街場のメディア論 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 3042
レビュー : 418
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035778

作品紹介・あらすじ

テレビ視聴率の低下、新聞部数の激減、出版の不調-、未曾有の危機の原因はどこにあるのか?「贈与と返礼」の人類学的地平からメディアの社会的存在意義を探り、危機の本質を見極める。内田樹が贈る、マニュアルのない未来を生き抜くすべての人に必要な「知」のレッスン。神戸女学院大学の人気講義を書籍化。

感想・レビュー・書評

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  • 学での講義を再編集したもの。分かりやすい。メディアの信憑性、正義、方向性について語られている。マスメディアは誰のために存在しているのか?改めて考えさせられた。贈与と返礼、著者の考えはとても共感でき、好きである。

    召命 vocation(宗教用語)
    天職 Colling
    「他人のため」に働くとき、人間の能力は伸びる

    「一緒に革命できますか」という判断基準

    お客さま⇒クレーマーの増大

    自分が不足、誤ったことを考え直す機会。
    メディアの「とりあえず」の正義、、、もうなかったこと。

    戦争とメディアは絶妙の組み合わせである。ピュリッツァー&ハースト⇒イエロージャーナリズム。

    読書歴詐称という知的生活
    本棚=前未来形で書かれている。

    マスメディアvsミドルメディア

    反対給付と義務

  •  人が生きていく際、様々な人に出会い、いろいろな情報を見聞きし、そこで得た情報を処理して判断する。その過程で、その人個人の人間形成がなされる。これは、今に始まったことではないのだけれど、多量の情報を処理しなければならない現代では、その処理如何がその人の道程を決定づける要素になっているのではないだろうか。だからこそ、私も進路に悩み。社会との関わりについて深く考えてきたのだと思う。
     この本は、そんな私たちが普段からよく話題にしているメディアについて書かれている本である。文章は、普段使いの言葉から少しロジカルに、少し賢く考えてみよう。というスタンスで書かれていて読みやすい。それが内田樹さんの文章の特徴かな。

    ※気になったトピック&キーワード

    ・社会的共通資本
    ・市場原理こそ教育崩壊の主因
    ・「書棚」は「理想我」のなくてはならぬ基盤
    ・どうすれば生き延びられるのか、それについてのマニュアルやガイドラインはもうどこにもない。

     この情報化社会で私たち個人は、どういう立ち振る舞いをし、どういきていけばいいのか。そのマニュアルやガイドラインはもうないと最後の文で打ち明けられますが、この本の中にそのためのエセンスが散りばめられているように思いました。あることはよく知られている事で、あることは私自身非常によくあてはまっている事で、またあることはぜひともこれから意識していきたいと思うような事でした。
     そのなかでも第六講の「読者はどこにいるのか」に書かれている内容は、非常に印象的でした。電子書籍化やGoogle書籍の存在を知ると“本を読む人”が減少するのではないかと思いがちですが、実はそうでもないぞと書いてある。そのロジックは、読んでからのお楽しみということにしますが、一文だけ紹介します。

     “僕たちは書棚に「いつか読もうと思っている本」をならべ、家に来る人たちに向かって、いやだれよりも自分自身に向かって「これらの本を読破した私」を詐欺的に開示しています”p.155

     そういえば、私自身も実家にある本棚を眺め両親はこんなにも沢山の本を読んでいるのか。つまり、これだけの沢山の本を読まないと両親のようなおとなになれないのか。。と、勘違いをしたことがありました。その経験が、私を“よくわからないがこの本との出会いは、私への贈り物”ではないかと思わせてくれたのかも知れない。と、気づかせてくれた一文です。
     ということで、本が好きでも好きでなくても現代に生きる私たちにとって、今あるメディアとどう付き合っていけばよいかを考える良いきっかけになるのではないでしょうか。

    • kaizenさん
      手持ちの本,図書館で借りた本などの書評を1万冊書こうと思ったのは,子供たちに本だけ渡すのではなく,何を学んだかで,同じ必要があったときに手に...
      手持ちの本,図書館で借りた本などの書評を1万冊書こうと思ったのは,子供たちに本だけ渡すのではなく,何を学んだかで,同じ必要があったときに手に取ってもらおうと思ったためです。
      2011/10/04
  • ものの見方の新たな視点をもらえました。
    すごく刺激的でおもしろかったな。内田先生のファンになりました。

    第1講 キャリアは他人のためのもの
    人の潜在能力が開花するのは他人の懇請によりそれが必要になったときである。だから仕事について考えるとき、適正テストや「自分が何をしたいか」と問うことからスタートするキャリア教育には問題があるという主張にすごく納得した。
    いまの自分と向き合うヒントもらえました。

    第2講 マスメディアの嘘と演技
    テレビのキャスターが「遺憾です」「こんなことが許されて~」と語りかける場面がどうしても白々しく感じてしまう理由はここにあったんだと納得。
    問題が起こる前に報道の力で事態を未然に防ぐ力を持っていながら、また防げなくても予想できたかもしれないにそれをしなかったことについて、恥じるどころか「こんなことが起こるなんて信じられない」という言葉を責任逃れの常套句にしてしまっているメディア。報道を行う立場にある人や組織が「演技的無垢」により互いにもたれ合っている現状。
    テレビや新聞の存在意義を問う大問題だと思う。

    第3講 メディアと「クレイマー」
    給食のときに「いただきます」ということに抗議した親がいたという話のくだり部分が印象的だった。
    「人類史を振り返れば、そのような機会に恵まれた人類は全体の1%にも満たないでしょう。「給食を食べる」という現実は、食物の生産・流通システムの整備、公教育思想の普及、食文化の深まりといった無数の「前件」の結果、はじめて可能になったものです。その先人たちの積み重ねてきた努力の成果を享受している現実に対しては「ありがたいなあ」と思うのがふつうでしょう」
    おっしゃるとおりです。

    第4講 「正義」の暴走
    「患者さま」という呼称はあきらかに医療を商取引モデルで考える人間が思いついたものです。
    「患者さま」は消費者的にふるまうことを義務づけられる。
    「消費者的にふるまう」というのはひとことで言えば、「最低の代価で、最高の商品を手に入れること」をめざして行動するということです。

    メディアは弱者に「推定正義」を適用する。
    しかしメディアはいったんある立場を「推定正義」と仮定すると、それが「推定」にすぎないということをすぐに忘れてしまう。

    第5講 メディアと「変えないほうがよいもの」
    社会的共通資本は、わずかな入力差が大きな出力差を生み出すような種類のシステムに委ねてはならない。
    それにもかかわらず、社会的共通資本である医療制度や教育制度をメディアが変えようとするのは、社会が変化しないとメディアへのニーズがなくなるからという不可避な病理によるもの。だから絶えず現状をバッシングして変化を起こそうとしている。その内容はともかく、とにかく変わることが第一目的となっているという主張には目からうろこ。
    納得するとともに、でも新しいよりよいものを医療・教育に取り入れていく姿勢も必要だと思う。もちろんそこには内容の吟味が必要で、そこにはかならず現場の声がなければならない。メディアはその辺りをわきまえ、ある程度の距離をもって報道を行うまでがその使命ではないかと思った。

    第6講 読者はどこにいるのか
    まだ存在しない読者さえも読者として認知して、その利便性を配慮した。電子書籍がもたらした最大の衝撃はこのことにあったと僕は思います。
    そこにはたしかに読者に対するリスペクトが示されている。

    電子書籍の、紙媒体に対する最大の弱点は、電子書籍は「書棚を空間的にかたちづくることができない」ということ。
    とある。わたしもそう思う。書籍には知識欲の他に自己顕示欲を満たすという働きがあるということを見落とすべきではない。

    第7講 贈与経済と読書
    この章の内容についてはわかるようなわからないような、ちょっとぼんやりした感じ。
    でも「贈与者」は「贈り物をされた」と思った人が現れてはじめて「贈与者」になれるのだということについてはなるほどと思った。

    薄くて読みやすい本だったけど、内容盛りだくさんでした。

    ちなみに小飼がブログに書いてた本書のオビ↓
    さすが、うまいこといいますね。

    * 就活、婚活がなぜ間違っているかがわかります
    * マスメディアがなぜ年を追うごとに退屈になっているかがわかります
    * クレイマーが最も傷つけるのは自分自身であるのはなぜかがわかります
    * なぜ「正義」は「悪」より「悪い」のかがわかります
    * 市場原理がなぜ教育を崩壊させるのかがわかります
    * 電子書籍がなぜ「ヤバい」のか--いい意味にも悪い意味にも--がわかります
    * 価格(price)と価値(value)の違いがわかります
    * 明日は「分かる」ものではなく「活きる」ものだということがわかります

  • 前半の「自分の特性から適職を探すのではなく、仕事が必要な能力を求めてくる」という趣旨の職業論に関しては蒙を啓かれる思いがしました。それでも、やりたい仕事と今の仕事の乖離で悩んでいる一新人社員としては、納得はしたくはないというのが正直な心境です。中盤以降の大衆論・メディア論については大体首肯できます。そして、紙媒体の書籍と本棚について述べられた章は本書の白眉。本棚は持ち主の理想我であり思想であるという論は、同じことを考えて学生時分に「友達の本棚めぐり」をやっていたために読むのが面白くて仕方なかった(笑)。

  • 神戸女学院大学での講義に基づいたものだが、ここでも、筆者は学生たちに鮮やかな知のパラダイムシフトを示して見せる。タイトルはメディア論だが、内容的には教育論から社会のしくみにまで及ぶ。これを読んでいると、筆者の内田樹はあたかも屈原の「衆人皆酔我独醒」のごとくだ。例えば、冒頭のキャリア教育論にしても、世を挙げて「キャリアだ。適性だ」と騒いでいる中で、そんなものは結婚みたいなもので、後から要請されて身に付くものだから必要ないのだと喝破する。たしかに彼の言うように、子どももいないのに父性に燃える男は不気味だ。

  • 時代が変わりメディアの存在意義が変わりつつある。
    へぇ〜という部分が多かった1冊だ。

  •  前半のマスコミ論が非常に参考になった。今までよくわからなかった、あるいは考えようとしもしていなかったことに、一定の解を与えてもらったような気分。ミドルウェアという思想、後半の贈り物の記事など、なるほどなぁとしみじみ感じ入った次第。己が思考力のなさを徹底的にフォローしてくれる著者に「ありがとうございます」と述べるところ。書物は商品ではない、というあたりはまさに内田氏ならではの発想で、すかっとしたり、うん?と悩んでみたり、と楽しめる内容でもあった。
    2回目:
     復習しました。他者のために働くとき、才能は開花する、に絶句。1回目でスルーしていたことにも驚く。これが自分にとって至言。うーむ。

  • 内田樹氏著作2冊目。この方の書く内容は、私にとっては考えたこともない視点から物事を視ることを教えてくれて、いかにこれまでの自分が狭窄だったか改めて考えさせられる。それも、全く縁のない世界に関することではなく、日常見慣れた風景について。毎日見過ごしている家の周辺も、角度を変えてよーく見たら貴重な遺跡が埋まっていた・・・ような感覚が新鮮だ。

    電子版で読んでいたので、特に電子書籍に関するところが印象に残る。「書棚は他人にこう思われたい姿」。電子版だから物理的に書棚には入らないのに、こうしてログを公開するサービスを利用してまでちまちまレビューなんて書いてるのはこういうことなのだろう。
    しかし、こんな駄文でも、誰かがこの本に目を留めたときの指標の一つにはなるかもしれない。どんなものにも価値は内在しない、だれかがそれを感じたときにはじめて生まれるなら、いつか誰かが授けてくれることを少し願ってみる。

  • 初・内田樹。もっと早く読んどけばよかった~

  • メディアの罪や,「世論」の定義,印刷書籍がなくなるか否かについてなど,様々な考えが詰まった本です。
    ああ,こんな考え方もあるんだ,と感銘を受けました。
    図書館で借りたけど,本屋で買おうかな。

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