よいこの文化大革命―紅小兵の世界 (広済堂ライブラリー) (廣済堂ライブラリー 19)

著者 : 武田雅哉

• 廣済堂出版 (2002年12月1日発売)

感想・レビュー・書評

[zhangtanさんの感想 · 2005年12月24日]

著者は中国近現代史文学をおもしろおかしく紹介してくだざる武田雅哉先生。題名から想像すると「文化大革命を子供でも分かるよう平易に解説した本」と思うかもしれませんが、さにあらず、文化大革命時代の子供にスポットを当て、当時子供向けに出版された雑誌や映画などから文革時代の子供達の様子を取り上げた“文革側面史”です。子供達を革命的な毛沢東の先兵とするためいろんなプロパガンダを駆使して“教育”する大人たち、何とか褒めてもらおうと“革命的ないい子”を演じようとする、または自分の失敗を“階級闘争のため”と言い訳して何とか怒られまいと必死な子供達・・・。文化大革命という混乱した時代の中でおきたある日常を図版を多用しながら軽快な語り口で説明してくれます。

著者プロフィール

北海道大学文学部教授。中国文学専攻。
北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。主な著書に、『中国のマンガ〈連環画〉の世界』（平凡社、2017）、『中国飛翔文学誌』（人文書院、2017）などがある。

「2019年 『西遊記 妖怪たちのカーニヴァル』 で使われていた紹介文から引用しています。」