ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035822

作品紹介・あらすじ

2011年春以降の身分は未定。「いったい私はどうなるの?」『高学歴ワーキングプア』から3年。その後、博士たちに何が起こったのか?鈴木謙介氏(関西学院大学准教授)との対談を収録。

感想・レビュー・書評

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  • ホームレス博士~派遣村・ブラック企業化する大学院~ (光文社新書)2011/8/5

    博士号よりも一杯のコーヒーの方が 自分自身の身を助けてくれる
    2016年1月14日記述

    高学歴ワーキングプアという著作を持つ水月昭道氏の本。

    本書も基本的には前作とほぼ似ている。
    ただ具体的な解決策が提示されていない点。
    あまり新しい事実が浮かび上がっていない点で物足りない。
    東大大学院の博士卒の就職率が40%程度というのは驚きだ。
    年齢が高すぎて企業も敬遠するのだろう。
    せめて修士卒で軌道修正出来ていればと悔やまれる。

    第二部の水月昭道氏の半生を振り返った箇所は少々興味深かったが。
    特にパチプロ生活している辺り。
    勝ちだしたら常連客への一杯のコーヒーの差し入れが
    円滑な店内の人間関係を作るという辺りはリアルで勉強になる。
    ちょっとおごる事の大切さが見えてくるようだった。
    これは他の場面でも使えそう。
    博士号よりも一杯のコーヒーの方が自分自身の身を助けてくれるのだ。

    P65の先生を信じて大学院に進学しても良いのかという事への悩みに対する答えもちょっと腰が引けている。
    堂々と君は騙されている!大学院進学なんてしなくて良い!!
    他に大学院進学を考える人にデメリットを教えるべきだと即答して欲しい所だ。
    まあ、先生の諸事情を鑑みて許してやって欲しいとか書いちゃうあたりに水月昭道氏のやさしさとその甘さ(結果としての高学歴ワーキングプア)が目につく。

    あと文科省や大学運営者がクソなのは間違いない。間違いないのだが陰謀論めいた文章、データや実名を示さない書き方には違和感を覚える。
    コイツが犯人だというのを特定しないといけない。
    かつて大学院重点化政策を推進した文科省官僚の名前くらいは示して欲しい。

    分数も出来ない大学院生と一般大学院生を批判した西村和雄氏の言説について冷静に考えれば大学院を増やしたのはどこの誰だったのかと水月氏が西村発言を批判するのには強く同意する。
    大学院生数が増えすぎたのが大学院生の学力低下の原因ならさっさと大学院の数を徹底的に減らせば良い。
    それを言わないやらないは欺瞞以外の何でもない。
    ただ西村和雄氏への批判も前作高学歴ワーキングプアでは実名で記載していたのに本作ではきちんと書かれていない。
    (前後文脈で西村和雄氏だとはっきり分かる)
    その点でも腰が引けているなと。本来はその辺ははっきり書くべきだろう。

    ルポにもなりきれていないし意見としても解決策が示しきれていない。
    ちょっと本作はなんとも未発酵だなという感じがぷんぷんする。

  • 108円購入2018-01-17

  • 読んでいると心と身体が痛くなります。ホームレス博士は少しばかり言いすぎか。院生は必読ですね。

  • 以前より博士の活用は行われていると思うのだが、実際どうなのか?専攻分野でも需要の違いがありと思う。

  • 大学院に行くよりも敢えて留年して新卒者になった方がメリットの大きな国になってしまったのか。キチンと勉強した人が報われない社会に絶望感を覚えます。

  • 2010年刊。大学院卒のワーキングプア、就職難、非正規雇用化の問題を論じる。大学での学習が知識獲得ではなく、むしろ学び方・調査方法の習得・そのプレゼンの方法の習得であるのならば、大学院まで行く必然性はほとんどない。特に文系学問は本を読み(考え方を習得)、実地に調査し、これを口頭や書面で発表するプロセスなので、特に大学院にまで行く必然性は見出しにくい。社会人としての技能か特殊な資格を取得するのでない限りはそのように思う。政策的に大学院の意義を持ち上げるのは、大学教員の就職先確保か、と考えるのは穿ちすぎか。

  • 博士だからといって安定した職場が保障されないとは。書きにくいこと書き切った勇気を応援したくなる。大学組織の在り様も考えさせられる。

  • 「高学歴ワーキングプア」著者の近著。
    本気で書いているのか茶化しているのか不明なところもないではないが、現状の問題点をかなり正確に鋭く指摘している。
    誰もが間違っていると分かることが正せないのがこの国の行政の特徴の一つか。
    今後この世界は大きく変化するのか、そうでもないのか?

  • たとえ、東大を出ても就職は運。
    著者の結論はこれに尽きる。

    自分と同じ境遇にいる人々を知ってほしい、そして行動してほしいとの願いが込められているように感じた。
    自己否定?と思うが、実際そうなのだろう。

  • 博士の問題について触れている希有な本。国民の多くはこの問題に関心がないから、アカデミックに関係する人が読者のほとんどだろう。実際、私も現役の大学院生(修士課程)である。研究室の先生(助教)が僕らの就職時に、君たちはいきなりパーマネントだから羨ましいよと言っていたのをこの本を読んで思い出した。博士の危険度は4回生の時に気づいていたので、全力で回避するように頑張ってきたが、全容を知るとやはりという感じである。
    この本や前著「高学歴ワーキングプア」はリスクの認知として学部生が一読すべき本だと思う。

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著者プロフィール

立命館大学衣笠総合研究機構研究員・僧侶。1967年福岡県生まれ。長年、子どもの道草研究に取り組む。無用の用を可視化する作業を通して現代社会文明批評を行い続けている。著書に『子どもの道くさ』(東信堂)、『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)他。

「2009年 『子どもが道草できるまちづくり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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