傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書) (光文社新書 411)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035136

感想・レビュー・書評

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  • 医学は生物学の中でこそ生きてくる。傷ややけどが驚くほど簡単、きれいに治る方法は人間の体からのメッセージに素直だった著者だからこそ発見できたことなのでしょう。個人的に好きなのは化粧(やシャンプーなど)が皮膚に及ぼす影響のところ。美しくありたいというのはだれしも思うところだから。それからぜひ薄毛とか脱毛についても考察してほしいです。

  • 著者は、ヤケドや擦り傷、切り傷の治療法として、従来の医学の常識に反する「消毒せず、乾燥させない」湿潤治療を提唱し、実践している医師。

    市販の消毒薬や塗り薬は、傷を悪化させる「治療阻害薬・創傷破壊薬」というのに驚き。半透明の白色ワセリンは無害だが、白や黄色のクリームは傷に塗ってはいけないのだとか。そんなの知らなかった。今度傷ができたら湿潤治療だな!

    本書、鼻息の荒い筆致で、中盤は保守的で間違いを正そうとしない医学界を批判、後半は皮膚と常在菌の共生関係、生物進化の過程から見た皮膚の機能解明へと飛躍していく。

    手の洗いすぎにも注意したい!

  • 消毒で何をしているのか。
    何が死んでるのか。
    考えたこともなく、子供の頃はオキシドールぷらす赤チン。
    途中から赤チンは良くないと母がいいだし、オキシドールに。
    それが当たり前と思ってきた。
    理由も考えずに…怖いなぁ。
    いろんな意味で、なんで?って思い直すことの大切さに気付いた。

    スキンケアで、肌が弱い私はいろいろ試して今洗いすぎない&塗りたくらないにたどり着いたのだけど、それでよいのだとこの本で確信。
    皮膚のなんたるかをもっと知りたいと思う。

    この著者の本、他も読む予定。

  • ・2009年発行。著者は医者。
    ・消毒せず乾かさないと傷が治る(外傷の湿潤治療)。キズパワーパッド。白色ワセリンを塗ってラップする。
    ・傷のじゅくじゅくは最強の治療薬。浸出液(=細胞成長因子)を外に逃さない。
    ・情報は共有されてこそ価値がある。
    ・消毒薬はどうやって細菌を殺しているか。破壊のターゲットはタンパク質。人間の細胞膜蛋白も破壊する。
    ・根拠はないのにその時代の誰もが信じていることをパラダイムという。
    ・臨床医学はパラダイムだらけ。なぜなら人間の体はブラックボックスだから。
    ・ひとつのパラダイムから次のパラダイムに置き換わる現象をパラダイムシフトといい、科学の歴史には何度もパラダイムシフトが起きている。
    ・人間は常在菌なしには生きていけない。人体の全細胞数より腸管の常在菌の数の方が多い。
    ・皮膚や頭皮から分泌されるもので温水で溶けないものはない。石鹸やシャンプーは不要。
    ・化粧品は肌を老化させる。ほとんど乳化剤(界面活性剤)が含まれているから。皮膚常在菌に必要な皮脂が分解され続け、その代わりに栄養にならないクリームが覆っている。
    ・マッチポンプ=マッチで火をつけ火事になってからポンプで消す=裏で問題のタネをまき、問題が大きくなってから収拾を持ちかけて何らかの利を得る。ユーザー側の無知を前提にしている。
    ・ほとんどの皮膚の痒みは白色ワセリンをすりこむことで軽快する。
    ・皮膚を乾燥させるもの=クリーム、乳液、石鹸、ハンドクリーム、尿素含有クリーム(=界面活性剤を含んでいるため)

  • 火傷をして悶絶しながら、なんとかこの痛みから脱したいと思い、この本を手に取った。そういえば、10年以上前に、赤十字の講習を受講した際に、湿潤療法のことを教わった。それがこの著者のサイトだったのだ。サイトは見たが著書は読んだことがなかった。いろいろ納得できたので、最新刊は購入することにした。
    火傷の治療、今かかっている医師を否定するわけではないが、あまりに痛すぎるのである。そして患部に残った正常な部位がどんどん爛れてきているではないか。我慢、我慢、忍耐、忍耐、気合いで治すのが熱傷なのか?!

  • この本で湿潤情報を知知った。

    近年治らなくなっていたかさぶた問題がおかげで軽症化した(^ω^)♪

  • p.54 さまざまな面で発達を続ける現代医学の中で、傷の治療の分野だけが19世紀の治療のままであり、そのことに誰も気がついていなかったのである。
    → ソフトウェア開発でも同じこと言えるかな?
    3層WebシステムとかメールとかDNSとかIPv4とかsyslogとか。。。
    問題意識があって刷新しようという試みが繰り返されてるけど、破壊的イノベーションまでには至ってないのよね。

  • 表題通り、この本を読むと以下に、傷に対して間違った対応をしていたのか分かる。この本に従えば、これまで痛かった傷もすぐに痛みがとれ、かなりひどい傷でも、綺麗に治る。
    しかし、この本の価値はそれに留まらず、医学が科学になるヒントが含まれていると思った。生物学や化学の知識をベースに治療が検討されるようになったとき、医学はこれまでの常識を脱ぎ去り、金儲けの技術から、患者を助ける技術に昇華するであろう。

    以下注目点
    ・消毒薬は傷を深くする。接触性皮膚炎や、アナフィラキシーショックの元になる。消毒すればするほど、傷は深くなり、化膿する可能性が高まる。
    ・傷をなめると痛くなくなるのは、濡らすから。乾かすと痛い。

  • 少々くどくて、独善的でホンマかいなと思うところもあるが、湿潤療法なんてこないだ会社の休憩コーナーにも張り紙があったし、常在菌の話など、回虫博士にも通じるところがあって、ここらへんの菌も含めて人体のトータルなバランスを重視する考え方は強まっているのだろう。

    なんで大腸吻合部を消毒しないでOKか(できるわけないのだけれど)なんて疑問を持った、著者の論理思考は分かりやすい。

    主婦手湿疹は白色ワセリンで一日数回ワックス掛けすれば治るということだがウチでも実験してみるか。

    創傷治癒機能が転用されて脳神経系ができたという仮説は面白い。あとMRSAの分裂が普通の菌に比べて遅いという話にも納得。

  • 【要約】
    ・傷口は消毒して乾燥、というこれまでの医学界の常識は誤っている、傷口は消毒せず、湿潤状態で治癒する。

    【ノート】
    ・blog not foundでの紹介
    ・傷に対するケアとして湿潤治療の存在を知るだけでも随分と役に立つが、その理屈に至った著者の過程を教えてもらうのが、また面白い。さらに、細菌と、その存在意義についても理解が深まった。
    ・人間と細菌の共存関係。皮膚常在菌と黄色ブドウ球菌、「人食いバクテリア」ことレンサ球菌。「きれいずき」で石鹸で洗い過ぎると皮膚常在菌が減少して、他の悪玉細菌を呼びこむ余地を作ってします。
    ・脳と皮膚は源が同じ、という仮説。

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著者プロフィール

夏井 睦(ナツイ マコト)
医師、練馬光が丘病院傷の治療センター科長
1957年秋田県生まれ、東北大学医学部卒、形成外科医。現在は練馬光が丘病院傷の治療センター科長。従来の創傷治療の正反対とも言える画期的な「湿潤療法」の創始者。湿潤療法に関する著書を数々刊行し、また2001年からは自らのウェブサイト「新しい創傷治療」で、常識(傷は消毒するもの)を覆す治療法の効果と合理性を発信し続けて傷治療の現場を変えつつある。傷を消毒しない、乾かさないという湿潤療法は臨床現場で新しい常識となりつつあり、若い医療関係者を中心に急速に普及している。また、一般家庭用にも湿潤療法の創傷被覆材が販売されるなど、新しい傷治療は確実に社会へと浸透してきている。他方、いまだに一部の頑迷な学会の抵抗があるため、不合理な治療法の矛盾を訴え、湿潤療法の科学的な合理性を説きながら戦っている。また、医学史的な視点に立ち、現在の医学界にはびこる非科学的な常識の変革を目指して、積極的な主張を展開している。

「2013年 『医療の巨大転換(パラダイム・シフト)を加速する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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