若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

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  • 光文社
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レビュー : 542
  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033705

感想・レビュー・書評

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  • 大ベストセラー。元富士通、現在人事コンサル会社代表の著者が、全編に渡って過去日本が創り上げた年功序列の矛盾点を紐解いてます。
    つまりタイトルはあくまでインパクトで、付けちゃうなら「クソ喰らえ昭和的価値観」

    ところどころ、せっせと働くことを揶揄したような攻撃性のある言葉が少し残念。
    (著者に言わせれば、この発言自体「昭和的価値観が根付いてる」のだろうが)

    ただ、じゃあ若者はどうすればいいのかという問いに対し、著者なりのエールが感じられたのは良かったです。
    年功序列が猛威を奮ったバブル期、成果主義を謳い中堅を混乱に貶めた00年代、
    この2点を20代にはまず理解して欲しい。
    そして今後は、昭和的価値観の神話を信じず、昔より開かれた他業種の門戸を意識して欲しい。

    と、著者からのエール。受け取りました。

  • タイトルから想像するのは、よくある若者叩きかもしれない。しかし実際はその正反対と言ってもいいような内容である。
    年功序列が奪う日本の未来
    とあるように、機能不全に陥ってなお失墜しない年功序列というシステム、及び昭和的価値観により、老人達から若者が搾取されているということが書かれてある。搾取のロジックを簡単に説明する。搾取する側の組織は三つ、構成員はいずれも老人だ。

    1.企業
    年功序列は、企業が成長し続けるという前提の基でしかありえず、現代社会では適さない。しかし既にそのシステムにより高い役職になった老人の高い給料を賄う必要があり、そのツケは若者に回る。具体的には、新規採用枠の削減によるコストカットや派遣労働者等の安価で若い労働力を使うことだ。

    2.労働組合
    上記内容と重複するが、年功序列により、【年を重ねただけで】重役になった人間の高いコストの削減は労働組合が阻止する。さらに、成果主義の導入も、同じようなリスクがあるため断固反対する。若者の立場からすると、成果主義を導入してもらう方がチャンスに恵まれるのに何故労働組合は反対するのだという疑問が枠。それは、労働組合もまた、年功序列組織だからだ

    3.国(≒社会)
    まず国の政策。公務員の削減による経費削減を謳い国民の支持を仰ぐ。しかしその実態はなんのことはない、新規雇用の削減、つまり若者の削減だ。既に働いている世代を首にするということはない。
    次に年金に代表される、老人優遇制度だ。医療費や年金等、高齢者向けの支払いが全体の約7割以上、児童手当など少子化向けの予算は3.7%(2007年)である。ちなみにヨーロッパでは高齢者向けは4~5割、若者向けは1割ほどは確保されている。
    さらにこれは私見だが、法律によりリストラがし辛くなっているのも、既得権益を守りたい老人達がそういうシステムを作っているためであり、これがある限り年功序列システムはなくならないのではないか。
    こうして最後まで高給で安定して努めあげた団塊の世代が引退することで、新たな市場が生まれるとする経済アナリストもいる。しかしその半面、普通の給料で普通に家族を持つ夢を断たれた若い世代、あるいはそうした家庭から生まれるはずだった新たな命が踏みにじられたことを忘れてはいけない。社会は、そうした普通の幸せや若者の未来の代わりに、大型バイクやリゾートマンションの売り上げを選んだのだ。

    こうした搾取構造、すなわち年功序列と昭和的価値観の蔓延こそが少子化の原因と著者は語る。

    では、搾取されないために若者には何ができるのか?

    まず、年功序列というレールがないことをしっかりと理解することだ。「いまはつまらん仕事でもいずれ出世するから黙ってやれ」というのは昭和の価値観で、将来上のポストに上がれる保障などどこにもないのだ。一生そのつまらない仕事を続ける可能性が高い。
    こうした古い価値観から解放されることを、【心の鎖を解き放つ】と著者は表現する。レールに先が無いと判断すれば、そこから降りる決断をする覚悟も必要だと言うことだ。
    次に、働く意味と真摯に向き合うこと。
    働くとはどういうことか、自分がしたいことが何か、内なる声に耳を傾ける必要がある。かつては定年まで勤め上げるということが目的となっていたし、それは間違いではなかった。何故なら給料もポストも必ず上がったからだ。しかしいまは違う。給料、ポスト、それらが定年まで同じでも良いのか、自分との相談になる。人が本来働く目的の中に「定年まで勤め上げる」という物は存在しないことを意識することが大切だ。
    最後に、やや包括的で曖昧な表現になるが、行動すること。
    選挙しかり仕事しかり、若者は権利を主張することが大切になる。かつて、「上の言うことだから」となんの疑問も持たずにしたがってきたことには意味があった。何故なら、そのまま我慢していればいずれ必ず相応の対価が得られたからだ。しかしいまは違う。我慢しても対価が得られない可能性があるし、それに気づいて上に文句を言おうと思った時には、上はもういないかもしれない。言われたままに動くことを求められ教育されて来た我々が、対価も求めず従い続ける様は、さながら戦時中の特攻隊のようなものだ。
    こうして古い価値観と自分の本心と向き合い、自分のいるレールの先に得られる物がないと判断した場合、違うレールに移る、あるいはレールを降り自ら道を探し当てるという判断も重要な選択肢の一つだ。

  • 近年の採用では「なんでもやります」型よりも、やりたいことが明確で専門性をもつ人材が求められているため、学生は大学時代に自分探しやスキルの習得に力を注ぐ。しかし、いざ入社してみると、想像していた業務はやらせてもらえず、習得したスキルを発揮する機会もない。このギャップからフラストレーションがたまり辞めてしまう。

    理屈としては納得できるが、自分を含め周りの人もそういった理由で辞めたり愚痴を言う人は少ない。この不景気や転職市場の厳しさを知っており、それくらい我慢しなくてはいけないと知っているからだ。

    「やりたいこと」を考えるのは、会社に入る前ではなく入ってからでも十分だ。大学時代の自分探しは大切だが、それに没頭しすぎず、「どんな仕事でもやってやる」という意識を持っていればギャップに苦しむことも少なくなるだろう。

  • 自分じゃ言葉にできなかった閉塞感を指摘してくれた感じ 少し気が楽になったような、逆に現実思い知って重くなったような とにかく内容はとてもいい

  • 大ベストセラー。以前読んだ本に、数字の重さという記事があった。それは、人が第一印象で見たときに数字が書いてあると引きつけられるらしい。
    この本で言うなら、「3年」というキーワードだ。

  • @yonda4
    これから若者に必要なのは、
    会社の敷いたレールに漠然と乗っているのではなく、切り替え可能なレールを自分でつくっておくことではないでしょうか。

    現在の自分の状況もかなり閉塞感ありです。

  • 現在の社会構造が分かりやすく書いてある一冊。年功序列が今の制度の根源であることを主張されている。
    現行制度の問題点を指摘した上で、現行制度の旨い話は「ねずみ講」と指摘していることに大いに納得した。確かに経済成長しているときや、人口がどんどん増えているときには、現行の年金制度は問題ないと思う。
    そして最終章にて、現行の「年功序列制度」に働く理由を求めるのではなく、「働く理由を取り戻す」と指摘していた点が良かった。

  • 「年功序列」。特に古い会社はそうなんです。たった6人の部署なのに、部長・課長・リーダー・平社員2人・契約社員1人。しかも部長と課長が使えない人間。まさしく著者の言う年功序列の弊害の中で働いてました。そんな中で平社員が出世したくても、上が詰まっていてできるはずもない。ものすごい閉塞感を感じ、未来ある若者はそりゃあ辞めますって。■今の日本は、政界も経済界も会社も労組も、すべてすべて既得権益を守ることだけが目的のオジサンたちが牛耳っている。若者は声をあげないといけない。メディアが垂れ流す心地良い言葉に惑わされずに、本気で自分で考えて。自分たちが退職したりフリーターしたりしてるのは決して自分のせいだけでなく、その仕組みそのものにも問題があるのだと。■一億総下流(残りが上流)時代が来ないことを願います。

  • 図書館でなんとなーく借りた一冊。
    内容の深さに驚きました、年功序列の今をしっかりと書かれており、終身こようの時代は終わったことにたいする理由をしっかり理解できたことがとてもよかった。今の世の中、キャリアを積まなきゃ生きていけないことを痛感した。

  • 昭和的価値観に基づいて制度設計され、働いてきている人たちのところに平成的価値観を持った若者が入社して、制度面や心理面でのギャップやひずみ、軋轢が生まれているのは多くの企業であるのだと思う。ただし、最近の若者はむしろ保守化してきていて、3年でやめてしまう人も減ってきているのでは。今年に入ってようやく新卒一括採用の弊害に気づいた大人たちが少しづつ採用方法を柔軟化させようとしてきているのは良いことだが、根本的な解決策には至るには遠い。

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