4-2-3-1: サッカ-を戦術から理解する (光文社新書 343)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034467

作品紹介・あらすじ

これは、ピッチ上に描かれる"デザイン"についての本だ。つまり、サッカーゲームの進め方の話であり、戦術の話であり、布陣の話である。「やっぱり、4バックより3バックのほうがいいよね」「オレは4-3-3が最強だと思うけど」といったサッカー談義をよく耳にするが、いくら熱っぽく、理屈っぽく、監督目線・評論家目線でその理由を語ったところで、ベースとなる戦術や布陣に対する知識がなければ、まるで説得力はない。しかし残念なことにその知識は、欧州では日常的に語られていても、いまの日本では満足に語られるものではない。いや、むしろすっぽり抜け落ちているものだと言っていい。けっしてまだ、「常識」ではないのだ。-本書では、攻撃サッカーを象徴する現在流行の4-2-3-1をはじめ、サッカーの代表的な布陣を戦術的な観点から分かりやすく解説していく。

感想・レビュー・書評

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  • 3バックのシステムを組んでると自ずと5バックになってしまう理由などがわかりやすく説明されている。

  • よくわからない

  • 1998年から2006年までを主体に、3つのW杯と欧州の試合を見続けた著者が考察する戦術と試合結果との因果関係。一昔以上の話で、4-2-3-1は欧州では下火となっているようだ。恥ずかしながら、06年まで日本代表のシステムには目を向けることなく応援していた。勝敗に一喜一憂していたのは、本書で指摘された勝利至上主義だったのかも知れない。日本代表が採用した3バックはMFが押し込まれて5バックに成り下がり、サイドをえぐって攻撃できなかったという知見に納得。

  • サッカーは布陣でするものか、否か
    番狂わせは、弱者の工夫なしには生まれない
    4列表記の誕生
    アリゴ・サッキの「プレッシングフットボール」
    ブラジルがドイツワールドカップで負けた理由
    攻撃サッカーのルーツ、オランダ
    ファンタジスタは布陣を嫌う
    サッカーは布陣でするもの、ではない?
    そのとき、ジダンは後悔したか?
    4-2-3-1か、3-4-1-2か
    トルシエはなにがしたかったのか?
    ヒディンクコリア
    日本代表、空白の8年間
    布陣が選手を育てる
    敗戦からなにを学ぶべきか
    ジャイアントキリング
    負けるべくして負けたジーコジャパン
    オシムが目指したサッカー

    著者:杉山茂樹(1959-、御殿場市、スポーツライター)

  • 「4-2-3-1」とはサッカーの布陣を示す表記方法。
    数字が4つ並んでるところがポイントなんですね。
    日本だと「3-5-2」「4-4-2」など「DF-MF-FW」の3段階の表記になる。
    4段階で布陣を解釈しようという文化が存在しないわけです。
    この時点ですでにギャップがある。

    欧州のサッカーが戦術重視なのは、個人技ではブラジルに勝てないのが分かってるからだ、というのが著者の理解。
    即ち、布陣・戦術というものは、弱者が強者に挑み勝利をものにするための手段、だと。
    サッカーの世界では「弱者」である日本が、何ゆえ布陣・戦術というものに対してこんなにも無頓着・不勉強なのか、それでは強者に勝てるわけがないじゃないか、という強い憤りが沸々と伝わってきます。
    ましてやジーコのように試合前日にスタメンを公表するような愚行には、開いた口が塞がらないとこき下ろします。

    多彩な具体例をもって、布陣と戦術の実例が説明されていますが、もっとも強調されているのは「サイドを制する」ことの重要性。
    ピッチの中央部にいれば周囲360度から敵がボールを奪いに来る。
    タッチライン際であれば、ケアすべきエリアが半分の180度に減る。
    また、ピッチ全体にワイドに拡がる陣形をとれば、相手の保持するボールにプレスをかけやすい→高い位置でボールを奪いやすい→効率的に攻めやすい。
    「4-2-3-1」の「4」と「3」にそれぞれサイドプレーヤーを配し、左右それぞれ2人ずつで攻め守ることのメリットが繰り返し説かれます。
    確かに、本の中でも紹介されてますが、オシム監督のときの日本代表で、左サイドに駒野と三都主を2人置いて効果的なサイド攻撃を繰り返した試合は自分も印象に残っています。

    しかし、そうだとすると日本ではそういう布陣がどうして流行らないんですかね?
    本当に、著者が言う通り、サッカー文化の低さゆえに、日本代表にしてもJリーグにしても監督の知見と能力に問題があるからということだけなんだろうか。
    プレーヤーの方には問題ないんですかね。
    まず優秀なサイドアタッカーの数が少ない。
    また、サイドを厚くすればそれだけ中央が薄くなるわけで、例えば1トップが務まるだけの強靭さと巧さを兼ね備えたセンタープレーヤーがいない、とか。
    あるいは、よく言われる話だけど「キャプテン翼」の影響で、日本では巧い選手はみんな「司令塔」役のポジションに偏ってしまう、とか。
    人材がいないから布陣が限られるのか、布陣を工夫しないから人材が育たないのか…一概には言えそうにない気もします。

    ここまで徹底してサッカーの布陣について語ったものを読んだことが無かったので、サッカー好きの素人としてはとても面白かったです。
    クライフとかヒディンクとか、一流監督へのインタビューも豊富だし。
    特にヒディンクに「トルシエは日本協会から幾らくらい年俸を貰っているのか?」と質問されて答えたら数日後に韓国代表監督に就任した、なんてエピソードが生々しくってよかった。
    先般読んだ「日本人はなぜシュートを打たないのか?」とは全く異なる視点でのサッカー論ですが、それぞれにサッカーを観る楽しみを増してくれること請け合いです。
    まあどっちにしてもテレビ観戦してるだけじゃサッカー観る目も養われないわけだけど…

  • サッカーにおいて監督の能力、戦術、采配がいかに大事かがわかる良書。
    サッカーをする人も見るだけの人も勉強になると思います。

  • 少しはサッカーのことも知ってみようと思ってよんでみた。

  • おもしろく一気に読めました。サッカーを見る視点が180度変わります。文中に日本のメディア・サポーターに対する苦言がありますが、自分もまさにその通りだったと感じました。

  • サッカーの戦術論.いままでこのような視点でサッカーを見たことが無かったのでとても新鮮.こういう見方もあるのねと思いながらも,サッカーを観戦するときはもっとリラックスして単純に見ないと疲れちゃうなとも感じた.かなり玄人向き.

  • もっと浸透してほしい。ニワカ監督たちにも読んでほしいですね。日本代表に戦術が伝達するまで8年!!昔の戦争戦術と一緒ですからね、、その最果ての地を実感しますね。ここから南米の個人技と欧州の戦術のいいところ取りをすべきだな。

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著者プロフィール

スポーツ・ライター

「2015年 『攻撃的サッカー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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