- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334034740
感想・レビュー・書評
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男がいかに出来損ないであるかをしめした本。それにしても、福岡先生は文章が上手ですね。ため息でます。
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なぜそのようになっているか。
むろんそれは分からない。
しかし、いかにしてそのようになっているかは言葉にする事が出来る。
生物学は、Whyには答えられない。がしかし、Howを語ることは出来るのだ。 -
2012/1/16読了。
生命科学の内容を物語に乗せて語る上手さは健在で、新書としては多めな分量も全く気にならないくらいに引き込まれてしまう。
しかし、講談社現代新書の2冊に比べると少々インパクトに欠ける気も。自身の経験を交えて語るスタイルなので、ご自身の専門分野だとネタが限られてくるのは仕方ないのかもしれない。私は著者の構成力と文章力が好きなので、専門から少し外れた分野に関しての著作をぜひ読んでみたい。
・日本は、Y染色体を辿った男系の類型としては、まさに人種のるつぼと言える。
・私たちは、知っているものしか見ることができない。 -
『生物と無生物のあいだ』はすでに有名だが、本作では分子生物学の発達過程を追いながら、男が女のできそこないであることを説いている。理科系学者とは思えぬほど文学性があり多少回りくどいが、文章は素晴らしい。だが、Y染色体に栄光あれ
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デフォルトはメス、オスは遺伝情報を横の糸でつなぐための運び屋。本来それだけの仕事だったものをメスが欲張った。
フェミニストでもその逆でもないし、ジェンダー論はあまり好きではないけれど、生物学的な理解が深まった。
いつもの研究・発見の裏にあるドラマが書かれているがそれはさすがにちょっとワイドショー的野次馬根性にも感じられた。
最後のエピローグが何よりこれまでの本のどれよりもぶっ飛んでいて良かった。「あの感覚」という言い方がまたなんか生々しい。
速度感・快楽・繁殖行為・時間論
時間の存在を媒体にして生きている我々には感じ難い時間の存在。
時間の存在についてはこれまで、特に「生物と無生物の間」では出てきている。
「時間の流れとは私たち生命の流れであり、生命の流れとは、動的な平衡状態を出入りする分子の流れである。つまり時間とは生命そのもののことである。生命の律動が時間を作り出しているにもかかわらず、私たちは時間の実存を知覚することができない」
「巡航する時間を追い越すための速度の増加、それが加速度である。加速された時初めて私たちは時間の存在を感じる。そしてそれは最上の快楽なのだ。なぜならそれが最も直接的な生の実感に他ならないから。」 -
生物の原型は女性であることは、生物学の定説です。
メスからオスが分化したのです。それは、クローンとしての単性生殖から、多様な遺伝パターンを生む雌雄生殖へという進化です。
多様性を育んだ方が、環境適応力が上がるのです。種としての生き残りを賭けているのです。 -
前半は、その流麗な文章で物語を読まされているような感覚に陥って愉快であった。教科書で機械的に学ぶよりも余程良い。
ただ、その分だけ余計な文章が多く、「肝腎の内容が薄いのでは?」と疑問に感じた。
それに俄に信じがたい部分もあったので、これは自分で他の本を読んでみる必要を痛感した。 -
強がったって男は弱いんだから、少しだけやさしくしてあげようと思えた本。実際、男の子の方が病気しやすいし、寿命も短い。鬱病なんかも男の方が多いらしい。■でもな、結局、男社会だしな。生物的には女の方が強いけど、社会的には男の方が強いしな。ま、でも、イラっときたときの鎮痛剤にはなるかもね。
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同じ著者の『生物と無生物のあいだ』でも感じたが、まるで文学作品のような叙情性を感じさせる美しい文章である。
前半は、性決定遺伝子SRYを突き止めるまでの分子生物学者たちのしのぎを削る競争の様子をスリリングに感じさせる。
また、後半は生物の基本形は「女性」であり、それを無理矢理カスタマイズして拵えたのが「男性」である、ということを様々な事象を挙げながら検証していく。
分子生物学、発達生物学の最先端をこれほどまでに興味深くわかりやすく書く作者の深い知見と文学性にまたもや驚かされた。必読の書。 -
■生物学
1.媒体とは時間である。時間の流れとは私たちの生命の流れであり、生命の流れとは、動的な平衡状態を出入りする分子の流れである。
2.生物のデフォルトとしての女性を無理やりカスタマイズしたものが男であり、そこにはカスタマイズにつきものの不整合や不具合がある。つまり生物学的には、男は女のできそこないといってよい。だから男は、寿命が短く、病気にかかりやすく、精神的にも弱い。
3.加速覚は私たちをぞくりとさせる。そして加速覚は私たちにとっての快なのである。 -
納得
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性別って面白い。
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「蟻の門(と)渡り」が「生命の基本仕様は女である」の証拠とは。この残念な発見は僕にとって今年最大の知的収穫であった。この本のレビューを話してあげたいが、分子生物学に基づく学術的説明は猥談と区別がつかないので、真面目に聞いてくれる女性はいないだろう。
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12-18 11/15-1/31
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科学者らしからぬ文章表現で生物の性決定に関するDNAについて書かれた本。
前半部のDNA発見のストーリーは面白く読めたが、後半になるにつれ強引な論理展開が目立ち、最後の方ではよく理解できない持論を展開している。
文章の表現も比喩や物語り的な部分が多く、もっとシンプルに書かれた方が好感がもてると思う。 -
8月27日
生物学という専門分野を、想像力を膨らませるように書く文体は相変わらず。ただ3冊目になると少し飽きてくる。
科学史の裏側を描いてくれるのは良いが、今回はただの横領話で、正直いまいち。ワトソン、クリックほどの壮大さはない。
今回の教訓
男は無意味にいばるな -
自分の会社の社長が、たまたま福岡伸一氏の書籍を有していたので借りて読んでみた。決して、タイトルから意図的に手にした訳ではないw
生物の基本仕様は女性であり、それを無理やりカスタマズしたものが男性で、そこには不整合や不具合がありますよ、というお話。
福岡氏は、分子生物学専攻、つまり理系肌なのに、
文系顔負けの非常に美しい文章を書くと思う。
生物学の"せ"の字にも触れてこなかった私でも、
具体的なイメージを描きながら読み進めることができる。
生物学に興味がなくても、言葉紡ぎがお好きな方には
是非、読んでみて頂きたい一冊。 -
分子生物学が専門の福岡伸一さんの書いた男女の性差を遺伝子的に説明しながら、生物の基本仕様を女性だと解明する本。
理系の学者さんの本でありながら、技術書的な難解さはほぼ無い。筆者が注意深く取り除いた成果であると思うと同時に、文学的な才能を非常に感じる内容でもあった。
純粋に読み物として面白い。
男女の違いを分ける遺伝子について、それが発見された歴史を(主に)二人の人物の主観で描いたり、実験や観察の手順をその(とくにStickyな部分に着目して)プロセスについて説明をしている。
本文中に「教科書がつまらないのは、なぜ、その時、そのような知識が求められたのかという『切実さ』が無いからだ」としているが、本書ではただひたすらに、その『切実さ』が表現されている。
内容としては、ある程度有名なXとY染色体を分ける遺伝子についての説明と、それから導き出される生物の基本仕様が女性だという事である。
個人の感情にフォーカスした文章でとにかく面白く読ませていただいた。
他の本もぜひ読んで見たい。 -
これは…
是非世の男性すべてに読んでほしい。 -
『生物と無生物のあいだ』に続いて。
「男に生まれるのではない、男になるのだ」。
ヒトの発生のメカニズムを知れば、なるほどとうなずかされる。 -
生物と無生物の間にの著者である福岡伸一氏が書いた新書。
2009年新書大賞の2位にもなった本書は、男であるが故の運命について腑に落ちる内容となっています。
遺伝子と男の物語、おすすめできます。 -
生物が苦手な高校生に読ませたら、生物に興味を持ちそう、そんな面白い本。福岡伸一の本の中で一番最初に読んだのがこれ。
ヒトの基本の形は女性で、男性は必要にせまられてカスタムされてできたもの。んー、興味深い。理系の仮説と、まるで小説のような仮説の両方が書かれていて、面白い。そして納得(笑) -
政策課長がレビューを書いていたのを見て、面白そうだったのでお借りした本。
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福岡氏の文章の美しさはまるで良質の小説を読んでいるかのように読者を思わせてくれるということを「生物と無生物との間」で感じたたが、この本もまさに例外に漏れず、読者をぐいぐい引き込ませる力を内包していた。
メスが標準の生物界にあってオスはカスタマイズされた「亜流」から始まったことが解説されるが、文章の最後のほうにある「余剰」の部分に、オス・男性の「反逆」とでもいおうか、社会を形作るにいたったオス・男性の役割が暗示されていてそこが興味深かった。
DNAの描写、アフリカから始まった男女の世界的な広がりなど、「はて、私はこんなに前々から生物に興味があっただろうか?」と自問せざるを得ないほど、興味がどんどん沸いてくる仕掛けがちりばめられている。どの章を読んでも私には専門外のはずなのにとても面白いのである。
生殖活動と快感が「どうして」結びつけられているかをあえて仮説をつくって力説する福岡氏の「生きるとは時間を体感することである」とする文章には、鳥肌の立つ感動すら禁じ得ない。 -
神戸は海文堂の2階の古書『古本波止場』で購入。300円
福岡伸一は『生物と無生物のあいだ』を骨折して入院中に読んだ。最初に発見するということにとりつかれた科学者の悲哀を感じさせる本だった。
この本では、男性であることを決定するY染色体について、どのように研究がなされてきたか、「男」とは一体なんであるかについて書かれた本。
端的に言えば、人間はすべて「女」に生まれる。受精後6週間以後に、男性であることを決定する遺伝子の作用が始まり男性になるとのこと。
生物界では、最初「女」しかいなかった。単為生殖という形で増えていったとのこと。そこから、「男」が現れてきたのは、遺伝子の運び屋としての役割が必要であったからに他ならない。「母」の遺伝子を他の「娘」に運ぶために。
また、この本では、男性が女性に比べて生物的に弱いということも指摘している。例えば死亡要因を男女で比較した場合、すべての項目において「男」の方が高くなっている。唯一「老衰」を除いて。これは、男性を決定する遺伝子が、テストステロンを上昇させる。テストステロンは、男性に特有な変化をもたらすが反面、免疫システムの機能を低下させる。男であるということが、生命を危険にさらしている可能性があると著者は述べている。遺伝子の使い走りとならんがために…
この人の本は科学の最新の知識をふんだんに取り入れているのだけれど、それだけではなく、その成り立ち、いわゆる科学史的な部分も大事にされており、さらに時折、詩や文学、絵画などが挟み込まれる。理系の人が軽く文系に越境した感じ、そもそもそんな比較が意味をなさないのだろうけれど。 -
男は女をカスタムしてつくられた、という話。
どのようにして、男女が分かれるかのメカニズムを歴史を振り返りながら発見された過程を振り返る。
DNAの発見や染色体の発見などエピソードだけでも面白い。
そこから、一般人は知らないような虫の話から男女の役割を解説する。
その虫はメスだけで生きている虫だが、時折オスを作る。
単性生殖をするメスが自己の遺伝子を次の世代へ伝える縦糸ならば、オスはその縦糸を横につないで混ぜるための横糸としている。
そのようにして、生き残るための多様性をつくっている。
オスは単に母の遺伝子の乗り物に過ぎない。
という生き物もいる。
そしていよいよ人間の話。
胎内でのヒトの作られ方から女が基本形で男はそれをカスタムしたものだという話。
その出来方からして男は不安定で病気にもなりやすい、との統計結果もひっぱってくる。
「男として」読むとなかなか直視し難い本だが、内容は非常に興味深い。
考え方として応用が効くと感じた。
ただ、政治的に利用だけはされたくないなぁという感想。