愚か者、中国をゆく (光文社新書 350)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034535

感想・レビュー・書評

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  • 20年前の中国鉄道旅行を回想しながら、話題は中国の鉄道事情から東洋と西洋、中国国内での文明の衝突など、幅広く展開される。

    文章の表現力が豊かで、どんどん引きこまれていく。この本は旅行記の枠を越え、中国社会の実像をとらえることに挑戦しているかのよう。
    著者は、政治の変化は抑えられたまま、経済だけが市場主義に突っ走る中国の勢いを目の当たりにし、警鐘を鳴らす。先に富んでいく者と取り残されていく者との間で、いつか文明の衝突が起こるのではないかと。

    中国を旅したことがある人は、きっと懐かしい気持ちになる一冊。
    2008.08読了

  • 星野さんの、ふと目にした光景や出来事を、そういうものなのだと納得するだけでなく、なぜそうなるのか理解しようとする姿勢が大好き。

    中国や中国文化を愛する心、また鋭い観察力と共感力に溢れていて、星野さんが出会う全ての人々が愛おしく、時に憎らしく感じる。
    まるで自分がその場にいて、その空間で同じ時間を過ごしている…星野さんの文章を読むと,いつもそう感じます。

    そして何より、星野博美さんの書く『別れ』のシーンが大好きだ。人だけでなく、街、記憶、時間、光景、そういったあらゆる概念との 別れ を、星野さんは本当に繊細に表現する力がある。

  • この人の書いたものは、そこに出てくる人々の言葉が活字ではなく生の言葉として感じることが出来る。
    いきなりだけど、著者はマイケルのことが好きだったのね。

    今では所謂ホテルや高速鉄道が中国でも当たり前で、当時のような外国人ならではの旅行スタイルもなくなり、一つの歴史を読むような感じ。他の著者でも読んだことあるが、硬座での旅はハンパなくキツイらしい。更に、無座というのもあったらしい。
     

  • 1980年代、21歳でホンコンからウルムチまで列車旅行をした記録。切符を手に入れるために必死になったり、パートナーと険悪になったり、席に座るために心を鬼にしたり。なんでこんなに大変なの!?という疑問をほっとかず、その時々で発見を続ける筆者。大変そうと思いながらも、旅に出たくなりました。

  • 10年くらい前の本ですけれども、割と楽しめましたね…著者の文章がイイからか、中国の情景まで浮かんでくるよう…けれども、今の中国はもっと都会化しているでしょうねぇ…10年前に出版された本の上、1980年代に旅行したことをここには書いているんですから…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    中国人…主張の激しい人たち、というイメージですけれども、現代だとそれほど? 熱い人達ではなくなっているんでしょうか…なんか著者が中国の、現代の若者についてそのような感想を漏らしていたので…。

    今の日本はスマホ中毒の、それこそゾンビみたいに無反応な人間が増えているきらいがありますが(!)、中国はまだ人が会話を交わし、よくわからぬ熱気とやらに包まれているようで、できれば一度くらい訪れたいものですね!

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 懐かしい中国。

  • ただの旅行本じゃなく、作者なりの考察が随所にあって面白い。
    中国は他の国と比べて時代を早送りしたような変化や、さらに同時代でも海沿いの発達した地域と内陸の地域の差など、本当に大きな違いと矛盾を抱え込んでいるのが感じられる。
    中国に住んでいる人は毎日精一杯で大変なんだろうけど、部外者としてはぜひ行って体験してみたいなぁ。

  • 成田ー香港の機内で読み終わった。
    他の著者の作品同様、テンポ良く楽しく読めました。

  • 中国を列車で旅した記録。
    最近の旅行エッセイとは一味ちがう、骨のある旅行記だと思う。中国を愛しているのが伝わってくるけれど、ただ好き好き!ではなくて、キチンと中国を見つめている視線がとてもいい。

  • 読み終わった時、学生時代にすべきことはこういうことだったんだなって思った。
    同じ現在を生きながらも、属している時代の違いを知ること。
    その新しさや恐ろしさを知ることが必要なんだと思う。
    バックパックでいろいろな人と知り合うことは楽しそうだなっって感じた。

著者プロフィール

1966年、戸越銀座生まれ。ノンフィクション作家、写真家。著書に『転がる香港に苔は生えない』(2000年、第32回大宅壮一ノンフィクション賞)、『コンニャク屋漂流記』(2011年、第2回いける本大賞、第63回読売文学賞随筆・紀行賞)、『戸越銀座でつかまえて』(2013年)、『みんな彗星を見ていた』(2015年)、『今日はヒョウ柄を着る日』(2017年)、『旅ごころはリュートに乗って』(2020年)など多数。

「2022年 『世界は五反田から始まった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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