メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書 298)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033989

感想・レビュー・書評

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  • 10年前の本なので、具体例は懐かしさすら感じて面白く読めた。10年経っても状況は変わらないようにも感じるけど、こうしてネットを通じて問題意識を持ち、本を手にした人はわたしだけではないと思うので、わかりやすく問題提起をしてくれる本書のような本や記事はありがたい。

  • 武田某とい大学教授がいる。メディアに出ることも多いので、
    知っている人も多いことだろう。

    地球温暖化、資源保護、環境ホルモン等の有害化学物質等々。
    その時々の話題に必ず首を突っ込み、オリジナリティ溢れる
    理論を展開している人だ。

    きちんとした裏付けがあるなら信用もしようが、そうでないところ
    が大問題。福島第一原発事故後に放射能問題が持ち上がれば、
    案の定、便乗した。人の不幸は金儲けのネタか。

    さて、この武田某もそうだがテレビや新聞、雑誌には各種健康
    情報が溢れている。人間誰でも健康でいたい。だから、病気予防
    やダイエットなどを取り上げれば一定数の視聴率や、読者を確保
    出来る。

    一時期、納豆や寒天、バナナが店頭から消えた。そう、ダイエットに
    いいとのことでテレビ番組で取り上げられたからだ。

    現在はどうだ。どの商品もいつでも店頭にある。入手困難なんて
    ことはない。いつの間にかブームは去り、次から次へとメディアが
    繰り出す「体にいいもの」に私たちの視線は移って行く。

    巷にあふれる健康情報。それは信じるに値するのかに警鐘を鳴ら
    しているのが本書だ。テレビ番組が取り上げたことから白インゲン
    でのダイエットを試み、体調不良を訴えた人が続出したこと等を例に
    取り、メディアがいかにいい加減なデータを基に情報の垂れ流しを
    しているかを綴っている。

    著者が言いたいことは分かる。しかし、ちょっと偏り過ぎちゃいないか。
    福島第一原発事故後、「ただちに健康への影響はない」と時の官房
    長官が何度も口にしていたが、食品添加物や保存料、遺伝子組み
    換え食品について、著者も似たようなことを言っているんだよな。

    結局さ、化学物質は自然界にも存在するし、人体への影響にも
    個人差があるんだから、まるっきり安全ですよとも言えないのでは
    ないか。

    何度も捏造が発覚しても同じことを繰り返すメディアは勿論問題
    ではある。ニセ情報を流しっぱなしで、その後の訂正なんてない
    に等しいもの。

    そして、良心を持った科学者がいる一方で、メディアに名前と顔
    が売れればなんでもありの科学者がいるのも確か。

    メディアに踊らされないこと。これが一番肝心だよね。

  • 「健康食品」と称されるものの中に、有意な効果があるものがあるのだろうか? と思っている。もちろん、嗜好品としての価値はあるだろうけれど。
    本書には出てこないが、ヨーグルトや乳酸菌飲料は、原料となった乳、糖を同量摂るのと違う「効果」を持つのだろうか?

    本書は、近年メディアで取り上げられた根拠不明な「健康情報」を、定量的に評価してくれる。
    そして、かつて新聞記者として十年間この種の活動を行なっていた経験から、そうなる仕組を教えてくれるところが、大変よい。

    以下、評者が教えられたこと:
    ・DDT はマラリアを防ぐベネフィットが大きく、2006/9 に WHO が推奨した
    ・PCB の適切な分解処理は、カネミ油症事件が起きた北九州市が最初に事業を具体化した
    ・紅茶には血管拡張作用があるが、ミルクを入れるとその効果は阻害される
    ・「環境ホルモン」が野生生物に影響を与えている可能性を指摘した本の原題には “A Scientific Detective Story” の副題が付いていたが、和訳ではそれが消されていた。
     また、日本では「環境ホルモン」は研究費を増やすために、政府と研究者とが煽った可能性が高い
     環境ホルモンに限らないが、報道関係者の通常の行動は、「あの話は怪しい」と思ったら、否定に回るのではなく単に足を洗い、「そう主張する研究者がいるという『事実』を報道したのであって、自分も被害者だと言う」である
    ・「悪いニュース」だけが報道する価値のあるニュースである
    ・食品添加物の摂取量が報じられることがあるが、その値は総摂取量であり、もともと食品に含まれている量の方がはるかに多いことが、ままある。

    言われなくても知っていたのは、マイナスイオン みのもんた


    驚いたのは、多くの面で信頼できる医師が、「ブルーベリーが目によい」説を信じていたこと。
    やはり、「健康食品」や「サプリメント」には近付かないのがよさそうだ。

  • 『漢文脈の近代』が今年の読み納めになるかと思っていたら、この本も読了できてしまった。
    もう十年前に出た本ということにもなるけれど、現在読んでも有益なところがある。

    似非科学批判や、怪しい健康情報を垂れ流すテレビ番組が大きく社会問題になってから出た本。
    誤った情報への批判もさることながら、なぜそういう情報が跋扈するかという構造を指摘している。
    科学ライターの経済的、社会的な報われなさや、マスコミの利益追求の姿勢といったことは、他でもよく指摘されているところだ。
    それに加えて、プロである科学者が問題を感じていても頬かむりをしてしまう体質も指摘されていた。
    それ以外にもバイオマスやトランス脂肪酸に関わって、各国の利害誘導のことも述べられていた。
    問題は複合的に起きていくことがよくわかる。

    最終章に、だまされないための十か条が掲げられている。
    が…それを実行するのは、正直言って難しい。
    特に、新しい情報にアップデートし続けるのは、私たち素人には高い壁だ。
    実際、一時盛んに報道で危険視された環境ホルモンや遺伝愛組み換え食品の問題。
    この本の発刊時に、危険性は立証できない状態らしい。
    いずれはっきりするのかもしれないが、シロとなったら、筆者がいうように、マスコミはそれほど報じないかもしれない。
    知らないまま、そのままになっているのかもしれない。
    専門家による良心的なサイトもできてきているというが、信頼できるかどうかを見抜ける科学リテラシーがあれば、そもそも怪しげな情報に踊らされないはずで。

  • 10年もまえだと若干古くさいのと、論旨もそれほどグッとはこない

  • メディアが情報をどう扱うか、興味深いものがありました。話題になれば良い、間違っていても責任を追及されない形で掲載する、などなど。
    20年前に流行った「買ってはいけない」の著者がまだ現役でいられるということは、それなりのマーケットがあってだまされる人が継続的に存在するんでしょうね。
    この本が書かれたのは東日本大震災の前だけど、震災後のメディアおよび一部の急進的な方々の評価の参考になります。

  • 2015/12/17

    非常に読みやすかった

    スローフードやバイオエタノール、
    トランス脂肪酸の所が印象に残った

    前の方がレビューで書いてある通り、
    The New England journal of medicineは
    英国ではなくアメリカのマサチューセッツ内科外科学会によって発行される医学雑誌

  •  あるある大事典から始まる(この本には書かれていないけれども、STAP報道をめぐる手のひ ら返しを含め)、エセ科学を検証もなしにメディアで紹介されることとと、その信用性に ついてこれでもか!と力説した本。
     言ってることは確かにそうなんだろうなぁと思うのだけれども、イマイチ観点に中立性がないと いうか「今のメディアは間違ってる!」という姿勢が透けて見えるような気がするのが個 人的な感想。

     この著者もかつては同じような立場でメディアに居たわけで、それを反省しているとは書いてい るけれど、では、今の姿勢が正しいといえるのだろうか?

     方向は違っても「正しさ」を主軸に置くと、ちょっと息苦しい感がある。

     瀉血をすることが科学的(?)に正しいと思われていた時代もあるわけで、未来から見れば、 STAP細胞があって、エセ科学と呼ばれるものも正しい可能性すらある。

     この本に書かれていることも絶対ではない。けれど、受けては自分に対して問い続けるのをやめ てはいけないと思った。

  • 食の安全、安心に関心のある人に読んでほしい。
    メディアが安易に流す視野狭窄で膨大な情報に惑わされることなく、自らの健康を守るために。○○は体にいいなどという謳い文句のように、自然界は単純ではないことを痛感できる。
    他の著書も読みたい。

  • 巷に蔓延するウソを的確に暴いているのだが,著者自身も調査不十分で書いているというか,常識不足な部分があるのが残念。New England Journal of Medicineは英国ではなくて米国の医学誌。こんな基本的な事を間違えてたらダメでしょ。これで星3つに減点。

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