若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)
- 光文社 (2006年9月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334033705
感想・レビュー・書評
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この新書を買う前は最近の若者の勤労意欲が低下していることなどを書いているものと思っていました。ところが、読み始めたら全く違っていて、若者が3年で辞めるのは若者の責任ではなく、将来に希望が持てない今の日本の会社にこそ問題があることが強調してあり、非常に興味を持ちました。
年功序列制度の時代には、若いうちは低賃金と長時間労働に我慢して、でも、40代50代になると高い給料とそれなりの地位が与えられるというシステムだったが、それは多くの企業で崩壊しており、今の若い者は報われることのない労働を強いられている、という指摘が繰り返しなされています。
日本の若年層にフリーター・ニート問題があることはよく知られていますが、その責任が個人個人の資質ではなく、社会の仕組み(とくに中高年を温存する企業)に原因があるとした玄田有史著『仕事の中の曖昧な不安』(中公文庫)と同じく、若者を見つめる目の温かさに惹かれます。
著者は最後に
「明るい未来とは本来、人から与えられるものではなく、自分の手で築くものであるはずだ。その自覚を促すことこそ、本書の意図したところである。」
と結んでおり、私の若い学生さん達にも是非、読んでもらいたいと思った次第です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すごい!
この本はすごい!とてもためになった。
〜以下、◇○本より抜粋、●・コメント〜
◇p.49:人事制度の違い
○「職務給(しょくむきゅう)」:
担当する職務内容によって給料が決まる
○「職能給(しょくのうきゅう)」:
勤続年数を軸に給与が決まる
●自分は、どちらかなぁ。
半分半分かもなぁ、
◇p.53:IT系日本企業の中途採用にくる30代後半以上のコンサルタント
「優秀なんだけど、即戦力じゃないから」
断る
●あぁ、たしかに実務の話が通じないマネージャはいらないな。。
(これは、でも反対に考えたときにキビシイ現実)
◇p.93:派遣社員ほど使える存在はない
●1999年の労働者派遣労働法の改正
2002年の改正で生産業でも受け入れが認められて
はじまった大ブーム。
◇p.101:派遣労働者が増えたワケ
○経営者 「若い人間は必要だ」
○労働組合「でも、リストラや賃下げは認められない」
労使共に50歳以上に限定
ツケをを受けるのは、若者。
●ひどい!
これが、若者の正社員数激減の原因だな!
◇p.135:年功序列制度が柱である以上、人材の価値は年齢で
決まってしまう。そのため、派遣社員、フリーター
では、職歴として評価されない
●極端に言うとそうかも。
◇p.157:「大丈夫、今はきついけど、将来は楽になるから」
と騙してコキ使い、人生の折り返し地点を過ぎたあたりで
「あぁ、自分は騙されたのか」と思い知らせるようなシステム
は一度ぶち壊してしまったほうがマシであろう
●ここに筆者の主張が強く出てると思った。
日本の年功序列の人事制度がもたらす制度の不備
でも、だからといって「完全能力制」がいいのか?
◇p.166:日本の高校生が将来なりたい職業は何だろう
1999年青年研究所調査
第一位:公務員
第二位:教師
→半数が公務員
●日本の将来って、、、、
◇p.178:体育会系が好まれるワケ
強力な昭和的価値観が醸成されており
その「主体性のなさ」が従順な羊として
体育会系が好まれる
●なるほど〜、たしかに年功序列(先輩後輩)を重んじ
組織としては使いやすいのかも。
でも「トビヌケタ」人材を確保しないと存続も危うい
という採用意志と相反していて、、、う〜ん。
しかしなぁ。。
組織として動くときに、この従順さはないと
統率はとれないな。。
◇p.185:「昭和的価値観の正体」
小学校から始まるレールのなかで、試験によってのみ
選抜されるうち、人はレールの上を走ることだけを刷り込まれ
いつしか自分の足で歩くことを忘れは果てる
最後は果物のように選別され、ランクごとに企業という列車に
乗り込み、あとは定年まで走り続ける
●これがもう通用しない!
◇p.205:「楽しんで働く、ということ」
目標はひとつ、全員が楽しみ、そして全員が食っていくことです
●会社ではできないのか?独立しているからできるのか?
サラリーマンでこの道を歩む方法は?
◇p.210:「転職によって成功する人は一割程度」
というが、明確に、「自分は〜をやりたい」という動機のある
人間なら、転職は個人と応募企業の双方にとってハッピーな
結果に終わる可能性が高い
●自分の適性? 自分の夢? 何が自分にとってハッピーか?
◇p.215「10年後の自分がどうなっているか」
年収で言えば、30代後半から40代前半で昇給は完全にストップする
従来、日本企業では、50代後半が基本給にピークだったが
それより15年近く前でストップすることになる
●、、、この現実。自分の幸せをどこに見出すのか。。。??
◇p.218:与えられた仕事をこなすだけでは、けっして
望むものは手に入らない。あくまで自己のキャリア形成の
ために業務が存在すべき
●自分がどんなキャリアプランをもっているか!! -
最近の若者は、、、という言葉で片付けるのではなく、そのバックグラウンドにある背景を客観的に分析できていると感じます。私自身が若者ですので、名著と呼べる本でした。 -
久々の大ヒット!
タイトルどおりの内容を、
鋭くロジカルに考察しています。
【オススメしたい人】
・就活生
・内定者
・新卒社会人
・転職志望の中堅社会人
・最近部下がすぐやめる管理職、経営者
それ以外の人が読むのはオススメしません。
ヘコむから。向上心のない人には毒になる本です。
ロジカルで、文才もあり、多数のインタビューで積み上げたであろう
論拠から展開される内容は大変説得力がある。
しかもこの作者、若干33歳!
アンビリーバボー!! -
自分じゃ言葉にできなかった閉塞感を指摘してくれた感じ 少し気が楽になったような、逆に現実思い知って重くなったような とにかく内容はとてもいい
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「年功序列」。特に古い会社はそうなんです。たった6人の部署なのに、部長・課長・リーダー・平社員2人・契約社員1人。しかも部長と課長が使えない人間。まさしく著者の言う年功序列の弊害の中で働いてました。そんな中で平社員が出世したくても、上が詰まっていてできるはずもない。ものすごい閉塞感を感じ、未来ある若者はそりゃあ辞めますって。■今の日本は、政界も経済界も会社も労組も、すべてすべて既得権益を守ることだけが目的のオジサンたちが牛耳っている。若者は声をあげないといけない。メディアが垂れ流す心地良い言葉に惑わされずに、本気で自分で考えて。自分たちが退職したりフリーターしたりしてるのは決して自分のせいだけでなく、その仕組みそのものにも問題があるのだと。■一億総下流(残りが上流)時代が来ないことを願います。
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自分が就職してしばらく経た時、何故こんなに仕事ができない人間が自分の上司で、しかも高給取りなのだろうと疑問に思ったことは間違っていなかった。年功序列がもたらす弊害が少子高齢化に結びついているとは目からウロコだ。確かに若年層が、就職してから賃金抑制の憂き目に遭っているのを目の当たりにしている。高齢層は、我々からすれば高額な給与と退職金をもらって去っていく。成果を判断することが困難な職種があるが、そこに働く有能な労働者が、年齢に左右されることなく評価される社会・事業所は日本では実現困難なのであろうか。
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就活生にとって何のために働くかを考えるのは必要なことだと改めて実感。
何をもってして安定とするのか?大企業=安定という価値観は今では当てはまらない。結局は自分次第だと思った。 -
「今時の若者は、我慢が足らない。」「今の若い世代は、根気がなく根性がすわってない。」「現代の若者は、飽きっぽい。」などとは、よく聞く話。
しかし、近年の若者達が会社を3年で辞める真相は、どうもそうではなさそうだ。本書を読めば、コスト削減のツケが若者に向けられていること、会社に就職し、それを実感し、会社を辞めていく若者の達観した姿がそこには見える。少子化によって、確実に労働力不足になるのは明白なのに、国も企業もツケは先送り・・・。 -
この本を読んで、
「働くこととはー」
ということを真剣に考えなければならないと思いました。
今までは年功序列制度が機能していたためなんとなく働いててもそれなりのポストと給料が与えられていた。
しかし、今は年功序列はなくなりつつあり、自分達はその恩恵を受けることはできない。
「何のために働くのか-」
年功序列制度が崩壊し、成果主義にシフトしつつある今でこそ、自分の人生を楽しく送るために働くと意識していきたいです。
終身雇用の保証がなくなってしまったのなら、せめて仕事に楽しさを求めるくらいの権利は与えられてもいいのではと若者の立場から思います。
社会にまだ出てない学生の私にとって衝撃的な内容でありましたが、働くことについて真剣に考えるきっかけとなりました。
ぜひとも平成生まれの私達若者世代に読んで欲しい一冊です。