愚か者、中国をゆく (光文社新書 350)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034535

感想・レビュー・書評

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  • よくあるアジア旅行記であるが、どちらかというと著者の青春の1ページ
    という感じの作品。
    貧乏海外旅行や留学経験がある人ならば、
    「こういう感情分かる!」と共感できる部分も多いかもしれない。
    共感できる分、なんだか心がヒリヒリして後味よく読めないので、
    気軽に読めるどたばたアジア旅行記が好きな方にはあまりおススメできない
    気がした。

  • ずいぶん前に購入するもパラパラみたらなんだか文体が肌に合わなくてずっと読んでいなかった。
    今回読み始めてもあまりしっくりこなかったけれど、最後まで読むことに。

    本の帯に「中国の本質を低く、深く、鋭くとらえた旅の記録」
    とあるが、中国をよく知る留学生の旅日記のような様相はぬぐえない。
    文体がなんだか興奮していてそういう印象を与えるのかも。
    それと、「」内の文章を中国語で話したことをわからせるための工夫なのだろうけれど、
    「~あるや否や?」などの表現が気になる。
    笑うところなのかもしれないけれど。

    列車の旅における切符入手の困難から中国を見つめるという視点は
    そこそこ面白いし、文化遺跡に感動できなかったという感想も
    興味深い。
    でも欲を言えば車窓から見た景色や、車中での人々とのコミュニケーションについて、もっと書かれていたら良かった。

    第八章「それから」に書かれていた言葉、
    「(現代の中国人には)一人の人間の中にも、二つの時代が共存している」
    には納得。

  • 1980年代、著者と男友達マイケルの中国二人旅の旅行記、第6章「ウイグル」の30ページを期待して読む。トルファンが素晴らしかったことが分かった。

    旅行記というより、旅先の困難によって心理的な距離が育つ過程を記録した青春ドキュメンタリー。タイトルは、とある小説とかけてある。旅程初期の様子から先行きの困難さが示唆される。光州駅で切符を買うことに苦労している状況での記述、「(著者は列で並んでいるから、マイケルは空いている窓口で)『外人だ。切符を売ってくれ』と頼んでみては、と勧めた。彼はその任務を嫌がった。しかし私と君とどちらが外人っぽいかといったら、間違いなく君だろう、と説得し、彼はしぶしぶ特権の行使を試みに出かけた。」
     見かけの分かりやすさが効果があるのはそうだろうが、恋人(とは書いてないんだけど)からこう言われては辛かろう。

    悪意がなくとも相手を傷つけ萎えさせることがあったことを読み手の過去から引き出してひりひりさせるかもしれない。その上で、なんともとぼけた飄々とした感覚が混じっておりさらさら面白く読める。

著者プロフィール

1966年、戸越銀座生まれ。ノンフィクション作家、写真家。著書に『転がる香港に苔は生えない』(2000年、第32回大宅壮一ノンフィクション賞)、『コンニャク屋漂流記』(2011年、第2回いける本大賞、第63回読売文学賞随筆・紀行賞)、『戸越銀座でつかまえて』(2013年)、『みんな彗星を見ていた』(2015年)、『今日はヒョウ柄を着る日』(2017年)、『旅ごころはリュートに乗って』(2020年)など多数。

「2022年 『世界は五反田から始まった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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