できそこないの男たち (光文社新書)

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  • 光文社
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レビュー : 232
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034740

感想・レビュー・書評

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  •  イヴはアダムの肋骨からつくられたのではなく、アダムがイブからつくられた。生物学的にはこのほうが正しい。

     生命はもともメスから発生する。状況によってメスがオスに変化するのだ。単性生殖する生物も初めにメスがあり、なんだかわかよくわからないが、時々オスをつくったほうが子孫を増やすのに都合のいい時機があり、そのときにオスに変化する。


     人間も生命の誕生(発生)当初はメスだ。そこにオスに変化させる遺伝子がくっつくとオスになる。
    男性の生殖器にはメスがオスに変化したときの痕跡(穴がふさがって閉じられた縫い目のような跡)がある。


     昆虫の世界をみるとオスはほとんど使い捨て。メスだってほんとはオスになんてなりたくない。そんな貧乏くじは引きたくない。もしかしたら虐待かもしれない。


     できそこないの男という意味は、男の中にできそこないがいるということではなく、思うに、メスのできそこないがオスなのであって、全てのオスはできそこないということか。


     なんだと〜!? そんなひどいことがあるもんかっ、そこまで言うなら証拠を見せてみろ!


     と声を挙げる男性諸氏もおられるであろう。


     はい、どうぞ。この本に書いてあります。

  • エッセイをまとめたもののようだけれども、
    1冊の新書として、すべてつながるようになっていて、
    読み物として、しっかりしている。

    女から男ができる、というのは、出産という意味においてのみならず、
    そもそも生物学的にも、発生過程においても、
    という深い深い説明がなされていて、大いに納得。

  • 生物の基本仕様であるオスとメスの発生に迫る。学術的なのに内容のはずなのに、人間ドラマやエッセイ風の体験談を織り交ぜてまるで小説のように文章をつなげてくれる。単純に知的好奇心が刺激されるし、文章はいいし、もしかしたら人に話せそうな内容だし、すごくいい本だと思う。

  • ミソジニー的な人と話す時に使えそうなネタがけっこうありました。
     
    あと、エピローグに生殖行為の快感が、ジェットコースターが落下するときの感覚に似ていると書いてあったのですが、私も昔からそれ思っていたんですよ。
    「私の場合」かと思っていたんですけど、もしかして、この感覚が似ているのは一般的なことだったんですかね・・・。
    私は遊園地に行くと特にバイキング(船がずっと揺れるやつ)に乗りまくっていたんですけど、こういう感覚を皆知っているのだとしたら、猿のように乗りまくるのはちょっと恥ずかしいかもしれないと思いました・・・。

  • 実にわかりやすく、眈々と衝撃を伝えてくれる。男とは、女が種を維持、反映させるために生み出したものであり、そもそも、その役割が終わればアリマキのように死んでも何ら問題はない。お父さん似というが、それは、どこかのあばあちゃん似ということに過ぎない。そう思うと、不倫を文化と言った男はあながち非難されるべくもないのではなかろうか。男は種まくために存在し、それは女が栄えるために他ならない。

  • 男は所詮できそこない。女の方が生物学的に優れているという話。人間は欲張ったのか。

  • 雑誌でエッセイを読んだとき、文章が面白かったので著書を借りてみた。
    期待通りわかりやすく面白い。

    DNAの解析技術の向上で、遺伝子情報が徐々に
    明らかになっていく昨今、性染色体の発見から
    最新の性決定遺伝子の解明までを解説。
    最後は世界最高レベルの心臓外科教授の汚職事件。

    素人にはちょっと難しい専門的な部分もあるけど、
    メス社会のアリマキの世界や、人類の遺伝タイプの分類
    など、興味深いエピソードも多くて面白かった。

    アリマキの話によると、基本的にはメスだけで社会は成り立つらしい。
    しかし、クローンでは絶滅の危険があるので、種の維持の為
    1年のある時期だけオスを作り出す。

    メスの基本仕様をカスタマイズしてオスが作られるので、
    若干機能が不完全というのは衝撃の事実。
    でも確かに、男性の方が胃腸が弱いとか、寿命が短いとかあるよね。
    環境のせいではなく、遺伝子的にもそうだったのか。。

    最近の科学ニュースで、恐怖の記憶が遺伝子に刻まれて
    子孫に伝わるというのが発表されていた。
    遺伝子解析はどんどん進んでいく。

  • いやあ、文句なしに面白かった!
    そうですか。男は女のできそこないだったんだ。
    消化器でものを考えるというのもびっくり。
    男性ホルモンは免疫細胞を弱めるとのこと。
    知らないことばかりだった。
    それにしても、この著者は読ませます。

  • 文句なしに面白い!

    男(オス)と女(メス)のランデブー。小説よりロマンティック、恋愛よりもエキサイティング。
    自分たちは神の領域で生かされている生命であり生物に“すぎない”と思い知らされる。そして、いま生きていることが嬉しくなる。

    福岡先生のDNAと、そのビークルであるところの私たちを見つめる視線には、いつも暖かさと愛情を感じる。
    最後にはできそこないどころか、根源的な誇りを感じさせてくれる。

    研究者のシビアな世界も垣間見れて興味深い!

  • 同じ著者の『生物と無生物のあいだ』でも感じたが、まるで文学作品のような叙情性を感じさせる美しい文章である。
    前半は、性決定遺伝子SRYを突き止めるまでの分子生物学者たちのしのぎを削る競争の様子をスリリングに感じさせる。
    また、後半は生物の基本形は「女性」であり、それを無理矢理カスタマイズして拵えたのが「男性」である、ということを様々な事象を挙げながら検証していく。
    分子生物学、発達生物学の最先端をこれほどまでに興味深くわかりやすく書く作者の深い知見と文学性にまたもや驚かされた。必読の書。

著者プロフィール

青山学院大学 理工学部 教授

「2019年 『マッキー生化学 問題の解き方 第6版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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