落語評論はなぜ役に立たないのか (光文社新書)

著者 : 広瀬和生
  • 光文社 (2011年3月17日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036157

作品紹介

「昭和の名人」の時代から現在の"落語ブーム"までの歴史を追い、落語の本質と評論の役割を考察する。特別付録「落語家」「この一席」私的ランキング2010。

落語評論はなぜ役に立たないのか (光文社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 広瀬和生さんの落語評論批判である。162ページを引用する。

    2010年、僕は週刊誌の取材で小三治にインタビューする機会を得たが、その際、話題が落語評論に及ぶと、彼はこう断じた。
    「みんな評論のための評論であって、正論ではない。評論家として認められるための文章を書くから、えてしてヤケクソのことを書いて、注目されようとする。それは評論家じゃなくて、芸人です。評論家で、ちゃんとしたことを言える人は誰もいない」
    中略
    評論のための評論。認められるための文章。そういったものは、読者のために書かれているのではなく、評論家自身のために書かれている。そんなものが正論であるはずが無い。
     落語の評論は、落語を愛するがゆえに、やむにやまれぬ情熱をもって、「落語のために」書かれるものでなくてはいけない。

    「愛するがゆえに、やむにやまれぬ情熱をもって」の一言にとても共感する。あと、広瀬さんは「自分の言葉」をもっている落語家を高く評価する。これは医師についても同じである。「他人の言葉」を自分の言葉と勘違いしていることは、とても多いのである。

    既存の落語評論への小気味よい批判はよく込められていたが、では、本来の落語評論はなにかというと、談志の言葉に仮託しておしまい、、、というのがちょっと「うーん」であった。談志の言葉に出来ないところをどこまで言葉にするかが、「評論家」の大事な努めという気もする。もちろん、目の前の山があまりにも高いので、それは巨大な難事であろうが。

  • 「BURRN!」編集長として音楽評論の世界に携わってきた著者が、落語評論家としてのみずからのアティチュードをまとめた一冊。

    ここで著者は、落語の本質を「同時代の観客の前で演者が語る芸能」としたうえで、評論家とは「ツウの客」「最も良い客」であろうとすることで「演者」と「客」の中間に位置する「媒介」として、客の側に語りかける者、いわば「水先案内人」のうような存在であるとする。それゆえ入門者に対しては、歴史でもあらすじでもなく、まず同時代の「誰を聴けばいいか」という情報を提供することこそが評論家の役割ということになる。そしてこうした立場から生まれたのが、著者の『この落語家を聴け!』(2008年、集英社文庫)である。ここでも、最後に特別付録として「『落語家』『この一席』私的ランキング2010」が収められており、本編と付録とで一応は(というのは、本人がこれは「落語ファンとしての2010年の総括であって「決して『お薦めの落語家』のガイドではない」とわざわざ断っているので)「理論と実践」のような構成がとられている。

    「なぜ知っている噺を何度聞いても面白いのか?」「『ネタバレ』で問題無し」「マクラの意味」など、落語初級者にとって興味をそそられる内容もすくなくない。

  • 伝統を現代に。
    この本で、昭和の名人からの呪縛は解き放たれた。

  • 業界ではタブーらしい「立川流」を賞賛している本。

    すべてにおいて意見が合うわけではなかったが、
    落語を勧めるときに「まず寄席に行け」ではなく、
    落語家を選ぶというのは納得。
    自分が落語を聞き始めたておもしろさが少しわかってきたときに感じたことを書いてくれていて心地よかった。

    今までの落語評論本とは少し違う切り口で書かれている(今までのを批判的に)。
    本全体では内容が少し重なっていたりしていて、もう少し整理して書けばもう少しおもしろくわかりやすいかも。
    伝えたいことはよくわかったけど。

  • これまで異端とされてきた立川流の話が中心。
    素人としては、上方落語などについても知りたかった。
    筆者の評論家としてのスタンスは、
    非常にはっきりしていて分かりやすい。

  • 立川流を聴かない落語評論家がなぜダメか、という点が中心ではあるが……落語評論家の使命とは何かという点については共感。広瀬さんのおかげで素敵な落語家をたくさん知った自分としては。

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