辺境生物探訪記 生命の本質を求めて (光文社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035754

作品紹介・あらすじ

南極や北極などの極地、深海底、火山、砂漠、地底、宇宙空間…低温、高温、高圧、乾燥、無酸素、高放射能など、どんな過酷な環境にも生命は存在する!?辺境生物学者で、「科学界のインディ・ジョーンズ」の異名を持つ長沼毅と、『クリスタルサイレンス』『ハイドゥナン』などの小説で辺境を描いてきた藤崎慎吾が、地球の"極限環境"に生きる奇想天外な生物たちを訪ね、生命の謎や本質について語り合った。生物学の最前線がわかり、科学の面白さが堪能できる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ここのところずっと、途中で小説を間に挟んだりすることもあるが継続的に読んでいるテーマが「生命の起源」。
    長沼氏の本はとても面白い。もっと読みたい。

  • 大ボリュームの作品。
    様々な生き物が出てくるのですが
    その生き物がいる要因に人為的なもの、というのも
    見え隠れするものがあります。(極地に生える苔がそう)

    そして興味深かったのは最後に出てくる
    生き物がいる自体が破壊、という部分。
    むっと思うかもしれませんが、地球が抱える問題を見れば
    まあ間違いのないことでしょう。

    カラー写真もあるのが何気にすごいです。

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB02678335

  • 地球上のあらゆる辺境の地で生命を探る長沼とそれに楽しみながら付き合ってる藤崎。
    話題や環境はとても普通ではないが、飄々とした二人の掛け合いが面白い。
    地球外生命の可能性まで話が及ぶと不安も感じたが、生命誕生の可能性には地球環境を前提にしていないという立場であるのが判る。
    印象に残ったのは世代交代に数十年、数百年かかる微生物がいたらそれは人間には存在自体が検知できないだろうということ。
    既存の生命で知られているのとまったく違う仕組みの生命がそのような形で存在していると考えたら…こういう仮説は楽しい。

  • サイエンス

  • 対話形式を取った、長沼氏と藤崎氏の対談400ページ。雑誌などでの長めの対談形式の特集を10個程集めた、という感じ。

    いきなりアーキアという知らない微生物の話が出て来る。

  •  通常私たちが知っている生物の大部分は非常に近しい種であるため、生物のイメージも狭くなりがちだ。しかし進化の系統樹の根本で別れたような遠い生物は、私たちが絶対生きられない環境で悠々と生きていたり、まったく異なる方法でエネルギーを得ていたりする。

     本書はそういう生物を数多く探してきた「科学界のインディ・ジョーンズ」の異名を持つ生物学者と、SF作家による対談集。深海や砂漠、地中から宇宙まで、極限環境で生きる生物のエピソードが連なる。最後は地球外生命探索まで語られるが、決してオカルト的ではなく科学的でありつつ、しかし小説のような楽しさが感じられた。

  • まぁ、生物っていっても微生物なんやけど、それはそれでおもしろかった。岐阜県瑞浪市に超深地層研究所なんて施設があるとは知らなんだ。
    科学っておもろいなぁ。海底から地底、南極と北極の違いとか、火山とか月、火星、金星、木星の衛星とか、興味深い話満載。対話形式で読みやすいってのもあるけど、おもしろかった。

  • 南極、深海、砂漠、地底、地球外といった辺境やそこに存在する生き物を通して、生物の不可思議さをめぐる旅を味わう本書。科学界のインディージョーンズこと長沼毅氏の辺境探索話を中心に、実際に、日本国内の各所を旅しながら、対談が進められるため、辺境の紀行文としても楽しむことができる。酸素とケイ素が多く、炭素が少ない地球で、我々人間を含む、炭素ベースの生物が多数の中、ケイ素をベースにした珪藻が2億年前に生まれ、現在地球で大繁栄している。生物の次のステージはケイ素ベースになることも考えられるとのこと。そういえば、最近身体にシリコンいれる人増えたよなあと変な関心をした 笑

  • 2012.6.10 推薦者:みるく(http://ayatsumugi.blog52.fc2.com/blog-entry-140.html

  • あちこち話題飛びますが、長沼さん、ほんと面白い。
    深海展のショップで見つけて思わず買いましたが、買って正解。

    地下のほうが地上よりも生物量が多いとか、強力な放射線下でも耐えられる生物とか、ほんと知らない世界がこの1冊に詰まってました。


    「非常に少ない例から大局的な考え方をつくっているけれど、多分、例をもっとたくさん集めれば違ったモデルができてくるはず。今はあまりにも例を知らなすぎる。」

    制度設計、組織設計にも、言えるかもしれない。設計者があまりに例を知らなすぎる(勉強不足)だと、、、こういうとすぐに他社の事例なんて、真似したってという人がいるけど、真似するわけでもなく、よりよい適合するモデルを考えるためにも他社事例の収集、分析は重要でしょう。単に勉強してないことの言い訳にしか聞こえない。


    あと、これは逆にリスク過敏、過剰反応しないように注意しないとなーと、長沼さんのように、かるーくテキトーい捉える余裕も持たないとなと思った。

    「過去に前例のないものに対して、過剰な予防措置を講じるのも、あまり現実的じゃない」

    ま、これは地下細菌の中に、病原菌が出る可能性についてのお話だけど。地下に放射性物質を貯蔵していく際の研究も行われているけど、そこで漏れでたときの影響で病原菌が発生してしまう確率とかの話。

  • この生物学者の長沼さんという方は知らなかったのだが、
    全方位的な知識とすごい行動力で、とにかく愉快で面白かった。

    深海、地中、宇宙といった辺境(彼らからすると僕らが辺境なのだが)に棲む生物の面白さ。

    おおよそ常識的な生物観の枠外にある仕様。

    メタンを分解して生きる奴や、超高温で生きる奴や、カーボンベースのボディでない奴など、
    地球がどんな環境になろうが、必ず生き残る生物はいると確信できる。

    約400ページの分厚い本だが、面白いのでどんどん読んでしまう。
    生き物好きにはおすすめです。

  • 極限環境と呼ばれるような環境下に生息する生物について、対話形式で解説された一冊。専門、専門外関わらず、そういった生物に対する興味を引き出してくれる。地下生命などのとても代謝の遅い生物や、シングルセルバイオロジーについて、この本で初めて知った。

  • 対談集だった。

    タイトルに惹かれたが、イマイチかな。

  • 著者たちの狙い通り,ワクワクさせられることしきりだった.この分野,あまりに知らないことが多すぎて,新書にしては分厚いが読むのが苦にはならない.

    ・岩石内生物.
    ・ハロモナス:寒いところも乾燥も塩分もオッケー.
    ・ハロモナスは硫黄酸化して独立栄養する.
    ・ウランとか鉱物資源が鉱床をつくるのに微生物が関わっている可能性が高い.
    ・スローバイオロジー.100年に1回分裂する生物など
    ・我々は地球の磁場と太陽の磁場に守られている.
    ・植物が環境を守るなんて嘘っぽい.
    ・生物が地球側に作用したのは,たぶん,酸素の発生ぐらい.あとは生物側が全部受け身.

  • 最終章では佐々木氏を交えて、地球外生物や生物の本質を語っている。骨格となる原子が炭素から珪素に変わっていくとか、酸化・還元反応で用いられる水素と酸素の比が今は1000倍くらいだが、酸素が増えてくれば生物が繁栄するとかいった考え方がおもしろかった。

    ・最後の共通祖先(LUCA)は、ミトコンドリアの祖先であるαプロテオバクテリアに近い。
    ・地下は深さ1kmごとに20〜30℃温度が上がる。生物が耐えられるのは110〜120度くらいなので、深さ5kmくらいまでは生物が存在すると考えられる。地下の生物量は数兆トンに達する可能性があり、地上の植物量1〜2兆トンと匹敵する。
    ・マントルを構成するカンラン石は水と接触すると酸素を奪って水素を発生する。その水素をメタン生成菌が利用してメタンを作り、メタンを硫酸還元菌が利用するという流れが予想できる。
    ・地殻現象は地下水の影響を受けていると考えられる。ダムを作って貯水池ができると地震が起きる例がいくつかある。
    ・生物が放射線を受けると水がイオン化して酸化しやすくなり、DNAの二重らせんを切ってしまう。
    ・直径5kmの岩の真中なら、宇宙空間でも放射線からまもられる。
    ・火星の極域ではちょっと掘れば氷がある。低緯度にも含水鉱物が見つかっている。10kmくらいの谷底では、液体の水が安定する大気圧が得られる。
    ・木星の第2衛星エウロパの地下には液体があるのは間違いない。
    ・ガニメデには磁場があるため、中心に溶けている金属のコアがあると考えられる。表面の氷の下には海があり、その下で火山活動がある可能性がある。
    ・土星の衛星タイタンには、メタンの雨が降って川が流れ、地球や火星と同じ地形ができている。メタンは非極性分子なので、膜がない生物が存在する可能性がある。
    ・エンケラドゥスは直径500kmくらいで、地形が複雑な地域と衝突クレーターに覆われた古い地域にはっきり分かれている。氷を噴いているのは、潮汐熱源が偏った働き方をしているためと考えられる。
    ・2億年前に二酸化珪素を使い始めた珪藻が生まれた。

  • ふか~い海の底から宇宙の果てまで、極限で生息する微生物のお話がメインの
    対談集である。

    対談って妙に専門的だったり、上滑りだったりするのだが本書はリード役の藤崎氏の
    話の引き出し方が絶妙だ。世界の極地で研究を続ける長沼氏の知識を巧みにコント
    ロールしている。

    南極や北極の寒冷地、砂漠のような乾燥地帯、高熱である火山の噴火口付近、
    暗い地底。そこどこにも微生物は存在する。人間であればとても耐えることが
    出来ない環境であっても。

    話の行きつく先は宇宙となるのだが、地球以外の惑星にも生物の痕跡があり、
    地球の生命の誕生は他の惑星からかも…なんて仮説は楽しい。

    対談場所は予算の関係(?)で日本国内の温泉だったり、鳥取砂丘だったりなの
    だが、どこかお金のある出版社が本当に南極やサハラ砂漠での対談を実現して
    くれないだろうか。辺境での辺境生物対談こそ、実感を伴うと思うのだが。笑。

    サイエンス入門書としていいかもしれぬ。カラー写真も豊富に掲載されている
    ので、写真を眺めるだけでも面白い。

    個人的には解明されていないズワイガニの生態に興味津津である。なんで、餌
    の周りにワサワサと大量に集まってくるのだろう。これを狙って密漁出来ない
    かなぁ…なんて悪いことを考えてみる。

  • 科学界のインディー・ジョーンズこと長沼毅博士と環境SF『ハイドゥナン』の藤崎慎吾氏が辺境をキーワードに地球内外での生命について縦横に語り尽くす対談集。新書にも関わらず千四百円&四百頁超の価格とボリュームには少し怯むが心配御無用!藤崎氏の生真面目なツッコミと長沼氏の理学博士とは思えない大陸的な受け答えが絶妙のハーモニーを醸し出す。テーマがテーマだけに一読理解できない場合もあるが、そんな些細なことは忘れてどんどん読み進めよう!苦労も多かった筈だが長沼博士の話にはロマンを感じる。次は『生命の星エウロパ』だ^^/

  • 素晴らしき辺境生物野郎!
    知るということへの素朴な感動・好奇心への賛歌

  • 微生物についての話である。

    辺境すなわち、極限環境で生きる微生物というのは、たとえば熱に強かったり、塩分に強かったり、放射線に強かったり、乾燥に強かったりと、その耐性の種類は様々だ。

    しかし、その極限環境の厚みというか幅というか、その振幅量は実はそんなに多くない。たとえば、耐熱性の高い生物は現時点で122度の高温領域でも生きていられるが、およそ90度を下回ると活動できなくなってくる。

    そんな話が面白かった。

    他にも、定性的な話と定量的な話といったテーマや、ワンタイムのデータと連続レコードのデータといった話など、色々と思考の糧が増えた。

  • 極地、砂漠、海底、地中、果ては宇宙まで、あらゆる過酷な環境下での生命の限界を探る。軽妙な語り口で語られるその内容は科学の最先端であり、生命の謎を探る知的冒険である。好奇心が刺激され続け、読み終わるのが勿体ない。読んだことを人に話したくなる。そんな数少ない一冊。

  • [ 内容 ]
    南極や北極などの極地、深海底、火山、砂漠、地底、宇宙空間…低温、高温、高圧、乾燥、無酸素、高放射能など、どんな過酷な環境にも生命は存在する!?辺境生物学者で、「科学界のインディ・ジョーンズ」の異名を持つ長沼毅と、『クリスタルサイレンス』『ハイドゥナン』などの小説で辺境を描いてきた藤崎慎吾が、地球の“極限環境”に生きる奇想天外な生物たちを訪ね、生命の謎や本質について語り合った。
    生物学の最前線がわかり、科学の面白さが堪能できる一冊。

    [ 目次 ]
    プロローグ 辺境の生物を訪ねる旅へ
    第1幕 南極は“しょっぱい大陸”
    第2幕 深海で出会った生物の「大群」
    第3幕 原始地球は温泉三昧
    第4幕 乾燥と「高イオン強度」に耐える生物
    第5幕 「スローな生物学」への挑戦
    第6幕 宇宙空間で生き延びる方法
    エピローグ 生命は宇宙を破壊する

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  宇宙の成り立ちを知るためには、地球からなるべく遠く離れたところを観測するのが効果的だ。光が有限速なので、離れれば離れるほど、そこで観測されるデータは過去のものとなる。今見える100億光年離れた天体の姿は、つまり、100億年前の姿なのだ。
     生命起源の話もこれに近い。生命の起源を探るには、今の地上とかけはなれた環境に生息している生命を観察するのがいい。高温、低温、強酸、あるいは強い宇宙線にさらされているなど。
     この本はそうした環境下の生物について、その環境に近い場所(あるいは施設)で科学ライターと科学者とが語るというユニークなもの。そしてこの科学者の語りが学識が裏打ちした床の上を見事に飛び、跳ね回るもの。真摯でいて、学問的な軽さにめくるめく一冊。
     P.S.ここには触れられていないが、生物好きなFマリノス・ファンは、ぜひ横須賀市自然人文博物館に足を運んで欲しい。もう、わくわくだったよ。

  • 2011 1/9読了。Amazonで購入。
    @sakstyleの書評(http://d.hatena.ne.jp/sakstyle/20101220/p1)を見てこれは面白そうだ、と思い購入。思った通り面白かった。いや、思った以上に面白かった。
    基本的には微生物の話。詳しい内容については上記URL参照。
    帯紙を見て、鳥取砂丘で砂漠向けの格好(コスプレ)をしている方が藤崎さん(作家・ライター)かと思ったら、長沼さん(研究者)だった。言動といい研究内容といい、面白すぎだろこの人。

  • こういう研究をしている人がいるのですね。人間を小さく感じるな。

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著者プロフィール

1961年、人類初の宇宙飛行の日に生まれる。深海生物学、微生物生態学、系統地理学を専門とし、極地、深海、砂漠、地底など、世界中の極限環境にいる生物を探索する。筑波大学大学院生物科学研究科博士課程修了、海洋科学技術センター(JAMSTEC、現・海洋研究開発機構研究員)、カリフォルニア大学サンタバーバラ校海洋科学研究所客員研究員などを経て、現在、広島大学大学院生物圏科学研究科教授。『宇宙がよろこぶ生命論』(ちくまプリマー新書)、『形態の生命誌――なぜ生物にカタチがあるのか』(新潮選書)、『辺境生物探訪記 生命の本質を求めて』(共著・光文社新書)、『地球外生命 われわれは孤独か』(共著・岩波新書)、『生命の始まりを探して僕は生物学者になった』(河出書房新社)ほか著書多数。

「2016年 『ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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