オレンジソース (きらきらジュニアライブシリーズ)

著者 :
  • 佼成出版社
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本棚登録 : 32
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (95ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784333020300

感想・レビュー・書評

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  • みさきは、クラスでいつも大人しい松本さんが、オレンジジュースというあだ名で呼ばれ、いじめられていることを知る。その日、みさきは、松本さんの家の前を通り、二人で一緒に遊び、彼女の明るい一面を知るものの、学校では、話しかけられずにいた。運動会の日、松本さんは、リレーのアンカーとして走るが、「オーレンジ」という声援を聞いて、立ち止まってしまい、みさきが駆け寄るところで物語は終わる。

    みさき本人も忘れていた、身体測定の時に、鉛筆を貸してくれた、というたったそれだけのことを、とても嬉しそうに話した時や、学校やスーパーで、みさきが挨拶をした時松本さんの様子が、特に印象に残っている。たったそれだけのこと、に不釣り合いな表情が、みさきの視点から語られることで、十分に彼女の置かれた状況や心情が伝わってきた。
    ラストに、走れなくなった松本さんとみさきが一緒に歩くシーンは、そうした状況が、何も変わるわけではない一方で、彼女にとって大きな意味を持つようで、とっても印象に残るラストだった。このときに、みさきの心の中で響く(……まだ、まにあうだろうか)という言葉は、分かっていながら、手を差し伸べられず、そして、手遅れになるギリギリのところにいる人間に、耳に痛い。

  • おそらく小学生の頃に読んだ本。名前で探すの忘れていただけに大変だった。
    キャベツ炒めに捧ぐで桃ソーメンのエピソードを読んだ時に思い出したもの。人間は自分の知らないモノに対して寛大になることが難しいんだなと思う。例えそれが食べ物だとしても…。

  • ここで終わるの?という感じも…
    子どもは読んだ後にどう感じるのかなぁ。

  • えー、これで終わり~?
    これから何かがはじまる、という物語を紡ぎだせたんじゃないかなあ。
    余韻を残す、というレベルを大きく超えた、中途半端感がある。

  • 文中に「いじめ」という言葉はでてこないけれど、いじめの話です。
    いじめで一番恐ろしいのは、いじめられる子に理由をつけて、「だから仕方がない」「自分は関係ない」と、いじめから目をそらすことでいじめを容認する、私たちの心のありようなのかもしれません。
    この話は、いじめ自体は解決せずに終ります。
    だからこそ、読者はいじめに立ち向かうということを、主人公と一緒に真剣に考えることができるのではないかと思うのです。

  • きょう読み始めて先ほど読了。魚住さんにしては珍しい感じのする、小学生くらいの年齢の主人公。
    話題がいかにも魚住さんだなぁと思い、浮わつかない描き方が魚住さんだなぁと思い、ラストであえてこの展開なのが魚住さんだなぁと思った。ヤングアダルト向けよりシンプルな描き方で、でもしっかり描き込んである。最後でぐにゃりと奇妙にゆがむ感じが独特で、魚住さんの持ち味だよなと再認識。さらっと読めて、でも軽々しくない現実の重みを感じる。
    ほんの少しだけ、希望を残してくれているのがありがたい。

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著者プロフィール

1966年生まれ。広島大学教育学部心理学科卒業。『非・バランス』で第36回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。『Two Trains』で第57回小学館児童出版文化賞、『園芸少年』で第50回日本児童文学者協会賞を受賞。作品に『いいたいことがあります!』『超・ハーモニー』『クマのあたりまえ』『だいじょうぶくん』などがある。

「2022年 『考えたことなかった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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