ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書 301)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034016

作品紹介・あらすじ

二四年前、ナショナリズム研究の最重要書のひとつである『想像の共同体』を著したベネディクト・アンダーソン。彼が二〇〇五年、早稲田大学で行った二つの講義を収録するとともに、そのメッセージを丁寧に解説する。世界の見方が変わる、アンダーソンとナショナリズム理論への最適な入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 『想像の共同体』がとても難解な本なので、この本を読んでようやく入り口に立てる、という感じ、

    2005年の早稲田大学で行われた講義録と、梅森直之氏による解説、講義のあとに行われた質疑のなかから14の質問回答で構成されている。

    新書だがなかなか濃い内容で素晴らしいと思った。

    現在すでに2022年だが、まさしく今読むべき本なのかもしれない。

  • 「国民とはイメージとして心に描かれた想像の政治共同体(imagined political community)である」という言葉で有名な『想像の共同体』の著者、ベネディクト・アンダーソンの早稲田大学での講演録です。本書の半分がアンダーソンの講義録で、残りは梅森教授の解説だったのです。講演本体もさることながら、特に一番最後の会場との質疑応答「アンダーソンを巡る14の対話」が興味深かったです。例えば、「アジア」という概念は、元々、古代ギリシャ人から出てきた概念で、「エーゲ海の向こう側の地域」という意味だったので、今でも自分を「アジア人」だと認識しているアジアの人はいないといった話などが。

  • <想像の共同体>の提唱者ベネディクト.アンダーソンが’05年、早稲田大学で行った二つの講義とその解説。     -20091101

  • 早稲田大学での講義において、アンダーソンは言う。1970年代のポルトガル帝国の崩壊で植民地解放の時代は終わった。一般に言うグローバル化の時代、すなわち世界が経済的に結ばれる時代はこの辺りからだろう。ここで筆者は問いかける。グローバル化の流れに従うのか、自分たちのやり方で進むのか。だが、ここで二項対立に陥る必要はない。アンダーソンが言う初期グローバリズムは、1870年頃からの通信・輸送の革命に始まる。この時代、アナーキストたちは他国のアナーキストたちの思想を翻訳した(ちなみに、19世紀の最後の四半世紀はマルクス主義の影響は弱まっており、その再興はボリシェヴィキの登場まで待たねばならなかったとアンダーソンは言っている)。つまり、「つねに他の地域のナショナリストの理念と実践を意識していた」のである。彼らは世界の経済をつなげようとしていたわけではなかった。それでも、境界を作ることなく人々の間に新たなつながりを作り出すことに成功していたのだ。

  •  私は日本生まれの日本育ちで、日本語話者だが、なんでかしらん、自分を日本人だと言うのがイヤだ。
     ネットだと「だったらどっか他所の国にでも行ったら?」とツッコミが入りそうだが、できるものならそうしたい。でもきっと「何処か別の所」など存在しないのだろうなという予感もある。きっと何処に行ってもそこは自分の居るべき場所ではないのだ。
     そういう落ち着かない感覚をあらためて見直して考えるのに、この本はすごく良かった。
     19世紀末に世界を放浪した革命家のエピソードには胸が躍るが、今の世の中には何処にでも行けそうなのに何処にも行けない人、何処に行っても仕方のない人が沢山いるように思う。
     

  • ベネディクトアンダーソン グローバリゼーションを語る


    自著「 想像の共同体 」やナショナリズムについての 講義録。ナショナリズムの思想的背景や歴史がまとまった良書。編著者のまとめも わかりやすい


    テーマとキーワードが同じなのに、ベネディクトアンダーソンの論考と姜尚中 氏の論考では 全く反対の印象を受ける。ベネディクトアンダーソンは 読み手に希望を与え、姜尚中氏は 日本に反省を促している。


    名言「ナショナリズムこそが帝国主義的支配を断ち、抑圧された民族に自由をもたらす原動力であった」


    日本人が日本語を話すのではなく、日本語を使うことで日本人になるというテーゼには未来を感じる


    質疑応答の中のベネディクトアンダーソンの言葉に苦笑「謝らなくてもよいほど立派な政府なんて 世界に一つも存在しない」



  • 日ごろよく耳にするグローバリゼーションという言葉だが、ここではやや違った意味にとらえられている。『想像の共同体』自体を読んでいないので、いまひとつ話題にされていることがピンとこなかった。

  • 面白く読めた。
    けれど、主題部のあまりの短さに驚愕した。

  • 【要約】


    【ノート】
    ・「想像の共同体」を読んで興味を持ったら、という感じ。この本はamazonの関連本で知った。

  • 出口治明著『ビジネスに効く最強の「読書」』で紹介

    2005年、早稲田大学における二つの講義を収録。ナショナリズム理論入門。

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著者プロフィール

現職:早稲田大学政治経済学術院教授
専門分野:日本政治思想
代表著書:『初期社会主義の地形学(トポグラフィー) 大杉栄とその時代』有志舎、2016年
『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』光文社、2007年

「2023年 『アポリアとしての和解と正義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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