謎解き アクセサリーが消えた日本史 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334032791

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  • 奈良時代以降、明治時代に至るまで実に1100年の間、アクセサリー文化が消滅した日本史の謎に迫る。

    古代天皇が三種の神器に代表される宝物を独占する事で支配の確立を目指した、というくだりは、言われてみればという感じ。
    上からのベクトルも意外と重要な役割を果たすのかもしれない。勿論本書はそれ以外のベクトルも示しているが。

    多角的な考察の一環として、ヨーロッパにおいて消滅したアクセサリーについても一章が設けられていたが、存外こちらも面白かった。
    古代の大型リングを太陽信仰の証として絶滅に追いやったキリスト教の破壊力は、日本において宝玉信仰を舎利荘厳具や鎮檀具という形で吸収してしまった(大乗)仏教の、ある種の寛容さと対照的に見える。

  • 十二単衣の襲色目はアクセサリーを凌駕した?着物の袖は手首も隠すし、長い黒髪は耳を隠すし。移動する狩猟民族には小さくて価値のある宝石や金は財産の持ち運びに重宝だし。農作業にはそもそもアクセサリー邪魔だし。色々それぞれ納得できるけど、なんか決め手に欠けるなあ。

  • 日本の歴史において「アクセサリー」というものが存在
    しないに等しい時期があったということ自体が大きな気付き
    であった。筆者はその理由を様々にあげているのだが(権威
    による独占や定住農耕民という文化的側面、「離島」という
    地理的要因など)、私はその他に日本人の穢れに対する意識
    が影響を与えているような気がしてならない。細かい考証
    までしようとは思わないが(笑)。

  • アクセサリーが消えた謎は解けなかった。要因のいくつかは提示されていたけど、それ以上ではない。■弥生時代、権力者のみが使用し一般農民には必要なくなったというが、権力・富の象徴として使用されたのなら、農民もそれらを使用して見栄をはり、自分を魅力的に見せようとするはず。それとも農民は完全な共産主義思想だったとでもいうのか。■海外は遊牧民族などにより常に異文化と触れあっていたため、アクセサリーの必要性がなくなったからといって消滅するのではなくずっと続いてきた、というのも検証不足。ではブリテン島は?アメリカやオーストラリアの原住民族は?アジアの小さな島々は?自説を主張したいがためのくだらない言い訳に見える。■結局、日本は耳・首・腕飾りはなくなったけども、かんざしや帯締めなど違う形のアクセサリーが続いているわけで、そもそもアクセサリーは消えていないんじゃないか。

  • [ 内容 ]
    指輪、耳飾り、首飾り、腕飾りなどの日本のアクセサリー文化は、古代には豊かに存在していたにもかかわらず、奈良時代以降、歴史のなかで忽然と姿を消してしまった。
    その後、明治維新以降に復活するまで、千百年もの間、日本人はアクセサリーを身につけることがなかった。
    なぜ突然消滅したのか、なぜその消滅が長期にわたって続いたのか、そしてその現象が日本の、ひいては日本人のどの部分に根ざすものなのか。
    日本の考古学研究者の間でも、まだ本格的に解明されていないこの謎を、『指輪の文化史』などで知られる著者が、民俗学、考古学、歴史学、宗教学、社会学、図像学などさまざまな角度から解き明かす。

    [ 目次 ]
    序章 謎を解く鍵
    第1章 豊かな古代のアクセサリー文化―縄文時代~古墳時代
    第2章 消滅までの軌跡―飛鳥時代~奈良時代
    第3章 宝玉信仰の残り火―奈良時代~平安時代前期
    第4章 何がアクセサリーにとって代わったのか―平安時代~江戸時代
    第5章 突然の復活―明治時代~現代
    第6章 消えたヨーロッパのアクセサリーたち
    第7章 生き残ったヨーロッパのアクセサリーたち
    第8章 消滅の原因を考える
    終章 三つの結論

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    [ 参考となる書評 ]

  • なるほどなぁ って思いました

  • 水と関り深い日本人にアクセサリ-が根付かなかった(確かに水仕事に邪魔である)とする論が面白かった。外国文化と日本文化の比較の部分が面白い。(2007/08/16)

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著者プロフィール

1944年香川県生まれ。現在、関西大学名誉教授、ワイマル古典文学研究所、ジーゲン大学留学。ドイツ文化論、比較文化論専攻。
主要著作
『魔女とカルトのドイツ史』(講談社現代新書)、『ナチスと隕石仏像』(集英社新書)、『「笛吹き男」の正体』(筑摩選書)、『図説 ヨーロッパの装飾文様』(河出書房新社)、『現代ドイツを知るための67章』(明石書店、編著)、『ポスト・コロナの文明論』(明石書店)など多数。

「2023年 『ベルリンを知るための52章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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