- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334034054
作品紹介・あらすじ
日本のホワイトカラーの労働生産性は、本当に低いのか?メディアなどでよく報じられる労働生産性の国際比較によれば、OECD(経済協力開発機構)加盟三〇カ国中一九位、主要先進七カ国(G7)のなかでは最下位となる。しかしこれは、ブルーカラーも含めた労働者全体の労働生産性であって、ホワイトカラーの生産性だけを抜き出したデータは存在しない。本書では、入手可能なすべてのデータをもとに、あらゆる角度から日本のホワイトカラーの実力を論じる。
感想・レビュー・書評
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久々に経済の本、そして今テレビ出演もされている門倉さんの本ということで気になって読んでみた。
ホワイトカラー・エグゼンプションの導入の是非や、終身雇用や年功序列の制度が破綻しかけていく今後において、ホワイトカラーのあり方について述べられている。後者は、企業に頼らずに自己啓発し、エンプロイアビリティを高めていくことがその人本人、そして世の中においても重要である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
統計を駆使して日本におけるホワイトカラーの実態を解説。ちょっと難しい本だったかな。論文みたいな内容。
数字の取り方によっては決して日本のホワイトカラーは高いお金をもらってるわけじゃないとのこと。2007年の比較的景気のいいころの本なので、2011年の今は状況はもっと変わっているかな。 -
ホワイトカラーについて知りたくて読書。
エンプロイアビリティという言葉を初めて知る。
僕は2000年社会人デビューなので景気のいい日本を知らない。学生時代の同級生でも卒業後、1度も転職していないのは公務員やマスコミ、民間企業の教師とほんの一部の業種の人に限られている。
本書でホワイトカラーが50パーセントを超えたとあるが、そそもそもホワイトカラーの概念がよく理解できていない。
労働人口が減少する日本で、今後、景気回復、持続的な経済成長をするためには、マクロ的に労働人口を増やしつつ、大量に抜けた団塊世代の分の給料を若い世代に振り分ける必要があり、派遣や契約社員の割合も減らしていった方がいい。今の韓国のような状況になる前に。
昭和10年代くらいの東京は世界の都市の中でも転職率が高い都市だったそうだ。終身雇用的な制度は、労働者に安心感を与え、将来への展望と希望を抱かせる意味では重要な制度でもある。同時に、エンプロイアビリティの高めることを積極的に支援し、転職を促すような会社がもっとあってもいいと思う。どのような働き方がいいかは労働者が選択すればいいし。
成功の定義が個々で異なるように、幸せの定義も異なる。これからの日本は、戦後生まれの職縁社会から会社に属さなくてもフリーランスでも働ける社会へ変わっていくのだろうか。そうするとホワイトカラーという言葉は完全に死語になると思った。
読書時間:約1時間
本書はバンコクのエリートサンブックスで購入しています。 -
ホワイトカラーはその労働生産性を定量的に図るのが難しいよという前提の上で書かれたもの。
そのため、ホワイトカラーと考えられる職種でも、例えば業務請負で仕事の単位が明確になっているような業態は、本書の「ホワイトカラー」には外れる。
あくまで、バックオフィス業務や、企画設計などの、最終成果物がよくわからない、そして複数の工程にまたがっているため、費用計上するときの科目が直接費に計上されないような、そんな業務に従事している人達のことである。
アメリカに比べ、日本はホワイトカラーの労働生産性が低いとされている。ただし、アメリカでは闇労働が非常に多く、カリフォルニアでは10%が不法移民による労働とされる。当然統計上はその数字が計上されないため、労働生産性の見かけは増大する。
最も、その種のノイズを除去しても、日本の労働生産性は高くないが。
ホワイトカラーの賃金決定は難しいものであるが、総務業務を始めとするバックオフィス業務は、派遣などの外注が占めるようになった。
これからもどんどん派遣や外部委託が進んでいくであろう。
そのうち、企画設計などもどんどん外部委託が進むのではなかろうか。
ああ、そういや設計は相当数派遣で賄ってるか、、もう -
ホワイトカラーのあり方とは?
→労働市場が進んでいる現在ではエンプロイアビリティつまりどの企業でも通用する普遍的な能力を高めていく必要がある
それには、自分の能力を客観的に把握し目標とする能力とのギャップを自己啓発投資によって埋めていく -
BRICs経済研究所代表の門倉貴史(1971-)による、ホワイトカラー労働者の労働生産性分析
【構成】
プロローグ 法案提出見送りとなった「ホワイトカラー・エグゼンプション」
第1章 本当に日本の生産性は低いのか
第2章 残業はなぜ増える
第3章 ホワイトカラーの給料はどうやって決まるのか
第4章 日本のホワイトカラーはどこへいくのか
著者は『ワーキングプア』や『派遣のリアル』などの著作で知られているが、本書はホワイトカラー労働者、わけても若年層の労働実態と今後の展望について語られている。
まず、OECD統計に基づいて従来言われていた「日本のホワイトカラーは労働生産性が低い」という主張に対して、購買力平価の算定基準の妥当性、闇労働が統計から除外されている、零細な中小企業の割合が高い点などから、十分な根拠を持たない国際比較であると疑問視している。
つまり、根拠のない「労働生産性が低い」という主張が十分に検証されていないまま、ホワイトカラーの労働生産性を高めるために、「失われた10年」のリストラ後に数の減った社員に対して「サービス残業」が強いられている構造となっている。
さらに、中小企業のホワイトカラーは景気の上昇局面にあっても賃金抑制が行われ、日本ではの労働力の流動性が低いために、転職による賃金上昇という選択肢も難しい状況にある。
グローバリゼーションが進めば、過去半世紀以上にわたって維持されてきた戦後日本企業の雇用・労働の枠組みは解体され国内のみならず国際的な労働力流動性が高まっていくことは必至であろう。それに対応するため、ホワイトカラーは会社に依存するのではなく自ら「エンプロイアビリティ」を高める努力をする必要があるし、企業や政府も労働時間を減らして彼らが自己研鑽を行う時間を与えるべきだという著者の主張は肯ける。
同様のテーマを扱った森岡孝二『貧困化するホワイトカラー』(ちくま新書)が「ホワイトカラーの非正規化」を中心にややアカデミックな議論が展開されていたが、本書はもう少し漠然としたホワイトカラーのアウトプットと賃金の関係が取り上げられているため、よりキャッチーな内容だと言える。 -
「日本のホワイトカラーにとっては、平均的な労働生産性の改善よりも、個々の労働生産性のバラツキの改善が必要である」
だそうだ。 -
日本のホワイトカラーについて、さまざまなデータをもとに、いろいろ主張しているのだが、どうも説得力が薄いような気がする。
著者はエコノミストだけに、詳細なデータを引用するのだが、どうも資料の「かって読み」のようにも思える。
要は、本書の内容は素人には「わかりにくい」のだろう。わかりやすいエピソードを引いて、その解説に専門的なデータを持ち出す手法は、どうも胡散臭くかんじると思うのは私だけだろうか。 -
労働生産性と購買力平価の算出方法が参考になった。
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結論として、給料ドロボーなのか否なのかわからなかった。
終身雇用制が崩壊した今、一人一人が自分の能力を客観的に把握し、目標とする能力とのギャップを埋めていくことが大事であり、また、企業も、個人が転職してもやっていける能力を身につけさせていく事が当然の義務である。