文章は接続詞で決まる (光文社新書 370)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034733

作品紹介・あらすじ

多種多様な役割を知り、効果的に使い分けるには-接続詞使用のセンスを磨くための小辞典。

感想・レビュー・書評

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  • 文章は接続詞で決まる
    著:石黒 圭
    紙版
    光文社新書 370

    接続詞専門の解説書です。めずらしい

    プロの作家は、接続詞のよい使い手

    旧来:接続詞とは、文頭にあって、直前の文と、接続詞を含む文を論理的につなぐ表現である

    本書:接続詞とは、独立した先行文脈の内容を受け直し、後続文脈の展開の方向性を示す表現である

    接続詞の論理は、論理のための論理ではなく、人のための論理である

    気になったのは、以下です

    ■接続詞の役割

    ・接続詞は、「読み手のためのもの」である

    ・接続詞の6つの機能
     ①連結関係を表示する
     ②文脈のつながりをなめらかにする
     ③重要な情報に焦点を絞る
     ④読み手に含意を読み取らせる
     ⑤接続の範囲を指定する
     ⑥文章の構造を整理する

    ■論理の接続詞
      ①順接の接続詞
        だから系 だから、したがって、ゆえに、よって、そのため、それで
        それなら系 それなら、それでは、すると、そうすると、そうしたら、だとすると、だとしたら
              そうしないと、そうでないなら、さもないと
      ②逆説の接続詞
        しかし系 しかし、だが
        ところが系 ところが、にもかかわらず、それなのに
    ■整理の接続詞
      ③並列の接続系
        そして系 そして、それから、また
        それに系 それに、それにくわえて、そればかりか、そのうえ、しかも、ひいては
        かつ系 かつ、および、ならびに
      ④対比の接続詞
        一方系 一方、他方、それにたいして、反対に、反面、逆に
        または系 または、もしくは、ないし、あるいは、それとも
      ⑤列挙の接続詞
        第一に系 第一に、第ニに、……
        最初に系 はじめに、つづいて、ついで、その後、
        まず系 つぎに、さらに
    ■理解の接続詞
      ⑥換言の接続詞
        つまり系 すなわち、つまり、ようするに、いいかえると、換言すると、いわば、いってみれば
        むしろ系 むしろ、かえって、そうではなく、いな、というより、というか、かわりに、そのかわり
      ⑦例示の接続詞
        たとえば系 たとえば、具体的には、実際、事実、
        とくに系 とくに、とりわけ、ことに、なかでも
      ⑧補足の接続詞
        なぜなら系 なぜなら、なぜかというと、だって、なにしろ、なにせ、というのは、というのも
        ただし系 ただし、もっとも、ちなみに
    ■展開の接続詞
      ⑨展開の接続詞
        さて系 さて、ところで、それにしても、それはそうと、それはさておき
        では系 では、それでは、じゃあ
      ⑩結論の接続詞
        このように系 このように、こうして、かくして、以上、結局
        とにかく系 とにかく、いずれにいても、いずれにしろ、どっちにしても、どっちみち
    ■文末の接続詞
      ⑪否定の文末接続詞
        のではない系 のではない、名刺+ではない
        だけではない系 だけではない、~だけ…のではない
      ⑫疑問の文末接続詞
        か、のか、のだろうか
      ⑬説明の文末接続詞
        のだ系 のだ、のである、のです、の、んだ、んです
        からだ系 からだ、ためだ
      ⑭意見の文末接続詞
        と思われる系 と思われる、と考えられる、と言える
        のではないか系 のではないか、のではないだろうか、んじゃない
        必要がある系 必要がある、べきである、なければならない、てはないらない
    ■話し言葉の接続詞
     対話での使用リスク
      ①相手の発話権の奪う
       というか、ていうか、つうか、てか、むしろ
      ②言い方を訂正して気分を逆なでする
       というか、ていうか、つうか、てか、むしろ
       つまり、ようするに、ようは
      ③逆接の使用で無用な対立を生む
       でも、けど
      ④自己正当化を目立たせる
       だから、だって、たって~だもん

    目次
    序章 接続詞がよいと文章が映える
    第1章 接続詞とは何か
    第2章 接続詞の役割
    第3章 論理の接続詞
    第4章 整理の接続詞
    第5章 理解の接続詞
    第6章 展開の接続詞
    第7章 文末の接続詞
    第8章 話し言葉の接続詞
    第9章 接続詞のさじ加減
    第10章 接続詞の戦略的使用
    第11章 接続詞と表現効果
    主要参考文献
    おわりに
    索引

    ISBN:9784334034733
    出版社:光文社
    判型:新書
    ページ数:256ページ
    定価:760円(本体)
    発行年月日:2008年09月
    2008年09月17日初版1刷発行
    2008年11月25日3刷発行

  • 予想以上に勉強になりました!

    なぜか、あるはずのない場所に面陳されていたこの本。
    でも、気になって買って良かった。

    文章の中のスパイス、接続詞。
    けれど、読むにも書くにも、大体のニュアンスで使っていることが多い。
    なんとなくのことが多いから、微妙な説明を避けていたりしたのだけど……。

    甘えて良いのであれば、巻末にまとめがあれば嬉しかった。あ、わがままですね、すいません。
    意識していないところを意識することで、文章は精錬されるのではないか。うん、良かった!

  •  文章における方向指示器である接続詞についての解説本。わかりやすくてためになります。

  • タイトルの通り日本語における接続詞の役割を解説する本である。
    書き言葉だけでなく口語体にも触れており、接続詞について多角的な視野からアプローチをかけている。
    本書において特に眉唾物なのが、接続詞の使い方に人の性格が浮き出るということだ。「てか」を多様してしまう私は、飽きっぽいが機転を効かせられる人間らしい。
    このように、接続詞に対して特殊なアプローチをかける本書は座学としては大変面白い。しかし、本書はあくまで接続詞の役割や特徴を述べるに留めており、実際に整然とした文章を書けるようエスコートしてくれる性質ではないことに注意していただきたい。
    言語学という側面から評価すれば星4をつけていたが、実践向きな内容を期待していたので厳しい評価に致しました。

  • 文章を書く時に、適切な文章の繋ぎ方が分からず難儀していたことから、この本を読んでみた。
    接続詞の重要性と考え方・使い方がよく分かる、良い本だと思う。

  • アカデミックライティング(日本語ですが)のマニュアル本はかなり多く出版されていますが,本書は接続詞に焦点を絞っている点で,他書に比べたオリジナリティがあります。
    接続詞の使い方しだいで,文章の論理展開がクリアかどうかが決まると言っても過言ではありません。
    他のマニュアル本よりも断然おすすめできる内容だと思います。

  • 論理の接続詞-順接だから、逆接それなら
    整理の接続詞-並列そしてそれにかつ、対比一方または、列挙第一に最初にまず
    理解の接続詞-換言つまりむしろ、例示たとえばとくに、補足なぜならただし
    展開の接続詞-転換さてでは、結論このようにとにかく
    文末の接続詞

    過ぎたるは及ばざるが如し
    接続詞をつけることによって起こる弊害
    ①文間の距離が近くなりすぎる
    ②まちがった癒着を生じさせる
    ③文章の自然な流れをブツブツ切る
    ④書き手の解釈を押しつける(谷崎潤一郎『文章讀本』(中公文庫)参照)
    ⑤後続文脈の理解を阻害する



    井伏鱒二「『が』『そして』『しかし』---文体は人の歩き癖に似ている」(吉行淳之介選・日本ペンクラブ編『文章読本』ランダムハウス講談社文庫)

    本書の接続詞の定義:
    独立した先行文脈の内容をうけなおし、後続文脈の展開の方向性を示す表現

    図書館/本ため

  • 小学生、中学生が読むといい文が書けるし、コミニュケーション能力も上がる気がする

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著者プロフィール

横浜市出身。1993年一橋大学社会学部卒業。1999年早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。国立国語研究所教授。一橋大学大学院言語社会研究科連携教授。著書に、『「接続詞」の技術』(実務教育出版)、『段落論』(光文社新書)、『よくわかる文章表現の技術』Ⅰ~Ⅴ(明治書院)など多数。明治書院教科書編集委員。

「2021年 『よくわかる文章表現の技術 Ⅳ 発想編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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