リーダーは自然体 無理せず、飾らず、ありのまま (光文社新書 464)
- 光文社 (2010年6月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334035679
作品紹介・あらすじ
なぜ、「お気楽OL」だった彼女が、外資系企業の「本社」で活躍し、人事部門の「トップ」になれたのか?
感想・レビュー・書評
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モジュール1の課題図書です。Day5(7/2)までにお読みくださいね。
リコーの”OL”からキャリアをスタートさせた増田弥生さん。身の回りの不便なこと、疑問に思ったことをひとつひとつ解消していきながら、自分と周りの人、チーム、組織に貢献していきました。こんなリーダーになりたい(こんなリーダーならなれるかも!)と思わせてくれる自然体な増田さんの魅力があふれています。
実物の増田弥生さんは小柄でとってもチャーミングな方でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本質的な問いを自身や周囲に自然に行えることは、自身を、周囲を変える、動機付ける力になる。適切なフィードバックとリフレクション、アクションプラン...。基本を忠実に繰り返すことでのスパイラルアップ。自身に足りないものを無理なく補完しながらも自分らしく生きようと思える一冊。
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”人びとのなかに眠る「リーダーシップの素」を絶対的に信じて行動してきた増田さんの人材開発スタイルにとても共感!最後の金井さんのまとめ「変わるための中立ゾーンを感じる場が必要」にも納得感高し。
<読書メモ>
・働く組織においてリーダーと言うときは、肩書きや立場を指すことが多いのですが、リーダーシップは発揮するものであり、行動の形、存在の仕方です。だからみんながリーダーになりえます。(p.15:増田)
★リーダーシップは、筋肉と同じで誰にでもあると思っているからです。どんな人にもリーダーになる可能性はあります。自分にはその能力がないと言う人は、リーダーシップの力を使っていないか、鍛えていないだけではないでしょうか。(p.25:増田)
・父は理由そのものにはふれず、「わかった」と言って進学を許してくれました。何が正解ということではなく、その場その場で自分のこだわりを意識して判断するクセ、またそれらを言語化して周囲の理解を求めるクセは、このようにして身についていったのかもしれません。(p.49:増田)
・リーバイス「アスピレーション・ステートメント」経営陣とすべての社員が共有すべき価値観
われわれは、社員たちが誇りをもって仕事に専念できるような会社を目指します。それは、派閥や学歴に関係なく、誰もがその能力に応じて貢献し、学習し、成長し、昇進するチャンスが保証されている会社です。
われわれは、社員たちが例外なく個人として尊重され、公平に処遇され、その意見に耳が傾けられ、一緒に参加し、貢献しているという意識を抱けることを願っています。そして何よりも、達成感、友情、ワークライフバランスによって満足を得、また努力することの喜びを見出せることを望んでいます。
リーバイ・ストラウスの将来は、われわれが受け継いだものの上に築かれるべきです。そのすばらしい伝統を守り、原則と現実の間にギャップがあればそれを埋め、われわれが生み出す価値を時代にふさわしいものにするために、たえず革新することが必須です。(p.69-70)
・You are not here to learn English. Think why you are special, what is your value.(p.89)ボブ・ハース会長兼CEO→ヤヨイ
★私は今のままで大丈夫。ありのままでOKなのだから、プロらしく仕事をしなくてならないと、自分に対して宣言しました。(中略)
「自信」は、「自分」を「信じる」と書きます。何か特別なものを手に入れることではなくて、今のままの自分で大丈夫だと信じることが「自信」です。(p.96-97)
・リーダーには、フォロワーに対する認知(リコグニション)が常に求められます。それは「ほめる」のとは違います。フォロワーがやったことをちゃんと見ていて、それについて自分がどう感じたのかをフォロワーにちゃんと伝えるのが認知です。(p.105)
・「日本人が日本人であることに誇りと自信をもって、100%自分自身であることで、ビジネスに貢献する」
#日本人→HR。ナイキでの増田さんのミッション・ステートメント
・本来、人事部門が果たすべき最大の役割は、ビジネス部門の戦略パートナーとなって組織能力を高め、ビジネスの成果を生み出すことです。(略)もしも人事担当者が本来の役割を果たそうとするならば、まず自分自身のリーダーシップを育てることが肝要です。(p.155-156)
★私は、前述した「アジア太平洋地域が、このリージョン域内で働く優秀な人材にとって最も働きたい場所、ビジネスの目標を達成するうえで必要とされる人材を常に引き留め、ひきつける組織だと位置づけられるようにする」というビジョンに基づき、各カントリーの主要ポストの現地採用者比率アップや、リージョンの部門長クラスにおけるアジア太平洋地域出身者比率のアップ、各カントリーの事情に応じた多様性の実現などについて具体的な数値目標を立てていました。(p.162)
#魅力的なビジョンと、分かりやすいKPI。
#人を変えるのではなく、組織を変える、という信念!
・「ヤヨイ、人生には二種類のボールがある。会社というボールはゴムでできている。だから落としてもまた跳ね返ってくる。家族や友人というボールはガラスでできている。だから一度落とすと(割れてしまうので)跳ね返らない。あなたのしようとしている選択は人間として尊いものだ」(p.168)
★私は職制上のリーダーだったときも、自分についてきてくれる人たちをフォロワーではなく、「リーダー仲間」だと思って働いてきました。本当はリーダーになりうるのだけれど、まだ自分がそうだとは自覚していない人たち、あるいは自分の内側からこみ上げてくるものを今はまだ言葉にできていない人たち、そういう人たちのそばに私がいることで、みんながリーダーに変容できる。そのお手伝いをすることが、りーダーである私の役目ではないかと思うのです。(p.217:増田)
・フィードバックを受ける努力
私の場合は、たとえば半年に一度の業績評価面談のときなどに、部下に対して、「あなたが私にしてもらいたいと思うことで、私があまりできていなかったことは何?」と来たり、「あなたから見た私のいいところ、足りないところを言ってもらえると、とても助かる」などとお願いするようにしていました。(略)
フィードバックを受けるためには、自分から率先垂範で周囲に対してフィードバックを出すことも大事です。その際にベースとなるのは、相手の成長を心から願う気持ちであり、相手との間に信頼関係が築けていることが前提です。(p.226:増田)
★リーダーの育て方
経営陣が20人いたらその20人がそれぞれ個性あるリーダーであり、追随するリーダーたちの手本となっていることがスタートです。そして、その20人みんなが自らの成長を心がけ、お互いのよさを見ながら助け合っていれば、社員たちも成長したいと思い、互いに助け合うはずです。そういう企業では、みんなの秘められたリーダーシップが引き出されやすいでしょう。
必要とされるリーダーのタイプを企業側が見定めておくことも重要でしょう。自社の価値観で最も大事にしていることを日々体現できるリーダーが多くいる企業は、自社の差別化に成功しています。(p.229:増田)
★自分の潜在能力を引き出すプロセスはとても楽しいものです。自分にあるはずのギフト、もっているはずなのに使っていなかった能力を駆使するのは、誰にとっても心躍る経験となります。(略)
自己受容は、人を巻き込んでいくプロセスにも欠かせません。なぜなら、自分自身を巻き込めない、つまりその気にさせられない人に、他者を巻き込んで、その気にさせることはできません。「自分を巻き込む」とは、表現を変えれば、自分が心の底から何かを信じて行動できる状態であり、そういうときに、他の人はその人を信じてついていこうという気になるのです。(p.246:増田)
・今の私があるのはこの両親の愛情あってのことだと深く再認識しました。(p.253:増田)
★ブリッジズの3ステップモデル「終わり→中立ゾーン→始まり」(p.268-272:金井)
人生の転機を上手く乗り切るには、中立ゾーンを積極的に生きる必要があるとブリッジズは言う。(中略)
どの組織も、今のままでなんとかなると思っている限り、何も変わらない。変わるのにはエネルギーがいるからだ。変わることに本当にエネルギーを注いでもらいたかったら、経営者は組織のメンバーに、今まで慣れ親しんだ世界が終わりに近づいていることを、きちんと知らせないといけない。
しかし、困ったことに、経営者は往々にして、これから向かうべき方向やビジョン、これから「始まる」世界や「始まってほしい」世界を語るのが常で、「終わったもの」「なかなか忘れられないもの」を払拭するための努力は怠りがちだ。(中略)
組織のメンバーそれぞれに中立ゾーンをしっかり感じてもらうためには、今までのやり方が通用しなくなったときに、変わる必要性を自分で考え、感じてもらう必要がある。一人ひとりの個人に、どう変わればいいか、どのようなビジョンが必要かを自分の頭で考えてもらい、変わることの痛みとビジョン通りにうまく変われたときの喜びなどを、自分の感情に正直に話し合ってもらう機会がいる。
<その他>
金井さんの『人勢塾』を読んで、増田弥生さんのことがもっと知りたくなり購入。” -
自分が組織に貢献できることを意識して、自分の強みを活かすことを教えてくれる。そのために繕うのではなく、できることを全力で、できないことはできる人にお願いして。役職としてのリーダーというより、個人が持っている気づきをその人のやり方でやっていく、それがリーダーシップだと説明する。言動一致できれば裏表のない人として信頼される、たしかに私が信頼している人もできないことはできないと素直に言う人だな…と。仕事を何もしていない時間も、家族や友人とのつながりを含めてキャリアとして豊かだったという考え方に目からウロコ。
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著者は、前ナイキのアジア太平洋地域人事部門長。
リーコー→リーバイス→ナイキと、超一流企業を渡り歩きながら、世界規模で、リーダーの発掘と育成に取り組んできた著者の経験からは、真のリーダーとなるためのヒントがたくさんありました。
なぜ、お茶くみやコピーとりをする、普通のOLだった著者が、リーダーシップを身につけることができたのか。
そのポイントは、どうやら「実行」と「発信」にありそうです。
著者は本書の中でこう言っています。
「リーダーシップは絵を描いてその実現のために人を巻き込むこと」
つまり、自分が良いと思ったことを「実行」して、それを「発信」することで、周りを巻き込む。
実際著者がリコー時代に最初に行ったことは、資料置き場の整理からでした。
資料置き場を整理して、それをみんなに使ってもらえるように周りに発信した。
これがこれが著者にとってもリーダーシップの原点になったわけです。
このことからもわかるように、リーダーシップは生まれ持った才能ではありません。
本人の自覚次第で、誰にでも身につけることができる。
だからこそ、意識してリーダーシップを磨くことは非常に意味があることなのではないでしょうか。
本書を読んで、ますますそう思いました。 -
面白かった。
「本を推薦する本」に載っていて、
興味が湧いたので、読んだのですが、
期待以上でした。
下町出身のミーハーOLが
NIKEアジア地域の人事部長にまでなります。
最後の質問の章は、シビれました。 -
リーダーシップ研修の課題図書だったため、読みました。
グローバル企業の人事トップである著者と自分の所属している小さな組織とは余りにかけ離れていて、参考にはならないと思ったのが最初の感想ですが、コミュニケーションの考え方に、なるほどと思うところがありました。
コミュニケーションは相手に動いて貰えて初めて伝わったと言えるという考え方が、そのとおりだと思いました。チームを動かす、組織を動かすことの難しさに日々直面していますが、どうすればよいのか、ひとつのロールモデルを知ることが出来ましたので、読んで良かったです。身近にメンター的な存在がいない女性リーダーには一読を勧めます。 -
メルカリ売却
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こういう素晴らしい経歴の人もいるのかと感じた。
帰国子女でもない。
最初から海外で働いた訳ではない。
大学を卒業し、新卒でリコーに入社。
ここから社会人生活がスタートして、どういう運命の巡り合わせでこのようなキャリアにつながっていったのか。
一瞬羨ましいと思いながら、ただの運だけで掴んだ訳ではないことは当然に想像できる。
本書では「自然体」という言葉だが、相当な努力を重ねたに違いない。
よくもこのキャリアをつかみ取ったものだと感心してしまう。
本人はあくまでも謙遜しているようだが、先々での出会いの中で、彼女の魅力に引き込まれた人々が彼女を必要としていったのだろう。
本書はリーダーシップ論であるが、究極言えば話をしていることは単純なことだ。
・構想する
・実行する
・人間関係を大切にする
当たり前のことだから「自然体」という言葉で表現しているのだろう。
「当たり前のことをやってきただけなのだ」と。
しかしこの当たり前のことが出来ないから、日本でリーダーが育たない要因でもある訳なのだ。
本書内で出てくる例だが、子供の頃に公園で遊ぶ時に、その日の遊びを何にするか自然発生的に決まる。
自然発生的と言いつつも、誰かが「今日はこれで遊ぼう」と言い出す訳で、皆がそれに付いていく。
それこそがリーダーシップなのだという。
つまりリーダーの一丁目一番地は「これをやろう」と構想することなのだ。
どうしても「組織運営」がリーダーとして必要なことと思われてしまうが、それは「マネジメント」であって、リーダーシップの本質とは違う。
どんな立場だろうが、何歳だろうが、「こういうことをやってみたい」という構想なしには、リーダーになることはあり得ないのだ。
著者はそういう意味で、元々これら資質を持っていたのだろう。
リコーに入社後も当時若手社員でありながら、上司に様々な提案をしている。
日本ではいまだに「みんな仲良く。和を乱さず」的なところがあるので、今までと異なる提案をすることには抵抗を感じてしまう。
しかし、それらの認識は今後変えていかなければいけない。
彼女のような存在は非常に貴重で、大切なのは、そういう資質を持つ若手社員を潰さないことだ。
彼女は上手に潰されずに社会人人生を歩めた訳であるが、それは人間関係を大切にしたからに他ならない。
リコーとAT&T合弁会社への出向。リーバイスへの転職。ナイキへの転職。
運をつかんだと言えばそれまでであるが、その時々の出会いに対して、本当に真摯に誠実に相対したことが結果として表れている。
本書を読んで感じたのだが、リーバイス社が世界規模でリーダー育成、人材育成に取り組んだというのが意外だった。
日本企業でここまで本気で取り組んでいる会社があるのだろうか。
他社の状況は分からないところだが、私の会社でいうと、まったく無い。
(それこそ、これから作成していかなくてはいけない)
そもそも入社時プログラムすらも確立されていない。
企業の歴史と文化、ミッション・ビジョンを、最初の入社時に説明しなくてどうするのか。
「リーバイスのリーダーとしてこうあるべき」
これも含めてきちんと教育していこうという姿勢はさすがだ。
この分野の日本企業の遅れは10年どころではないだろう。
この時リーバイスは、アジア新興国の成長で、経営的にも好調で安泰。
アメリカ本社から形だけの現地社長を送り込むだけでも、十分に会社としては成長していけたはずだ。
それなのに、会社は現地社員の成長が重要と位置付けた。
そのリーダーとしての白羽の矢が著者に向いた。
当然、アメリカ本社での要職についた日本人は彼女が最初だ。
アジア小国の日本。さらに女性。英語も決して堪能ではない。
それを偏見の目で見るのではなく、逆に可能性を見出せる点が強い。
リーバイスは後からグローバル企業になっただけで、始まりは小さな家族経営の衣料店だった。
(ゴールドラッシュ時に、ジーンズを売り出したのが始まりという話は本当だ)
やはり経営者の器というか、将来へのビジョンを見通せる力が日本企業はまだまだ弱い。
とにかくこの分野については追い着くところから始めないとと思う。
自分でももっと勉強していきたいところだ。
(2021/7/16)