公務員試験のカラクリ (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036355

作品紹介・あらすじ

試験の難しさと独特のクセから特別な対策が必要で、一般企業の「シューカツ」とは決して両立しえないマニアックな公務員試験の世界。トップ私大の学生が落ち、偏差値五〇以下の大学の学生が合格することもざらにある"水もの"。そんな特異な公務員試験ワールドを、受験生、大学、教育産業、役所、それぞれの思惑含みの視点から解説する。また、長年受験指導にあたってきた著者ならではの試験・面接突破のためのコツ・裏ワザも紹介。一方、ダメ役人製造機の側面もある現状の試験制度の問題点を挙げ、その改善策を提案する。

感想・レビュー・書評

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  • 公務員が楽な仕事ではないことがよくわかった。

  • 面白かった。民間の就活に比べ独特である公務員試験について、何故そうなったのか理由から考えてみようという本。筆者は公務員試験の受験指導を行っているだけあって、試験や面接の説明は的確だし、批判で終わらせることもない。

    以下、同意した部分を引用する。

    P36
     そもそも公務員の仕事のなかには「ときにはやりがいがないかもしれないけれど、どこかで誰かが、まじめにやらないといけない仕事」が相当含まれている。そして、辞令一本で、やれと言われた仕事にはNOは言えず、淡々とこなすしかない。
     実際、幅広い異動をどう思うかについて現役公務員の声を拾ってみると、自分の希望は通らないし専門性も身につかないため、何でも屋、便利屋になってしまっているという否定的な声が強い。これでは、よほど柔軟性があり好奇心の強い人でない限り、国民生活に役立っているという実感を含めて、公務員の仕事そのものに魅力を感じろといわれても簡単ではないだろう。



    「地元優先」と「能力優先」という二つの考え方が面白い。極端な話、地元愛溢れるバカを採るのか、縁もゆかりもない優秀な人を採るのか、ということ。働く人なんだから、どう見ても後者を採るべきだと思うけど。

    資格スクールの講師も悩むことはないと思う。講師の仕事は、希望者を公務員試験に受かるよう指導すること。付け焼き刃の非コミュが受かったら、見抜けなかった国・自治体のせい。大学だってお稽古だって「あなたには向いていないからやめなさい」ということはないだろう。国民・市民のために働く公僕だと考えると優秀な人の方がいいけど。うーん、納税者の一人として苦悩するってこと?受験生本人のためならいいけれど、自身のためなら、社会人として筋が違うんじゃないかなぁ。

    公務員試験が広範囲に勉強させる理由が分かった。常に法律・条例に則った仕事をするものだから、法律的な知識はまず欲しい。仕事内容も、一点集中ではなく限られた時間・予算の中でこなしていくという感じだから、効率の良さも必要だ。そして何より、尖った人材を欲していないのが民間と違うのかも。上記引用にあるように、主な公務員の仕事って決められたことを決められた通りにこなすことだと思うの。内閣なり議会なりが法律・条例を定め、具体的な作業は手足となる公務員が動く(と思うんだけど)。

    民間の就活と公務員試験の断絶は大いに感じる。優秀な学生がやる気と期待をもって働ける職場にして欲しい。国の中枢を支える仕事を避けられる、魅力がないと思われたら、その国は終わりだと思う。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/745235

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/745235

  • カラクリといったタイトルに期待したが、目新しい情報はあまりなかった。しかし、広く概要を知ることはできた。また、ダブルスクールと官庁訪問の辺りの記述は興味深かった。この本で元外交官の文筆家、佐藤優さんを知ったので、読んでみようと思う。

  • 公務員試験を終えた身で読んでみた。

    正直言って、新しい発見はほとんどなかった。
    ただ、真面目に公務員の在り方を考えている著者だと思った。
    要約すると、公務員試験は様々な要因によりガラパゴス化しており、それにより本来公務員になるべき人員がそもそも試験を受けなかったり、あるいは「余得」を求めて公務員になって社会からの信頼を得られない人材がいたりする点で問題があるから、そこを改善していく必要があるといった内容。
    実際、私が働いていて思うのは、上の世代の方たちは私たちの世代に比して少しだけ社会性に難がある人が多いかもしれないということ。徐々に変革していきたい。

  • 年齢的にもう無理だが試験の辛さが少し分かった。

  • 公務員には、安定している立場でないとできない仕事をするしめいがあるから、安定が約束されている。
    公務員は移動が多い。特に地方公務員ならば、この間まで税金の徴収をしていた人が、地元の商店街の振興を図る仕事を担当するようになるとか。すると、全く新しい仕事を一から覚え直してやらないといけなくなるわけだ。そんなとき、単なる事務処理能力のほかに、多少の好き嫌いはあっても、どんな仕事も割り切ってこなせる懐の広さがないと困るのである。

  • 勉強法を学んだ。

  • 公務員試験という癖がある試験について受験指導を行い試験時評論家の立場から世間一般の人間が持つイメージ分析、裏の話等、一般的に発売されている公務員の本とはまた違う目線で書かれており公務員試験受験を考えている自分としてはすごく良本だと思った。

  • 公務員試験が民間の就職試験と比してどのように違うか。
    適切な人材確保にはどうしたらよいか。

    といった事が語られている。
    カラクリという言葉から期待されるような、一般的には知られ得ない衝撃の事実!なんてものはもちろんない。

    学生でももうちょっとマトモなの書けるだろ。
    浅い知識・経験八割と勝手な推論二割で書かれたペラペラな一冊。
    案の定でした。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:317.4//O27

  • 安定だけ求めて公務員になるのは大きな間違い。国民生活を支える覚悟と何でもある程度はこなせる根性が必要

  • この本で、海老原嗣生氏と『エンゼルバンク』というマンガの存在を知ったが、全体として得るものは少ない。

  • 公務員試験を受けた人にとっては、”試験のカラクリ”には興味ないかなぁという気がします。むしろ、就活を控えている子を持つ親に読んでほしいです。
    著者が元資格スクールで勤めていただけあって、その辺の事情は詳しく、おもしろかったです。特に、資格スクールと大学の関係の件とかね。

  • ちょこちょこ論理性に欠けてる箇所見られたが、公務員試験の概要を知ることができるので、これから目指す人は一読の価値ありです。

  • 大原瞠"公務員試験のカラクリ"を読む。

    公務員試験予備校講師が0311後の公務員像を念頭に現行制度の問題点を語ったもの。半分は予備校の内情についての言及ですが、残りの半分で公務員試験のあり方や理想像が語られています。

    ◯公務員になればキャリアだろうとノンキャリアだろうと日々、折衝のオンパレードではないか。言っては悪いが、採用時の圧迫面接ごときに耐えられない人は、おそらく役所に入ってからちょっとしたことで簡単にポキッと心が折れてしまうのではないだろうか。その意味で、圧迫面接をせずに人を選ぼうとするその役所は、愚かしいことこの上ないと思ってしまうのだが。

    ◯事務処理能力が低い人というのは、一言でいうと「言われたことができない」「動作が遅い」といった特徴を持っているので、職場に投入されると周囲も扱いに困る。だから程度の差はあっても、やはり税金泥棒との評価から逃れることは難しい。

  • 購入日:20110924

  • 新刊案内で目にしたのでついつい購入。受験生、大学、資格スクール、役所などの視点からわかりやすく解説している。なぜあれだけ出題範囲が広いのか、なぜ公務員という仕事には多くの余得がついてくるのか、などといった疑問に明快に答えている。

  • 公務員試験というテーマの本は初めてです。
    確かに、民間への就活とは全く異なる公務員試験の問題は様々。現状では倍率は高いものの、本当に優秀な人材を採用していくための課題は山積です。

    特に、専門学校で公務員試験専門で勉強をしている人とそれ以外の差はますます拡大しそう。

    現在の試験の形態になった背景にはいろいろあるでしょうが、著書の中で紹介されたいくつかの方法は参考になるといえます。

    センター試験化なんかは実現したらおもしろいでしょうね。

    ペーパーテストの内容の見直しや面接のあり方も様々な面から検討していく必要もあります。

    適応力と向上心ある人材を確保する方法を常に模索していきたいです。


    ・公務員になるべきでないタイプ
     性格上、公務員と言う職業(官公庁という職場の風土)との相性がよくないために、就職してもあまり幸せになれそうにない人(早期退職の恐れが高い人)
     前例踏襲や文書・形式主義、根回し主義等の役所仕事の特性に漠然と合わない(対処できても好かない)タイプ

    ・現在のかたちで公務員試験が行われている理由
     ①公務員としてふさわしい能力と適性を持った優秀な人を選ぶため
     ②公平に選ぶため(情実人事の阻止を含む)
     ③問題を作りやすいから
     ④以前からこれでいいと思ってやってきたし、特に問題もない(前例踏襲)

    ・採用に関する法律上の規定
     国家公務員法第45条、地方公務員法第20条

    ・公務員にふさわしい能力と適性
     一般的には、物事を迅速かつ適切に判断し対応する事務処理能力のこと
     パズル的問題や読解問題などを時間内にてきぱきと解ける人は、公務員として仕事をするのに必要な能力と適性があるということ
     苦手なものを含む幅広い分野をカバーすることも必要→異動が多いため、単なる事務処理能力のほかに、多少の好き嫌いがあっても、割り切ってこなせる懐の広さが必要(適応力・好奇心)→どんな分野の勉強でもそつなくこなせる守備範囲の広さ
     長くない勉強期間で膨大な出題範囲をうまくさばき乗り切るかという側面から、仕事上の取捨選択能力について、素質を判定するという意味も込められる→行政の仕事に従事すれば、時間・財源・施設・人員が足りない状況で、多様なニーズに対応する場面が多い
     幅広い分野全体に一度目を配り、出題傾向を読み取って効率的に勉強する必要

    ・コンピテンシー面接
     受験者1人ひとりに、職員として求められるコンピテンシーがあるかどうかをやりとりのなかで確認する面接手法
     過去に経験してきたさまざまな場面のなかの1つを題材に、そのときにどう考え、どう行動したかを聞き出すことで行動特性を把握する

    ・ペーパーテスト軽視・無視による問題点
     人物が良ければ、ペーパーテストのできが不十分で、基礎的な事務処理能力に不安がある人物でも採用すべきかという問題
     事務処理能力の低い人=「いわれたことができない」「動作が遅い」
     人柄が取り柄というタイプも住民対応の部署などの配置もあるが、様々な部署に堪えうる汎用性に乏しい
     人物評価は客観性が低く、相性や評価者の度量によって一変するため、危険

    ・ペーパーテストの内容を少しだけ(全体の5%)地元有利にしたらどうか

    ・公務員試験が抱える問題
     ①大学生・既卒者の民間就活との両立や、社会人からの転職を阻む独自性(ガラパゴス化)
     ②大学の学業や留学への影響(公務員試験の勉強のせいで身が入らない)
     ③民間企業と比較したときの受験機会の少なさ、浪人のおそれによる精神的負担の大きさ


    <この本から得られた気づきとアクション>
    ・センター試験化は、一朝一夕にはいかないでしょう。そう考えれば、今のペーパーテストに加え、少しオリジナルの問題を加えることは可能ではないか。
    ・また、面接ももう少し受験者のことを知るための工夫は必要。国家公務員の官庁訪問のやり方は極端にしても、それに近いこともありではないか。
    ・ペーパーテストにも意義があるので、一概に悪とはいえない。が、程度の問題はあるだろう。

    <目次>
    公務員はなぜ安定しているのか----まえがきに代えて
    【第1部】不況ニッポンのガラパゴス就活(公務員受験)事情
    第1章 大学生たちの苦悩
    第2章 「公務員の魅力」という幻想、志望動機の罠
    第3章 社会人受験生の苦悩
    【第2部】公務員試験の周囲にうごめく教育業界
    第4章 公務員試験にぶら下がる大学・資格スクール業界
    第5章 そもそも資格スクールは必要なのか?
    【第3部】ガラパゴスの生みの親----採用者側の論理
    第6章 公務員試験の謎
    第7章 役所は面接で何をみているのか?
    第8章 公務員人気の真偽如何? 公務員試験の将来

  • 公務員試験評論家による公務員試験の書。
    今の中学生や高校生に人気の職種と言えば、公務員である。これは周りの大人の影響なのだろうか。公務員の何が良いのか、どうやったらなれるのかを知っておこうと読んでみた本。個人的な意見が多いのだが、話が具体的で非常に分かりやすく読みやすかった。
    公務員を目指す大学生の中には公務員になる覚悟や、なってからやりたいこと、志がない者も多いとのこと。公に務めるというはどういうことなのかを教えるところが無いと。なぜ大学生が安易に公務員を目指してしまうのかというと、公務員が安定しているというイメージと大学の戦略があるとのこと。今時、大学も生徒募集に必死である。そのアピールとして有効なのが就職先のアピール。中でも公務員の合格実績というのは重宝するようで、各大学がこぞって公務員試験対策を実施しているという。確かに公務員であれば、人生も安泰で親も安心というところだろうか。
    公務員受験者は国家公務員から始まって、地方へ。それも地縁のない役所にも試験を受けにいくという。何がしたいのか。。。とにかく公務員になりたいだけの人が大勢いるのが実情らしい。
    いわゆるコネ合格などにも言及し、さらに公務員試験改革も提言している。非常に中身のある内容だった。

  •  今年100冊目だわ。
     大卒一般枠の受験年齢の上限には自治体によって意外と幅があるものだ。
     大阪府の脱ガラパゴス化は興味深いが取り組んでいる人たちは相当大変だろう。改革案にある「センター試験化」は妙案だと思う。
    ■「アカハラ」
    ■コンピテンシー面接
    ■大学生・既卒者の民間就職活動との両立
    ■社会人からの転職を阻む独自性
    ■学業や留学への影響
    ■企業と比較したときの受験機会の少なさ
    ■noblesse oblige

  • 読みやすいです。
    公務員とはどんなものか?
    どんな試験があるのか?
    何が求められるか?

    はたまた、
    専門学校とはどんなところか?
    どんな思いで試験を見ているのか?
    と言った点もまとめられていて純粋に読み物としても面白いです。

    公務員考えてみようかなと思ってる人は読んでみたらいいんでないかな。
    1日あれば読めますし。

  • 3/11の震災後に刊行された当書。公務員とはどのようなものか。公務員試験とは何か。資格スクールビジネスとは何か等々をわかりやすく丁寧に解説している。公務員を目指す方はもちろんのこと、公務員を取り巻く現況について少しでも興味を持っているという方は手に取ってはいかがだろうか。

  • 2時間くらいで読破。読みやすい。

    世の中の人には意外と知られていないんじゃないかなっていう公務員試験の事情について詳しく書かれています。

  • まぁ自分が受けたことのあるものなので、試験そのものについては新たな発見はなかった。
    ただ、ダブスクの内情とか、興味深い内容は決行あった。
    まぁ自分が受けたことがあるからこその興味深さであって、実際あんま普通の人には興味ないのかもしれない。

  • 二時間でざっと斜め読みした。志望者にとって、民間との併願はすべきとの主張は新鮮。ただ、これは勉強を相当程度進めている状態でないとしんどいとは思う。

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