予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書 495)
- 光文社 (2010年12月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334035983
作品紹介・あらすじ
なぜ、ワクチンは嫌われるのか。開発と副作用による事故をめぐる歴史も振り返りつつ、今の日本の医療政策、メディア、そして医療の受け手側の問題点などを一つ一つ明らかにしていく。新型インフルエンザ、多剤耐性菌問題、ホメオパシー、ゼロリスクなど、最新のトピックも分析しながら、ワクチン問題の「好き嫌い」と「正邪」の部分を切り離し、読者を新たな視点に導く、新しいワクチン論。
感想・レビュー・書評
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予防接種に限らず、医療行為においては「とりあえず試してみる」にしてもテールリスクがついてまわる。
好き嫌いを排除せよ、というのではなく、好き嫌いは「ある」でもそれはそれとして括弧にいれる。
本書ではワクチンのプラスの面を全て無視したワクチン不要説や無闇なワクチン礼賛、どちらも否定しているし、評価の固定化を避けるよう勧告している。臨床医の経験に基づく貴重な書。(語りかける相手が医療者になったり患者になったりするのはわざとです、多分)
http://apital.asahi.com/article/takayama/2013112500025.html
上記の高山先生も併読書としてすすめていますが、http://goo.gl/Pb1m0gを読むなら先に読んどいた方が良いかもしれません。順序が逆だとちょっと苦しい。。。(歴史的に無意味とは思いませんし、あ、そう言う考えのお医者さんもいるのねーというくらいのとらえ方は有りだと思います。)
ワクチンの「好き嫌い」が適・不適の評価の先に立つのは構造的には、「フッ素(歯磨剤への添加や水道水への添加が時に混同して語られる)」や「原発」の話題とも似ている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作為過誤と不作為過誤のジレンマ.
予防接種の効果と副作用のバランス.
ゼロリスク希求症候群はヒステリックな議論になってしまうのである.
「好悪と正邪のすり替え」には注意しないといけない.
リスクとベネフィットをリアルにクールに議論し無くてはならない. -
「反対!」という人は激しく反対しがちな予防接種だが、本当のところは「効く」のか「効かない」のか。現場の医師の立場から平たくわかりやすく予防接種について解説する1冊。
予防接種に限らないが、議論以前に「賛成」「反対」の結論がまずありきで、理由は後付けのように感じることがある。信念を持ってそう思う人はまぁよいけれど、自分が決めかねている立場であるときに、ニュートラル/フェアな意見をどうやって手に入れればよいのか戸惑うことが往々にしてある。
そういう意味では、本書は比較的フェアな立場で、予防接種行政の歴史も簡単に追いながら、今、予防接種はどういうことになっているのか、そして「自分」はどう判断すればよいのかを考える材料を提供していると思う。
予防接種って、このくらいの集団にこういう予防接種をすると、統計的にこれくらいの効果があるといった大局の議論よりも、「このロットで副作用が出た! 中止だ!」みたいな場当たり的な対応が多いように感じる。そうこうしているうちに本質が見えなくなっていて、わかりにくい。
著者の語り口は、くだけていてわかりやすく、ときどき鬱屈したものも感じるけれど、全体として読みやすく、素人フレンドリー(なんじゃそりゃ)だと思う。
*戦後間もない頃の京都と島根のジフテリア禍、「インフルエンザワクチンは効かない」ことの根拠とされた前橋レポートについては、知らなかったので勉強になった。ワクチン行政の一端を垣間見た感じ。 -
要するにワクチンとはシートベルトのようなものです。シートベルトをしたからといって交通事故に遭わないとか、交通事故で死なないことを保証するものではありません。シートベルトをちゃんとしていても交通事故で亡くなる不幸な人はいるでしょう。しかし、そのような例でもって「シートベルトなんていらないよ」と断じてはいけないのです。
今の世の中に1番必要な文章はここだろうな。
予防接種の歴史が一気に学べます。
その時代によってリスクの比較や医療態勢・環境、知見は変わるので、常に今を考えていかなければ。
過去を知らないと同じ過ちを繰り返しても気づけないし、何がどう整備されていったかを理解することで今の態勢の理解が進む。
そして、今の目から見た後付けの批判をするつもりはまったくありませんという姿勢もまた見習わなければならない。
当時の環境をいかに慮れるかは必要な視点であり、正誤はまた別の話。
世の常識はひっくり返ることは知っていたけど、野口英世ってほとんど誤りだっただと判明してたのは知らなかったw
12年前の本だったのか、変わらないなぁ
言葉や説の前に事象があることを理解してればそりゃそうな話なんだけど、この点は今もなお平行線が続いていると感じる
発症予防にあまり寄与しないBCGはずっと打っていて、効果が確認されてるワクチンが任意接種や承認されてないのすごいな
自分が何のワクチン打ったかがよくわからないんだよな
インフルエンザウイルスとインフルエンザ菌があるんだ、おもろ
勘違いがそのまま名前になることはあると思うけど、わかったなら改名してほしいところだ
私は多くの注目される事案は「まれな事象」だということに気づいてから生きやすくなりました。
それによって世の中は0.100じゃないとわかったから。
本当にワクチンに問題があるときは、京都島根ジフテリア事件のように続々と症例が目に見えて現れることだろう。
禁忌者という言い方がたぶん突然出てきて?となりました。投薬や接種できない人という意味なんですね。
ワンフォーオールオールフォーワンってラグビーの世界にもあるんだ、三銃士が1番に浮かぶ言葉だったので(次点ヒロアカw
自分のためとみんなのためは繋がっていると思います
トンデモ本の内容が想像よりすごくてビックリした
どんなに書物やら雑誌やらで大々的に喧伝されても、それと同じくらいめちゃくちゃな諸説も溢れていて、それっぽく書かれてるものもあるから、正しく検証された事実を基にした話を、専門家でもない自分が拾っていくのは大変だと感じます。医療従事者、省庁や政治家だって変なこと言う時もあるのに。
そんな中で、帰納法で考えているのが明らかな方が、判断するためのカードをこうやってわかりやすくまとめてくださるのは本当にありがたいことです。 -
著者が講師をされた研修を聴き、その中で紹介されたので読んでみる
ワクチンの歴史、予防接種に関する法制度の歴史、過去のワクチン禍の経緯の評価、ワクチンの有効性についての考え方などがとても分かりやすい
責任者探しに意味がないこと、失敗を認めて検証したうえで改善策を講じることの大切さ、日本の行政の問題点などの考え方が直前に読んだ「失敗の科学」の考え方と共通していて、改めて科学的に考えることをやめることの危険を思う -
自分以外のためにもワクチン接種を
はじめに
1章 ワクチンをめぐる、日本のお寒い現状
2章 ワクチンとは「あいまいな事象」である
3章 感染症とワクチンの日本史…戦後の突貫工事
4章 京都と島根のジフテリア事件…ワクチン禍を振り返る
5章 アメリカにおける「アメリカ的でない」予防接種制度に学ぶ
6章 1976年の豚インフルエンザ…アメリカの手痛い失敗
7章 ポリオ生ワクチン緊急輸入という英断…日本の成功例
8章 「副作用」とは何なのか?
9章 「インフルエンザワクチン」は効かないのか?…前橋レポートを再読する
10章 ワクチン嫌いにつける薬
あとがき -
岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00445433
「本当に効くのか?」「副作用は?」「自閉症やぜんそくになるのでは」「自然にかかるほうがいいに決まっている」……。予防接種が感染症による死者や後遺症を減らしてきたという功績は、歴史的に明らかなようでいて、未だにワクチンに対する懐疑的な意見はあとをたたない。また、世界的に医療の優れている国・日本だが、こと予防接種となると、なぜか先進国の中でも遅れた状態にある。なぜ、ワクチンは嫌われるのか。開発と副作用による事故をめぐる歴史も振り返りつつ、今の日本の医療政策、メディア、そして医療の受け手側の問題点などを、一つ一つ明らかにしていく。新型インフルエンザ、多剤耐性菌問題、ホメオパシー、ゼロリスクなど、最新のトピックも分析しながら、ワクチン問題の「好き嫌い」と「正邪」の部分を切り離し、読者を新たな視点に導く、新しいワクチン論。
(出版社HPより) -
予防接種の考え方が、わかる本です。
著者の気持ちが伝わります -
読了