「つながり」を突き止めろ 入門!ネットワーク・サイエンス (光文社新書)

著者 : 安田雪
  • 光文社 (2010年10月15日発売)
3.18
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035884

作品紹介

「つながり」を制す者、組織を制す。ビジネス、感染症、犯罪捜査…多様な分野で応用される最新研究の「怖さ」と「魅力」。

「つながり」を突き止めろ 入門!ネットワーク・サイエンス (光文社新書)の感想・レビュー・書評

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  • ネットワークに着目して、さまざまな領域を分野横断的に分析した一冊。かといって、決して研究論文然とした書物ではなく、著者がネットワーク・サイエンスという学問と格闘してきた、ドキュメントのような仕立てになっている。その格闘は迫力に富み、まるで著者の息づかいまで伝わってくるようである。

    TwitterやFacebookの登場により、ソーシャルグラフというものが昨今、非常に身近なものとなっている。ただし、これらは可視化かつオープンになっている、ごく一部のネットワークに過ぎない。世の中にはまだまだ可視化できないソーシャルグラフ、クローズドに閉じたソーシャルグラフが、たくさんある。そして、そのような幾多のソーシャルグラフに、著者は負の側面、正の側面から真に迫っていく。

    本書の最大の特長は、”お題設定のうまさ”に尽きると思う。ネットワーク・サイエンスという普段は縁遠い学問を、実に自然な流れで”自分ごと化”させてくれる。

    ◆本書において触れられているお題は、以下のようなもの
    ・社内における電子メールのやり取りから分析したハイパフォーマーの特徴とは?
    ・SNSの人脈連鎖と、実際の人間関係における人脈連鎖は、どう似てる?
    ・彼氏の元カノの元カレは何人いるか?
    ・新型インフルエンザ発生時の休校措置は正しいか?
    ・6次の隔たり(6人の知人を通せば世界中の人とつながる)は、過大推定か、過小推定か?
    結論が明確に出ていないものもあったが、実に多種多様で、興味深い内容ばかり。

    ネットワークという壮大な観点から世の中を見ていくと、まるで宇宙の歴史でも聞いているかのような気分になる。自分などネットワークの一部にすぎない、ちっぽけで相対的な存在であることを、痛感せずにはいられなくなるのだ。なんだか、多少鼻っ柱を折られた気分だ。

  • 本書「つながり」を突き止めろ は、ネットワークに関する本であるが、その辺の婚活本よりも恋愛の参考になるのではないだろうか。

    重要なのは、“入りを制する”ことだ。

    白馬の王子様を探すことは当然として、いかに探されるかも大切だ。見つける努力だけでなく、見つけられる努力も忘れてはならない。
    これは、職探しにも応用できる考え方だ。

    肉食系男/女子は必読!

  • ういう本をスゴ本と呼ばずして、何をスゴ本と呼ぼう。

    凄く強い。そしてそれ以上に凄く怖い。

    P. 248
    橋を燃やし、また新たに橋を築くという経験を経た私が、今、明言できるのは、ネットワークこそわが生涯の伴侶だということだ。それは目に見えず、存在さえ曖昧な、だがそこに確固として存在し、われわれに影響を与え続ける。これ以上に魅力的な研究対象があろうか。ローマン博士が人生を関係研究に捧げたように、私も顔を上げ、この喪失の代償を喜んで引き受け、ネットワーク研究の女王として君臨すべく、再び、ネットワークの話をしよう
    ポピュラーサイエンスにおける本書の地位は、ポピュラーミュージックにおける中島みゆきのそれに比肩するのではないか。


    本書「「つながり」を突き止めろ」は、ネットワーク研究の一般書である。

    目次
    はじめに----ネットワークの怖さと魅力
    第1章 対ゲリラ戦略と米軍マニュアル
    第2章 電子メールから浮かび上がる業務遂行ネットワーク
    第3章 SNSの人脈連鎖
    第4章 広告作品「カレシの元カノの元カレを、知っていますか」
    第5章 知人の連鎖と新型インフルエンザつながり
    第6章 弱い絆の強さと弱さ
    終章 "入る"を制する
    それも、「一般的な一般書」のように、専門書や論文を一般向けにわかりやすくやさしく編み直したものではなく、研究者としての著者の「公」と、「橋を燃やし、また新たに橋を築いた者」としての著者の「私」が渾然一体となった、専門書では絶対ありえない一般書である。そのありえないぶりは、冒頭の引用だけでも充分うかがえるのではないか。

    21世紀も1/10経た今、我々はネットワークというものにどっぷり浸かって生きている。それだけ身近な話題ということもあり、この分野にはすでに数多くの一般書が出ている。以下は本blogで紹介したもののごく一部である。

    404 Blog Not Found:複雑ネットワークを複殺する - 書評 - 「複雑ネットワーク」とは何か
    404 Blog Not Found:書評 - 私たちはどうつながっているのか
    404 Blog Not Found:"Crowds"は「みんな」じゃない - 書評 - 「みんなの意見」は案外正しい
    404 Blog Not Found:群蟲の叡智 - 書評 - 群れのルール
    404 Blog Not Found:書評 - ヒトデはクモよりなぜ強い
    本書の知見を得るという点に関して言えば、これらの本の方がよいかも知れない。「怨念」がこもっていない分、安心して読めることだけは確かだ。

    しかし、ネットワークというのはこの「怨念」のヴィークルでもある。

    そして「ばらしては理解できないもの」の代表でもある。

    本書の筆致は、そんなネットワークというものの理解、それも頭だけではなく魂まで理解するのに最適ではないか。

    実際ネットワークというものは、単に「わかった!すごい!」で終わらせてしまうにはあまりに我々にとって切実で、あまりに怖いものなのだ。

    P. 21
    誰か組織の長をピンポイントでやっつければ勝負に勝つという時代はもう終わったのだ。大将を殺しても壊滅しない組織。王将をとっても勝ち負けが決まらず、いつのまに飛車や角が王将となり、全駒の布陣が完璧に再生している。ありえない不気味な対局。分散した敵は、モグラ叩きゲームのように叩いても叩いても現れ、さらにそれがゲームボードの下で自己組織的につながりあっている。貧困と絶望にうらづけられた悲しみと敵意は、中枢をもたずにいくらでもつながりうるのだろう。その連鎖こそが、米国人にとっての、21世紀の戦争の「敵」なのだ。
    そして誰もが、こうした「敵」を持ちうるのが、現代なのだ。

    「彼を知り、己を知れば、百戦危うからず」は前ミレニアムまでの常識。今ミレニアム以降は、つながりを知らなければ一戦とて危うい。

    かといって誰とも何ともつながらないという選択は、ありえない。本書を読もうが読むまいが

    その意味で、あなたは本書とすでにつながっている。

    ならば著者が命じるように、それを突き止めてみようではないか。


    最近、セミナーで「ブランディング3.0」というお話をよくさせて
    いただいています。

    具体的に説明すると、

    1.0は、大きな箱やメディアに所属すること、
    2.0は、検索の世界で目立つこと、
    3.0は、有力なLinkを持つことです。

    SNSが普及した現在、富を生み出すために求められるのは、3.0、
    すなわち有力なLinkを持つこと。

    そのために役に立つのが、最近研究が活発なネットワークの理論です。

    本日ご紹介するのは、このネットワークの理論を紹介した注目の新
    書で、社会ネットワーク分析の専門家であり、関西大学社会学部の
    教授を務める、安田雪さんによる一冊。

    このネットワーク理論は、友人関係や病気の蔓延、ビジネスにおけ
    る人脈の拡大など、さまざまな分野で活用することができますが、
    本書では、海外のネットワーク理論の紹介に加え、著者らが独自に
    行ったSNS「mixi」のネットワーク調査の結果も紹介。

    読むことで社会ネットワークに対する理解が深まり、その中で誰と
    付き合うべきか、どうすれば富を拡大できるのか、そのヒントが見
    えてきます。

    社長はどんな組織を持つべきか、夫婦はどんな関係を目指すべきか、
    ビジネスマンのさまざまな悩みに、社会ネットワークという見地か
    ら切り込んだ一冊。

    社会ネットワーク関連本のなかでは最も読みやすく、安価な一冊です。

    ビジネス、プライベートのヒントとして、ぜひ読んでみてください。


    チェスター・バーナードという組織論の大家は、組織は、コミュニ
    ケーション、貢献意欲、共同目的の三つで成立すると論じている

    売上に関わる業績が高い人上位15%と、それ以外の人たちのメール
    の送受信行動を比べてみると、明らかに両者のメールの送受信パタ
    ーンは違っている。高業績の人たちは、若手に対するコミュニケー
    ション量が多いのだ

    すきまをみつけ、連鎖の仲介者になることで、他人から拘束される
    のを避ける。それが組織で生き延びる知恵

    関係情報は占有されると武器になるが、共有情報になれば乱用は防
    げるし、その威力も弱まる

    複数の他者から見える自分のイメージを統一しておくと、人間関係
    は安定し、かつ広がりやすい。イメージのぶれる人、多重イメージ
    を持つ人は、他者に不安定感、悪い場合には不信感を与える

    交際相手をみなが自分の身近なところから選んでいる限り、彼氏の
    元カノネットワークはそうそう大きくはならない。だが、人々が交
    際相手を大きな範囲から選んでくると、交際連鎖のネットワークは
    いきなり巨大化する

    エルドシュ・ナンバーを改善するコツは、誰か大物とつながること

  • 時間がなくてかなり急ぎ足で端折りながら読んでしまったが、すごく充実した内容で新鮮に感じられる話が多く名著だった。
    自分自身が情報を制限することはできるが、他人は自分ほど自分を守ろうとはしてくれないのでそこからボロが出るというのは真実だと思う。悪友と悪いことをするといざという時、すぐ裏切られる。
    またエイズやインフルエンザの感染経路を調べるのに、誰といつ接触したかを芋づる式に見ていくことで拡がり方が見えてくるというのは当たり前のことではあるが考えてもみなかったことなので改めて見るとおもしろい。
    そして何がわかるというわけではないが、元カノの元カレが誰か、という話は考えてみると不可侵の領域に踏み込んだようなすごく不思議な気分になり、当たり前に過ごしている日常を少し俯瞰できる。

    追記 このレビュー書いた数日後にニュースでツイッターのつぶやきからインフルエンザの感染経路を調べるというのを報道していた。この調査と通ずる。

  • 新感覚で読み応えがある1冊
    連鎖関係やネットワーク関係をデータを基に書いている。恋愛関係の包囲網を分析してるのは面白い

  • ネットワークの規模が飛躍的に拡大しても、局所的凝集性は保たれている
    欲しがる人にモノは集まる
    入りを制する、自分に入ってくる関係が重要
    自分が働きかけ作り上げた外向きの関係を、いかに自分向きの関係へ方向転換させられるか

  • 外部との関係性から個人や事実を浮かび上がらせるネットワーク分析。本書はこの分野に身をささげた研究者により著された。難しい内容ではあるが、巧みな文章で一気に読ませる。

  • 軍事のネットワーク分析は関係を探ることから始まる。
    テロリストネットワークの研究は米国国防の観点から強力に推進されている。
    人間を理解するには、その人の持っている関係を理解することが重要。組織や社会を理解するためには、その中で人がどのようにつながっているのかを理解する必要がある。

  • 「カレシの元カノの元カレを知っていますか?」このセリフに見覚えのある人は多いと思う。エイズ検査に使われていたフレーズである。ネットワークサイエンスというと、ピンとこない人も多いだろうが、つまりモノやヒトの連鎖の科学であり、上記のフレーズはヒトの連鎖を端的に表している。本書ではあるSNSを例にあげてヒトの連鎖についての研究結果を述べているが、データを解析により、ヒトの連鎖がどうなっているか、その紐帯の強さ・方向性は一目瞭然である。自分の人間関係は自分だけが知っているわけではない。連鎖の先にいるヒトも知りうる可能性があることを理解したうえで、行動することが必要であろう。
    また、著者は最後に人の実生活での行動における感染症のアウトブレイクについて触れているが、こちらは感染症にかんする医学的・微生物学的知見とあわせて考えると、効果的なアウトブレイク防止が見えてくると私自身は考えている。

  • ネットワーク理論を具体例を交えながら網羅的にまとめているが、初心者には少し難しいかも。

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