みんなのおばけ小学校 (こころのつばさシリーズ)

著者 :
  • 佼成出版社
3.83
  • (5)
  • (5)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 77
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784333027170

作品紹介・あらすじ

ありがとう、おばけたち!廃校寸前の小学校で起きた、ちょっと不思議な物語。小学3年生から。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 花野かほる先生が校長を務める桜小学校は、入学式の写真におばけが写っていたことがインターネットで話題になり、子どもたちがどんどんと転校してしまい、八十八人いた児童がたったの五人になってしまいました。
    このままでは廃校になってしまう桜小学校…。
    悩んでいるかほる先生の前に、五十年前、小学校入学を間近に控えて亡くなってしまった幼馴染のごんちゃんや、三月に急死した桜小学校の元校長のぼんたろうなど、写真に写っていたおばけたちが現れます。おばけたちはみんな、桜小学校出身のかほる先生の幼馴染たちだったのです。
    おばけたちは翌日から、桜小学校を存続させるために、お手伝いを始めますが…?



    とってもよかったです。
    楽しいし、ホロリと泣けます。
    五人の子どもたちが隣の青葉小学校に転校しないのには理由があります。
    六年生のみさきちゃんは、どうしても青葉小には行きたくないといい、青葉中に進学するのも嫌なので、中学受験をすると言い、五年生のふたごのひろしとひろこは、青葉小で問題を起こし、桜小に入学することなったので、青葉小には行かないと言います。三年生のいっぺいは給食の野菜が食べられないから、給食のない桜小へ来ています。
    一方、おばけの方もそれぞれ生前の個性があります。
    ごんちゃんは小学校に入る前に沼で溺れてしまったのですが、運動神経抜群です。ぼんたろうは元桜小の校長だし、じろうは大工、てっちゃんは農家をしていました。けんけんは東京で三ツ星レストランのシェフをしていました。
    おばけたちは力を合わせて自分たちにできることをし、子どもたちもまた、自分たちの特性を生かして、力を発揮して行きます。
    中学年向きの短いお話ですが、どのエピソードも心に残って、よくできているなぁと思いました。
    おばけたちは明るく気のいいメンツですが、よく考えるとかほる先生と同じくらいの年なのに、それより早く亡くなってしまっているんですよね。特にごんちゃんなんかは、小学校入学前に不慮の事故で亡くなってしまっている。胸が締め付けられる思いです。ゆえに、桜小のみんなと一緒に遊び回ることができて、よかったなぁと思うと同時に、むかしの遊びの尊さや、必要性を考えさせられたりもしました。ごんちゃんとふうこちゃんの遠足でのエピソードも心に残ります。この時ごんちゃんがいてくれて、本当によかったと思うと同時に、ごんちゃんが、寂しくて、ふうこちゃんを引っ張るようなおばけじゃなくて本当によかったとも思います。
    運動会での子どもたちの活躍は眼を見張るものがあり、何よりなんだか妙に涙腺を刺激したのでした。
    中でもみさきちゃんの活躍に胸が熱くなりました。
    みさきちゃんが、傷を乗り越えて先に進めますように。

    ちょうど、わたしが住んでいる町の小学校は、桜小学校と同じ規模の小学校がいくつかあります。
    いずれは、山の方から順番に、さらに統合されてしまうのだろうとも思えます。
    たった五人でも、素晴らしい教育はできる。
    なんだかそんな勇気ももらえるお話であるとともに、どんなに威張っていたって、いずれ行き着く先はみんなおばけ、本当にそうだよなぁと思うようなフレーズがありました。
    とってもよいお話でした。

  •  入学式の写真におばけが写り込んでいたせいで、子どもたちが転校しまくって、新学期早々、児童が5人になった桜小学校のお話。

     ストーリーはよかったけど、設定として無理があるところが多いような…。お化け云々を抜きにしてもね。

     まず、廃校の話を電話して来たのが役場の人ということは、桜小は公立の小学校と思われるんだけど、だとすると、学区が決まっているから、転居もなしに転校は出来ないと思うんだよね。
     転校先の青葉小が私立ならいいだろうけど、桜小と合同で運動会をするってことは公立だろうから、やっぱ無理よね??

     それから、児童数がたとえ5人でも、給食なし、てことはない。
     その学校の給食室で作らなくても、他の学校で作って運搬するとかする。公立学校なんだし。

     細かいことだけど、いろいろと設定に無理があって、そっちが気になっちゃって、ちょっとお話どころじゃなかった。

  • 桜小学校は4月早々、廃校が決まってしまう。
    入学式の写真におばけが写っていて、それがインターネットでも噂になって、転校希望者が85人。在校生は5人となってしまったのだ。

    校長先生のかおる先生は、4月に赴任してきたばかり。
    町役場からの電話で、5人では学校は廃校にするしかない、給食も用意できないし、先生は校長先生1人だけでお願いします(今さらなかなか教室で授業は・・・)と言われて、「できます」と答えるかおる先生。
    児童たちは、6年生の成績優秀みさきちゃん、5年生の双子ひろしとひろこ、3年生の給食嫌いのいっぺい、1年生のふうこちゃん。


    かおる先生は、実はこの桜小学校の卒業生。前任の校長先生ぼんたろうも幼馴染。でも今は、おばけ。入学写真に写っていたおばけたちの一人で、他のおばけたちも、みんな知り合いだったのだ。そして、桜小学校がちゃんとやっていけるように花壇をきれいにしたり、給食の下ごしらえをしたり、おばけながらもかおる先生を手伝うことにした。
    特に6歳で死んでしまったごんのすけは、1年生として人間の生徒と一緒に教室で授業を受けて、みんなと友達になった。

    たった5人の児童の学校。
    だけど、成績優秀な生徒がいることや、作品展でみんなで作った作品が評価されたり、合同の運動会で活躍したり、まわりからも認められるようになった桜小学校。
    廃校は免れるようになった。

  • おばけが影で支える小学校。
    とっても素敵です。

  • 「桜小学校にはオバケがでる」といううわさが流れて、児童のほとんどが隣の小学校に転校してしまって、とうとう桜小学校の児童は5人だけになってしまいました。

    実はオバケというのは、新しい校長先生の同級生たちで、かほる先生が校長先生になって桜小学校に来たので、うれしくなって出て来ちゃったのでした。

    オバケの同級生たちは、桜小学校をすてきな学校にする手助けをしてくれると言いました。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1960年神奈川県生まれ。1982年より月刊保育絵本の編集に携わる。2006年『ケイゾウさんは四月がきらいです。』(福音館書店)で小学館児童出版文化賞、2010年『きのうの夜、おとうさんがおそく帰った、そのわけは…』(ひさかたチャイルド)で野間児童文芸賞、『あまやどり』(文研出版)でひろすけ童話賞を受賞した。ほかにも『おばけのおーちゃん』(福音館書店)、『ケータイくんとフジワラさん』(小学館)、『11月のおはなし どんぐりカプセル』(講談社)などがある。

「2018年 『ケイゾウさんの春・夏・秋・冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

市川宣子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
馬場 のぼる
ヨシタケシンスケ
tupera t...
なかがわ ちひろ
ふじもと みさと
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×