座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)

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  • 光文社
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レビュー : 137
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334032500

感想・レビュー・書評

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  • 何か壁に突き当たったときに具体的にどういう行動をとるべきなのか、ゲーテの言葉を引用しながら齋藤氏がとても解りやすく示してくれています。
    ゲーテに関する本をまともに読むのは初めてだったのですが、最初に読んだのがこの本でよかったです。
    「人間が自分に与えることのできるもっともおどろくべき教養は、他の人は自分のことなど求めてはいない、という確信である」
    まえがきにあったゲーテの言葉ですが、この言葉で救われる人がどれだけいるだろうと思いました。

    対象は小さく分けてうまくエネルギーを使うこと。
    人生は有限だから合理的なのは最高を知ること、それには古典に学ぶこと。
    自分の専門、使い尽くせない資本をつくること。
    書かれている中のほんの一部ですがどれもはっとさせられました。

    この本から得たものが多過ぎてとても書ききれそうにないのですが、「ある種の欠点は、その人間の存在にとって不可欠である」というゲーテの言葉から始まる章が、今の私にとってはとても響くものでした。齋藤氏は「今の社会は、癖を愛そうという風潮があまりない」と語っています。
    ゲーテは癖を愛せとまでは言っていないし、自分の欠点を正当化してはいけないけれど、少しは許すことも必要なのかもしれません。その方が生きやすそうだなと思いました。

    人は変わろうと思わないと変われないので、人生のこのタイミングでこの本に出会えたことに意味があってほしいと思いました。

  • 【要約】
    自分を限定して、小さな対象にエネルギーを集中する。
    何かを勉強する場合、これをやるんだという気構えをもつとともに具体的かつ本質的な実践として応用しなければ意味がない。
    日付を入れておく習慣づけをすることで、プロセスが記録化される。
    自分の中にエネルギーをためて、完成まではみだりに他人に見せたりせずに胸にしまっておく。
    他の作品から吸収する場合は、最高のものに触れ、独学に陥らないようにする。また、常に素材とならないかを意識し、決して使い尽くされないような資本を身につけるべく吸収するよう心がける。偏愛する対象を上手に選び、憧れの星との適度な距離感を保つ。さらに、異なる時代、異業種から刺激を受けたり、性に合わない人と付き合ったりすることで、人格に幅が出てくる。
    作品を作る場合は、極端な独創性を排し、先人の遺産を引き継ぐかたちでモチーフに則る。癖や欠点がある人物にこそ魅力が宿る。大切な一人のために作品を作りこむと、そのテーマが普遍性を獲得することがある。
    自分への投資、すなわち何に金をかけるかについて基準を持つ。一見するとつまらない儀式は音楽のようなもので、めいめいが拍子と休止を守っているにすぎないから、極端に不毛だと思う必要はない。
    自分のやっていることが当たったら、徹底してすべてをつぎ込み、やり方を変えない。他方、それと同時に、作り上げた作品にむやみに執着しないことで、その作品に対して行われる批判から距離をおくことができる。
    いいものであれば異質なものでもどんどん飲み込むタフさが、様々な面を束として捉えた「らしさ」につながる。
    納期のある仕事に邪魔が入ることで質が高まることがある。
    青春期には青春期らしいあやまちを十分にしておくことで、老年にそれを繰り返すことなく、かつ、後悔することもなくなる。

  • ★★★★集中するには、小さな対象を扱う。扱う対象を小さく分ければ仕事は楽になる。テーマを小分けしレーザー光線のようにエネルギーを一点に集中させる。自分の得意なことだけを表現する。専門バカにならないよう活動(表現)は狭くても洞察(吸収)は広くする。実際に応用したものしか頭に残らない。実践せず机上の勉強だけではすぐ忘れる。実際的・具体的に考える。吸収するためには、最高を知る。古典に接する。人生は有限。情熱を注ぐなら最高のものに。モーツァルトのピアノ協奏曲。ベートーベンの弦楽四重奏。川端康成。独創性などない。

  • 初めてゲーテに関わる本を読みました。齋藤孝氏が素人の人にわかりやすく書いてくれています。ゲーテを通じて壁の乗り越え方を提案してくれている。

  • ゲーテの格言と思われるフレーズ著者が選んで、具体例を用いながら自身の解釈を提示した本。

    タイトルからはゲーテの紹介のような印象を受けたが、読んでみるとゲーテの言葉を借用しながら現代社会の風潮の薄っぺらい点を批判しており、「なるほど」と感心させられるところが多々あった。

    中でも、古典軽視の風潮への批判は的射ており納得させられた。

    スタンダードなものとして国語の教科書で扱っていた漱石・鴎外などが消えていくのと反対に、すぐに取って代わられるような流行の作家を用いることによって、かつては世代を超えて普遍的に共有された価値観が消失し、本質から学ぶという機会が失われることに対して著者が警鐘を鳴らしているところは必読である。

    古典の効用とその価値を再認識させられたと同時に、これからでもまだまだ遅くはないから古典を読んでみようという意欲が湧いてきた。


    自分のモチベーションをコントロールするのにもいい一冊かもしれない。

  • 『基礎なき「下手うま」はただの下手』
      
    伝統や基礎を学ぶことを軽んじること、読書・学びなんて必要ない、今楽しければそれでいい、自分が儲かればいい、判断基準は「良し悪し」じゃなくて「好き嫌い」だけ、こういう考え方に一石投じた一冊。
      
    まだ途中ですが読んでてかなり耳が痛い・・・


       
    自分自身、この斉藤孝さんという著者と出会ってから古典的な文学や文化、歴史に興味をもってまだ二年くらい。   
    別に読書が絶対的だとも思いませんし、好きな人はマンガでも小説でも読めばいいと思う。   
    僕はマンガもこういうのも好きだから読んでます。

       
    けど、自分の枠の中だけの知識で生きるよりいろんな人の考え方やいろんな年代の文化・歴史に興味を持って知ることは必要。

      
      
    まだ自分自身未熟なのでうまく言葉で誰かに伝えることは出来ませんが、「好きか嫌いか」という主観だけじゃなくて、ものごとの「良し悪し」を見極めるためにはやはり基礎や文化・歴史、王道を見聞きし学ぶことは大切だと思う。


      
    今はコツコツ勉強したり、古い本を読んだり文化に触れるということが軽く見る風潮があるように感じるけど、こういう積み重ねは10年20年先の人間の厚みに差が出るのかなぁと思う。

  • 2019年6月9日に紹介されました!

  • ・いろいろ研究してみたところで、結局実際に応用したものしか、頭にのこらないからな。

    ・重要なことは、けっして使い尽くすことのない資本をつくることだ。

    いろいろ引用して教訓めいた解説をしてくれているが、ゲーテの生の言葉を読んだ方がいいかと。

    『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』『親和力』に人生における大事なことは書かれてるからね。

  • 問題を細分化する、日付をつける、心の聖域をもつ、古典から学ぶ…
    ゲーテのことよく知らなかったけど、才能、時代全然違うのに考えること、内容はなるほどと感じ意外。
    2018.9.6

  • 抽象的思考に嵌り込んでしまい、身動きがとれない状態に陥っていた。そういう精神的にどん底のとき、ゲーテの言葉が目に飛び込んできた。(中略)自分の立ち位置が分からなくなったとき、何か壁に突き当たったとき、本書を開いてほしい。何かのヒントがきっと見つかるはずだ。(「まえがき」より)
    「小さな対象だけを扱う」「日付を書いておく」「完成まで胸にしまっておく」「自分だけの師匠をもつ」―ゲーテのことばをヒントに、知的で豊かな生活を送るための「発想の技法」を学ぶ。

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著者プロフィール

齋藤 孝(さいとう たかし)
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。学者、作家、文化人の役割で多くのメディアに登場している。
2001年『身体感覚を取り戻す』で第14回新潮学芸賞を受賞。2001年発行の『声に出して読みたい日本語』は250万部を超えるヒットとなり、第56回毎日出版文化賞特別賞を受賞。
その他、『語彙力こそが教養である』など多くの著書があり、発行部数は1000万部を超える。『こども孫子の兵法』など監修作のヒットも多い。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。

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