できそこないの男たち (光文社新書)

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  • 光文社
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レビュー : 233
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034740

感想・レビュー・書評

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  • 雌雄の種別のある生物のオスは、メスの派生である。であるならば、メスに、ある遺伝子を加えればオスが生まれるはずである。人類(おそらくすべての哺乳類も)の雌雄を決めるこの遺伝子はSRYと呼ばれ、当然ながらY遺伝子上に存在する。この遺伝子がメスとして発生した固体をオスにするためのさまざまな遺伝子をオンにする。このメカニズムは分子レベルで証明されている事実である。 この事実を踏まえ、思考をさらに続けると、次のような疑問が自然と湧いてくる。「オスは、なぜ必要になったのか。つまり、オスが存在する生物進化上の理由はなにか」。本書ではこの疑問にも踏み込む。単性生殖にくらべ有性生殖が有利な点は、遺伝子の組み換えが起こることにある。この組み換えにより固体の特徴に紛れが生まれる。この紛れが環境に対するよりよい適応であった場合、これを進化と呼ぶことができる。であるならば、オスの必要性は明らかである。つまり、遺伝子の交雑、またはメスから他のメスへの遺伝子の配達、これこそがオスの存在理由である。これが本書の趣旨である。 文書を書くことが本職でないことを疑いたくなるほどの洗練された美文で組み立てられたロジックは読んでいてうっとりさせられるほど見事。しかも前提知識をほとんど必要としないため、まったくの生物学門外漢にもすんなりと読める。すばらしい。 すべての人にお勧めしたい。特に男性に。男性本来の仕事について書かれているのだから。

  • 「生物学」をめぐる最高のミステリー。

    若干難解な部分もあるが、それを飛ばし読みしてでも読みとおす価値はあります。

    社会で偉そうにしている男が、生物としては、いかに不完全か。一気に読ませる、相変わらずの文章の美しさです。

  • 生物学的に間違いなく、かつ情景が浮かぶような巧みな文章は、読んでいて気持ちがいい。先生の言う、加速感と似てる…かな?w

  • 遺伝子学的に男性はどうやって作られるのか、相変わらず小説のような書き方で分子生物学がスラスラと入ってくる。エピローグで一番の衝撃を受けるのは何度目だろうか、他の著書と読み合わせてみると数倍面白いと思う。

  • 最初はなかなか進まないけど、がんばって読んで行くと面白くなる。人生のネタが増える。

  • 男になる遺伝子発見の経緯の説明。
    人間の遺伝子には、いくつかのタイプがあるが、日本人の遺伝子はそれらの混合種。単一民族といわれているが、遺伝子レベルの長さで見ると単一ではない。
    生物としては、女性が基本で遺伝子に変化をつけるために男性が存在する。常に同一のY染色体を引き継ぐという点でお世継ぎ問題というのを考えている。
    女性が楽をするために男性を発生させた。しかし、楽をしようとしすぎて男性社会になってしまった。

  • 生物学者の福岡伸一先生の著書。全ての生物の基本は女性で、男性は補助的な役割を果たしているに過ぎない。だからこそのできそこないの男たち。福岡伸一先生、文章がとてもお上手で読みやすい。

  • 師匠(男性)が読んでめげたと聞いて、ななめ読み。
    女性の自分はちょっとした自信をいただきました。

  • 「生命の基本仕様としての女性を無理やり作りかえたものが男」、「生物学的には、男は女のできそこない」、が本書のテーマ。オスが「ママの遺伝子を、誰か他の娘のところへ運ぶ「使い走り」」に過ぎない、生物学的に不完全で「寿命が短く、病気にかかりやすく、精神的にも弱い」存在であるのとも。
    性とは、特に男性って一体なんなのだろうって改めて考えさせられた。
    著者の文章には、理系特有の固さや理窟っぽさがなく、叙情的と言うか、で何ともいえない趣がありました。

  • 基本的に生物はメス前提、遺伝子シャッフルのためにしぶしぶオスをつくったけどデフォルトがメスベースだからオスの方が生物として弱っちいし不完全、という話。ものすごく面白かった。人間の場合メスがオスに対して多くを求めすぎた(欲張りすぎた)ため、オスが余剰を手に入れることとなり社会がオスベースで作られることになってしまったのでは、という筆者の一意見にも納得。第六感としての加速覚というのも非常に興味深い話だった。

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著者プロフィール

青山学院大学 理工学部 教授

「2019年 『マッキー生化学 問題の解き方 第6版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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