犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 63
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334031565

作品紹介・あらすじ

「私が一番最初にひっかかったのは、平安時代の『大鏡』に出てくる犬の声です。「ひよ」って書いてある。頭注にも、「犬の声か」と記してあるだけなのです。私たちは、犬の声は「わん」だとばかり思っていますから、「ひよ」と書かれていてもにわかには信じられない。雛じゃあるまいし、「ひよ」なんて犬が鳴くかって思う。でも、気になる。これが、私が擬音語・擬態語に興味をもったきっかけでした。」-英語の三倍・一二〇〇種類にも及ぶという日本語の「名脇役」擬音語・擬態語の歴史と謎を、研究の第一人者が興味深く解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は擬音語・擬態語の研究者である。題名の犬の鳴き声の「びよ」に惹かれてこの本を買った。江戸時代の途中までは、日本人は犬の鳴き声を「びよ」と聞いていたらしい。まあ、英語圏の人間は「バウワウ」と聞こえるらしいから、さもありなん。フィリピンの子に聞いてみるとフィリピン人は英語が堪能なので、やはりバウワウと聞こえるらしい。それにしても、英語の擬音語・擬態語が約350語に対して日本語は役1200語あるというから面白いが、何故なんだろうな。その辺は書いていないが、主に動物に関する擬音語・擬態語の変遷について詳しく書いてある。後半はちょっと間延びしたかんじかなあ。平安時代の今昔物語の擬音語・擬態語のうち生き残っているのが6割近いのは意外なのかそうでないのか。和歌に掛詞として擬音語・擬態語が結構たくさん使われているのは、新たな認識だった。

  • 日本の擬音語・擬態語についての研究と解説。
    第一部 擬音語・擬態語の不思議
         過去&今昔物語の中からの用例、その変化と寿命。
         掛詞での楽しみ。擬音語・擬態語辞典の現状と提言。
    第二部 動物の声の不思議
         犬・猫・鼠・牛・馬・狐・ももんが・ツクツクボウシの
         声の用例と歴史、変遷。
    擬音語・擬態語の索引有り。
    日本人として何気なく使っている擬音語・擬態語について、
    膨大な資料から調べ、詳しく、分かり易く説明しています。
    長い時代の変遷の中で、消滅したもの有り、今も残っているもの
    有り。また、現在とはかけ離れた言葉有り。
    例えば、犬の「ひよ」という鳴き声。
    それは、濁音表記が無かった時代の言葉。誤記もある?
    馬の声が「いいんいいん」なのはハ行子音が異なっていたから。
    鼠も雀も「シウシウ」。クツクツボウシがツクツクボウシに。
    掛詞で残った言葉など、興味深く読めました。
    それにしても昔の人々の生活には、動物・・・自然が身近にあり、
    その声や音が現代よりも繊細に伝わっていたのでしょう。
    豊かな擬音語・擬態語の表現が現在にも至る、日本語の楽しさを
    伝えてくれる内容でした。

  • 擬音語擬態語は6割近くが現代まで生き残っている。犬の鳴き声を「びよ」と聞くか「わん」と聞くか、は、単に聞く人の耳によるものではなく、野犬が多かった時代から飼い犬が多い時代へ、犬との付き合い方が変化し、そもそもの犬の鳴き声が穏やかなものに変化したもの。狐のこんこんくゎいくゎいも同様に、聞き方ではなく狐の声に2種類があったこと、などが私としては新しい視点で面白かった。あとは文学として、掛詞に多く取り入れられているのが面白い。柏木のねうねうだけでなく、ちちちとばかり鼠茸かな、や、つくづく憂し、など。日本の文学は洒落っ気に満ちている。

  • 何気なく日常で使う擬音語・擬態語の歴史を紐解く。

    最後にそれらを意識したのは、10年前に小学校で宮沢賢治の『やまなし』を扱った時だろうか。「くらむぼんはかぷかぷわらったよ」の「かぷかぷ」が今でも忘れられない。
    馴染みのないこの擬態語ですら、未だに根強く記憶に残っている。

    擬音語・擬態語の豊富さは日本特有であり、外国人がニュアンス含め完璧に理解することは困難を極めるだろう。しかし、我々日本人は細かなニュアンスまで共通認識を持つ。

    というのも、擬音語・擬態語の53%は900年間受け継がれているらしい。もはや我々のDNAとも言える。

    先日まで海外を放浪していた僕はそのDNAを持ちつつも、日本文化に疎いことを思い知らされた。恐らく我々は思っている以上に自国について知らない気がしている。

    それは海外で日本人が日本人たるアイデンティティを失うことに等しい。

    そんな中、本書は我々が無意識的に持つ独特の感性、すなわち一つのアイデンティティのルーツを探るヒントを与えてくれた。

    今後は擬音語・擬態語に着目しながらSNSや会話することになるだろうし、日常に一つ彩りが添えられたような気がする。


    ※後半は具体例が多く、流し読み。前半の好奇心を刺激する勢いを失っていたところは少し残念。

  • とても面白い

    後半は動物を取り上げてはその例を並べていく形になるので、全部通して読むのはよほどでないと、ちょっと退屈にはなるものの、新しい知の世界で面白かった
    類書のない知というのがまだまだいっぱいあるのだ

  • 他言語に比べ、日本語には擬音語・擬態語が多い。本書では、古い時代から現代に至るまでに使われている様々な擬音語・擬態語を分析し、変化や移り変わりなどを研究した結果をまとめている。擬音語・擬態語はその時代の文化や暮らしを反映したものが多いが、約半分の擬音語・擬態語は、古い時代に使われていたものが少々変化しただけで現代にも残っているものであり、擬音語・擬態語は単なる流行語ではない。
    私は幼少の頃、祖父母に「暗いところではモモンガーがでるぞ」と脅された経験がある。モモンガは実在の動物の名であることを知ってから、なぜモモンガが物の怪、お化けの意味で使われていたのかをずっと不思議に思っていたのだが、この本を読んで数十年来の謎がやっと解けた。
    ムササビは奈良時代の万葉集にも詠まれている。一方、モモンガは関東の方言であったため、江戸時代中期になって文化の中心が江戸に移ってから広がった言い方である。モモンガはモモンガとムササビの区別がつけられたのは昭和初期であり、それ以前は区別がついていなかった。ムササビやモモンガは夜行性で、夜道を歩いていると提灯に向かって滑空してくる様子が化け物を連想させ、また「モモングァ」という音が化け物を表し、人を脅かす「グヮゴジ」という言葉に似ていたこともあり、モモンガが化け物を表す言葉となっていった。ムササビの語は伝統的な和歌、オーソドックスな散文などに用いられたのに対し、モモンガの語は新興の庶民文化である滑稽本、川柳、庶民芸能の狂言などに使われた。
    書名になっている犬の鳴き方については、江戸時代中期までは犬の声として「びよ」がよく使われていたが、その後は「わん」が使われるようになった。「びよ」は犬の遠吠えの声を表したものであり、「びよ」から「わん」への変化は、野生の犬から飼い犬への変化ではないかと著者は推測している。
    日本語の擬音語・擬態語の移り変わりがよくわかる、とても興味深い本である。

    *****************************

    推薦理由:
    日本語の表現を豊かにする「わんわん」「ピンポーン」「ドカン」などの擬音語や「にこにこ」「ムカッ」「おたおた」「あっさり」「ざらざら」などの擬態語について、その歴史を調べ、時代による変化の謎を解明している。身近で使われる擬音語・擬態語について、改めて色々な知識を得られて興味深い一冊である。

    内容の紹介、感想など:
    他言語に比べ、日本語には擬音語・擬態語が多い。本書では、古い時代から現代に至るまで使われている様々な擬音語・擬態語を分析し、変化や移り変わりなどを研究した結果を示している。擬音語・擬態語はその時代の文化や暮らしを反映したものが多いが、現在使われている擬音語・擬態語の約半数は、古い時代に使われていたものが少々変化しただけで現代にも残っているものであり、マクロ的に見れば、擬音語・擬態語は単なる流行語ではないとする一方、ミクロの視点から擬音語・擬態語の推移を分析すると、時代の文化、社会、価値観を解明するのに役立つと論じている。
    『今昔物語』で使われている擬音語、擬態語を検討したところ、「キラキラ」「ガサ」「ヒラヒラ」など、その53%が900年経った現代まで継承されているという事には驚かされる。
    動物の鳴き声を表す擬音語についても、犬、猫、鶏、牛、狐などの鳴き声の歴史的変遷を追及している。本書のタイトルにもなっている犬の鳴き方について、江戸中期まで使われていた「びよ」から「わん」に変化したのは、野生の犬の遠吠えから飼い犬の吠え声への変化であり、人々と犬との関わり方の変化ではないかと推測している。
    日本語の擬音語・擬態語の移り変わりがよくわかる、とても興味深い本である。

  • https://library.tenshi.ac.jp/opac/volume/58282

    ★犬、猫の鳴き声は昔は違っていた?

    犬は昔は「ワン」ではなくて「びよ」と鳴いていた?
    江戸時代の猫は「ニャン」とは鳴いていなかった?

    鳴き声は違っても、昔から犬や猫は日本人にとって
    身近な存在だったのですね。

  • 底本は月刊言語の連載。
    1992.1-6

    古典の記述と著者訳が丁寧に書いてあるので、読みやすい。

    猫の鳴き声の歴史を知りたくて、本書を読んだ。
    第2部に記述あり。
    江戸時代は「ねう」だったらしい。
    『名語記』に記載があったとのこと。

  • ね、こ

    ねうねう

  • 擬音語・擬態語は日本語の特徴のひとつであり、長い歴史を持つ。擬音語・擬態後のパターンを分類し、その長い歴史の中でどのように使われ、変化してきたのかを解説している。

    第二部では、擬音語の中でも動物の鳴き声の焦点を当て、タイトルにあるように、昔の人はどう聞いていたのかを紹介、解説している。

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著者プロフィール

1943年生まれ。お茶の水女子大学卒、東京大学大学院修了。文学博士。実践女子大学教授、埼玉大学教授、明治大学教授等を経て、現在、埼玉大学名誉教授。2008年、紫綬褒章。著書に、『平安文学の文体の研究』(明治書院、金田一京助博士記念賞)、『生きていることば』『すらすら読める今昔物語集』『すらすら読める枕草子』『若者言葉に耳をすませば』(講談社)、『ちんちん千鳥のなく声は』(大修館書店、講談社学術文庫)、『犬は「びよ」と鳴いていた』(光文社)、『日本語の歴史』(岩波書店、日本エッセイスト・クラブ賞)、『日本語の古典』(岩波書店)、『大学教授がガンになってわかったこと』(幻冬舎)など多数。

「2015年 『擬音語・擬態語辞典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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