(北野勇作)
    北野勇作らしさ(と言っても具体的にどうとは答えるのが難しいあれ)は抑えめ。
    でもどこまでも続く螺旋階段に雪が舞うシーンは、一瞬だったけどイメージがとてもきれい。

    ・貴賓室の婦人(レディー)(竹河聖)
    宝石と貴賓室と貴婦人。
    それっぽい高級料理と一般的に有名な宝石の数々が、絢爛さと安っぽさを演出。

    ・水牛群(津原泰水)
    『蘆屋家の崩壊』収録作。再読。
    次元が違う。

    ・指ごこち(菊池秀行)
    マッサージ師とお客である実業家との歳月を経たやりとりに味がある。
    美しい一篇。

    ・チェックアウト(井上雅彦)
    映画のエンディングのような締めの一本。

  • 仕掛けが秀逸w

  • シリーズの中でも評価の高い巻らしい。
    確かに収録作の粒は揃っている。

    モザイクノベルという野心的な試みも、
    「新鮮なニグ・ジュギ・ペ・グァのソテー。キウイソース掛け」のインパクトに霞んでしまったかも。

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著者プロフィール

1958年大阪市生まれ。同志社大学卒業。読売新聞記者を経て、『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞。主に本格ミステリーを執筆しつつ、ジュヴナイルやアンソロジー編纂・編訳も手掛ける。

「2019年 『十五少年漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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