原訳「スッタ・ニパータ」蛇の章

  • 佼成出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784333023813

作品紹介・あらすじ

ブッダの言葉を現代に忠実に伝える『スッタ・ニパータ』をもとに、スリランカ仏教界の長老が上座仏教のエッセンスを語ります。蛇の猛毒のごとき「怒り」を瞬時に消し去り、蓮の生命力のごとき「欲望」を根こそぎにするには――。本書では「蛇の章」に収められた17の偈文を読み解きながら、「悟りへの道」を説き明かします。
・漢訳にはないパーリ語仏典の魅力
・上座仏教のエッセンスが論理的に学べる
・「悟り」の意味を解説

【1】怒りという猛毒を瞬時に消す(第一偈)
【2】蓮のごとき「欲」を根こそぎにする(第二偈)
【3】考えも感情もすべて涸らし尽くす(第三偈)
【4】判断・比較・評価する心を破壊する(第四偈)
【5】生きる意味を探しても得られない(第五偈)
【6】「ああではないか、こうではないか」と思う気持ちをなくす(第六偈)
【7】すべての言葉も考えも焼き尽くす(第七偈)
【8】感受して作り上げた主観を乗り越える(第八偈)
【9】すべては流れて変化しているだけ(第九偈)
【10】行き過ぎることもなく、止まることもなく(第十偈から第十三偈)
【11】カチンとくる心、気になる心を殲滅する(第十四偈)
【12】「もう一度やり直したい」という心残りをなくす(第十五偈)
【13】世俗の義務感・責任感という「傷」をなくす(第十六偈)
【14】欲を捨て、概念や推測する気持ちも捨てる(第十七偈)

感想・レビュー・書評

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    アルボムッレ・スマナサーラ スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老
    1945年スリランカ生まれ。 13 歳で出家する。スリランカの国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとったのち、1980年に来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事。メディア出演や全国での講演活動で大きな反響を呼ぶ。著書は『怒らないこと』(サンガ新書)をはじめとしてベストセラーが多数ある。

    ブッダは、恐ろしい蛇の毒に譬えられる「怒り」について、こう教えています。 「怒りが生まれたら、生まれた瞬間に消せ」と。

    人間は欲が悪いことだとは思わないのです。欲が悪いと思う人間はいません。  例えば、「勉強したいなあ」と思うことも欲です。「それの何が悪いのですか?」ということになるでしょう。「やはり死ぬまで安定して生活して、生きていくために一財産作りたい」という意見に対して、「あんた欲張りですねえ」と言ったらバカにされるだけです。それらは世の中で普通、悪いとは思わないのです。「欲」は、普通の世界では美徳なのです。

    上野に 不忍池 があります。季節になると蓮の花が咲き誇ってきれいなのですが、池の水面は蓮に埋め尽くされてしまいます。放っておくと、あちこちから蓮の葉っぱが出てきて、水がなくなってしまう。水の中には、いっぱい栄養があります。だから結局、雑草のように続々と生えてきて、池を埋め尽くすところまでいって、蓮の花は自滅するのです。

    私たちは、欲の楽しい側面しか見ていないのです。でも、どの辺までが楽しいのか、どこから苦しいのかと、しっかり観察はしていないのです。客観的に見ると、蓮の花だけではなくて、花の下には泥があることがわかります。泥の中にはヒルもいるし、人間に害を与える他の生き物もいる。また、蓮の花を取っても、芯には棘があるから、気を付けなくてはいけないのです。

    一つ、もっとたちの悪いとらわれがあります。それは、知識に対するとらわれです。自分の知識、考え、主義などに、厳しくとらわれて、盲目的になることです。極論主義者、原理主義者になって、世間のことが見えなくなるのです。知識や主義などに納得することも、厳しいとらわれです。

    例えば、きれいなものを見たいなあ、と思う人に限って、きれいでないものを見ると怒ったりします。「なんでこんなものを見なくちゃいけないんですか」と。  ですから、怒りと欲はセットなのです。  怒りが少なければその分、欲も少ないし、欲が少ない人にとっては怒りも少ない。ですから怒りだけをなくしたいと頑張っていても、それは無理な話です。  法則を知らないから、欲も怒りも生まれるのです。  しょっちゅう怒っている人から「怒るのは嫌です。なんとかならないんですか」と聞かれますが、欲だけ残して怒りだけ取ることはできません。  普通の世の中で考えるように、「怒りは都合が悪いけれど、欲のように気持ちがいいものは 好いから残しておこう」というふうな甘い話ではないのです。

  • 小部の『スッタ・ニパータ』は最古層の経典として知られる。中でも第4章が最古と目され、ブッダの直説(じきせつ)と見なされている(PDF「最古層の経典の変遷 スッタニパータからサムユッタニカーヤへ」石手寺 加藤俊生)。
    https://sessendo.blogspot.jp/2016/06/blog-post_7.html

  • 原語から解釈していくのが独特。経典のオリジナルに拠らずに教えの意味だけ覚えると、自分の主観に沿って思考がずれて確実に間違うという。

  • 釈迦が生存中から知られていたという経典「スッタ・ニパータ」

    章立:怒りという猛毒を瞬時に消す、蓮のごとき「欲」を根こそぎにする、考えも感情もすべて涸らし尽くす、判断・比較・評価する心を破壊する、生きる意味を探しても得られない、「ああではないか、こうではないか」と思う気持ちをなくす、すべての言葉も考えも焼き尽くす、感受して作り上げた主観を乗り越える、すべては流れて変化しているだけ、行き過ぎることもなく止まることもなく、カチンとくる心・気になる心を殲滅する、「もう一度やり直したい」という心残りをなくす、世俗の義務感・責任感という「傷」をなくす、欲を捨て概念や推測する気持ちも捨てる、

  • 21/8/13 95 分かったような気になる

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著者プロフィール

アルボムッレ・スマナサーラ
Alubomulle Sumanasara

テーラワーダ仏教(上座仏教)長老。1945年4月、スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は(宗)日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事している。朝日カルチャーセンター(東京)講師を務めるほか、NHK Eテレ「こころの時代」「スイッチインタビュー」などにも出演。著書に『サンユッタニカーヤ 女神との対話 第一巻』『スッタニパータ「犀の経典」を読む』『ダンマパダ法話全集 第八巻』『ヴィパッサナー瞑想 図解実践─自分を変える気づきの瞑想法【決定版】』(以上、サンガ新社)、『怒らないこと』(だいわ文庫)、『心は病気』(KAWADE夢新書)、『ブッダが教える心の仕組み』(誠文堂新光社)、『ブッダの教え一日一話』(PHP文庫)、『70歳から楽になる』(角川新書)、『Freedom from Anger』(米国WisdomPublications)など多数。

「2023年 『無常の見方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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