「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034269

感想・レビュー・書評

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  • “言語技術”というタイトルに魅かれて選択。
    サッカー本ですが、ビジネス・子育てなどのすべてのことに当てはまる内容です。
    『ファーストタッチには“論理”が働いていないといけない』
    自らを省みてもできていないことだらけ。。。。
    足しか使えないスポーツなので論理とコミュニケーション、大切ですね。
    最終章が論理+非論理ってのがまた良い。

  • 面白かった。参考になる話がいくつもあった。

  • 教育実習で現代文の授業をしたとき、(自分の授業力不足は勿論あるが)特に理系の生徒がせっせと数学やら化学の問題を解いているのが印象的だった。現代文はなんだかホワッとしている(ように思われている)。事実、テストの時はともかくとして、学校の現代文の授業では「この文書を読んであなたは何を考えるか」のいうような正解のない問いかけが求められる。しかし、そのような答えの曖昧な問いはなかなな生徒に好まれない。彼らが求めるのは往々にして正解がただ一つだけしかない問いなのだ。

    こんなことを思ったのは本書にこんな記述があったから。

    ◼️p10-11 では、15〜16歳の選手の場合、ゲームを止めると、次にどうすると思いますか?黙って私の目を見る子どもが実に多いのです。その表情は、私の言おうとしている答えを探し出そうとしているようにしか見えません。自分自身で答えを探すことよりも、私の解答を求める様子がありありと見えるのです。

    サッカーと言語技術というとまるで関係ないもの同士にも見えるが、実はサッカーとは論理的スポーツ、選手が言語でもって「なぜ?」を掘り下げていくことで上達するのだというのが本書の主張。そこには唯一の正解はない。果たしてこのプレーは何のためにするのか、そういうプレーをした理由は何であるのか、そういった一つ一つの思考を積み重ねていくことで、ただ「なんとなく」「漫然と」プレーしてしまうことを防ぐのだ。

    意味あることをするために考える。或いは考えた上で意味のある行動をすることを繰り返す。気合や根性といった古くからの体育会的思考方法ではもはや通用しないのが昨今のグローバル社会なのだとしたら、本書にあるような、言葉で以って思考し、論理的に考えた上で行動を繰り返すというような方法はどの分野であっても有効だろう。

    本書はとても興味深く読めたのだが、最後の「日本の伝統云々」の部分は知識の浅さが見えたのでむしろ要らなかったのでは?

  • サッカー選手は判断力が求められ、自分の考えを他人に伝える能力、即ち言語技術が必要。運動能力のみではいけない。
    指導者も然り。

  • 会社でいつも上司に怒られている人がいる。

    上司「何でこうしたんだ!!」
    同僚「すみません…」
    上司「すみませんじゃなくて何でだ?って聞いてるの!!」
    同僚「…」

    同僚はよっぽどやましいことあるか、根拠無く行動してるんだと思うし、話していて色んな説明聞いても何故そんな理屈になるのかわからない。

    一流のサッカー選手は一つのパスにしても明確な理由があり、それを言葉に出して説明できるそうです。確かに一流のアスリートのインタビューは聞いていて本当にしっかりした受け応えだなぁと感じる。

    今度この本をコッソリ同僚の机の中に入れておこうと思います。

  • 三森ゆりか氏がでてきてびっくりした
    「バカ蹴り」って言葉を知った

  • 【思考方法】
    サッカーにおける論理的思考の実践。
    日本人の論理的思考力の弱さをここにも見る。

    【サッカー】
    子どものサッカークラブでもすぐに実践できることがいくつもある。また示唆もある。
    指導者の育成が重要。
    考えるサッカーとはプレーに理由があること。それをチームで共有すること。そのためには、他者の視点で考えることも必要

    【リーダーシップ】
    エリート教育についての正しい理解が必要。
    ロジカルコミュニケーション
    人間性

  •  つい先頃行われたU-20女子ワールドカップ。日本はアメリカ・ドイツの二強につぐ3位と大健闘でした。

     そのヤングなでしこを特集していた某番組で、ヤングなでしこの田中陽子選手らがJFAアカデミー福島にいたことが紹介されていました。同番組ではJFAアカデミー福島での指導として、絵画を見て何が描かれているかなどをみんなで話し合う、というのが紹介されていました。
     この番組を見た時は、何となく「何か知ってるような気がするんだけど…」と思ったのですがそのままでした。
     その「何となく」に気づいたのは、小田嶋隆さんのこの記事(「ヤングなでしこの受け答えが示す『サッカーと言葉のつながり』」こ」http://sportiva.shueisha.co.jp/series/odajima/2012/09/04/post_40/)を読んだときでした。
     「あ、そうか! 彼女らの高い判断力としっかりした受け答えはJFAアカデミーの指導の賜か!」

     で、急いで書棚にあった本書を引っ張り出して再読した次第です。
     本書の内容を、以下、カバー裏の紹介から引用します。

    《「そのプレーの意図は?」と訊かれたとき、監督の目を見て答えを探ろうとする日本人。一方、世界の強国では子供でさえ自分の考えを明確に説明し、クリエイティブなプレーをしている。
    日本サッカーに足りないのは自己決定力であり、その基礎となる論理力と言語力なのだ。
    本書は、公認指導者ライセンスやエリート養成機関・JFAアカデミー福島のカリキュラムで始まった「ディベート」「言語技術」といった画期的トレーニングの理論とメソッドを紹介する。》

     思考の材料は言語ですから、言語力を高めることでより精度の高い思考を操ることができるようになります。そして、言語力と論理力を高めることで、普段から自分の行動や一つ一つのプレーに明確な理由・意味を考えるようになります。明確な理由・意味をセットにして行動することとは、、すなわち何かを判断することですから、日々のこのトレーニングが試合の時に的確な判断を下せる素地となっていくわけです。
     更に、JFAアカデミー福島では、一枚の絵を見て意見交換したり、ゴール前の敵味方のポジション図を見せて「A選手からはどう見えているか?」「B選手からだとどうか?」などを考えさせることもしているそうです。これにより、視点を切り替えさせ、他者の視点からものを見、考える練習をさせているわけです。思考の型として「他者の視点」(他のチームメイトや敵からはどう見えているのか)を常に意識させることが、敵の裏をかいて味方にどんぴしゃのパスを出したりするクリティカルなプレーにつながって行くわけです。

     数年前に本書を読んだ時は「ほぉ~、JFAはまた面白い取り組みをやってるなぁ~」と感心したんですが、JFAアカデミー福島の第1期生・田中陽子選手の活躍とインタビューを見るにつけ、著者らの指導方針は間違ってなかったと思いました。

     今回のU-20女子ワールドカップの結果を受けた今読み直すのが旬の本です。

  • 言語技術とサッカー。そのつながらない、ふたつのものがどのように展開していくのか?

    そんな好奇心がこの本を手にとった理由。



    サッカーの学校で、絵を教材に勉強させているようだ。

    絵の分析は、状況分析と論証力を育てるのに良いという。

    その場の変化に合わせて、自分のとるべき行動を計画に即座に

    イメージすることが一流選手に求められるという。



    「君たちはエリートだ。選ばれた選手だ。電車に乗る時はまず、先に他の人に座ってもらう」

    そんな指導も学校で行う。サッカーをとおして、人間教育がされるのだ。



    論理的に考えないと、試合もうまく進まない。

    あうんの呼吸を乗り越えるものをひとつもつことで、日本のサッカーも大きく

    変わっていくのだろう。

  • 目の付け所が面白い。サッカーに関しては詳しくないが興味深かった。
    サッカー界で一貫した選手育成が目指されていることが良く解る。監督のライセンスも知らなかった。


    名言録⑥の「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない。」という言葉に共感。

著者プロフィール

田嶋幸三
日本サッカー協会(JFA)会長。1957年熊本県生まれ。筑波大在学中にサッカー日本代表に。卒業後、古河電工入社。83~86年ケルンスポーツ大学に留学し西ドイツサッカー指導者B級ライセンス取得。筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。2001年U-17日本代表監督として世界大会出場。JFA技術委員会委員長として日本代表の強化、JFAアカデミー福島スクールマスターとして若年層の育成に取り組んできた。15年よりFIFA理事(カウンシルメンバー)。16年よりJFA会長。19~21年日本オリンピック委員会副会長。主著に『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(光文社新書)。

「2022年 『批判覚悟のリーダーシップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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