世界最高のピアニスト (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 85
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036393

感想・レビュー・書評

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  • 「ピアノ嫌いのためのピアノの楽しみ方」という視点で書かれた、とにもかくにも刺激的なピアノ音楽の指南書。

    ところで、ピアノという楽器は古くから人気の習い事である。なので、ここ日本にはピアノ学習経験者が山ほどいて、ピアノ曲愛好家の多くはじつはそうした人たちだったりする。けれども、伊達にピアノを知っているがために、ときにはそこでいわれる「感動」がじつは「感心」とイコールだったりもする。つまり、(自分が弾けないような)難解なパッセージを超絶技巧によってさらりと弾いてしまうとそれだけでひどく感動(じつは、それは「感心」なのだが)してしまうということである。なので、ピアノ好きのひとのおススメや解説書の多くは、そうした「技巧」という視点から評価され、紹介されることがとても多い。でも、ぼくのようにピアノを「知らない」人間にとっては、そうしたオススメや解説は「だからなに?」ってことも少なくないのである。

    この本がピアノ曲を楽しむための指南書として画期的なのは、そうしたいわば「感心」と「感動」とをきっちり切り離した上で評価しようという意図が根底にあるところだろう。なので、シューマンやリスト,ラフマニノフといったピアノ学習者ウケのする作曲家の名前も、ここにはまったく登場しない。

    そして、そうした「ルール」(?)をのみこんでさえいれば、ここで書かれている内容はけっして挑発でも過激でもなく、至極真っ当な意見と感じるはずである(もちろん、取り上げられたピアニストや演奏すべてに共感できるかどうかはまた別の話だが)。

    個人的には、筆者のケンプに対する評価のツボは心からの共感をもって読んだ。

  • 面白い視点の評論ではあるが、穿った見方をしすぎて人気のあるピアニストでもかなり辛口に書かれているので、賛否が分かれるところだろう。著者の好みは、一般的な聴衆のそれとは少し離れているように感じた。ある意味「異端」とされる音楽に魅了された著者には、正統派の音楽は味気なく感じるのかもしれない。
    正統派ではなく、一風変わったピアニストを知りたいという読者にはおすすめである。文体も読みやすく、クラシック初心者でも、技術的にわからない箇所などはないだろう。

  • 著者お気に入りのピアニストと、推薦録音を紹介する本です。著者は多作で有名なクラシック音楽評論家。わたしはピアノが好きなので、なんとなく買ってみた本でした。

    ピアニストごとに章が分かれていて、その概要や聴きどころを教えてくれるという内容。終章では、多くの有名なピアニストについて短いコメントがついています。ピアノ演奏を聴く上で、リスナーとして必要な心構えとか、おもしろさを見出すシンプルなヒントがたくさん載っています。そして紹介されている音源を実際に聴きながら読めば、すぐに納得できるような分かりやすさです。

    ただし、音楽評論はそういうものといえばそういうものですが、とにかく主観一辺倒で、「俺はこう思う!」という話に終始します。"ピアノ演奏についての評論を読むと、奏法がどうだとか、使っている楽譜がどうだこうだとか、ここでペダルを踏んでどうこうとか、書いてある。そういうことには一切触れるつもりはない"(P.9)とある通り、実際に聴こえてくる音に論点を絞っています。

    そうはいっても、奏法とか楽譜、テクニックに関する話も別につまらない話ではないとも思いますし、ある程度の客観性を担保するという意味でも有効だと思います。文章は主観的のみならず、全体的にいささか過激な表現が目立ち、評価の分かりやすさを求める向きには良いのかもしれませんが、こういうスタイルはわたしはあまり感心しないです。わたしはどうも読者としてお呼びでなかった感があります。

    (2014/3/24)

  • 「聞いてみたい」「聞いてみようか」と思わせる記述がたくさんあって参考になる。ピアニストの選択も著者の評価に基づくもの。

  • 世界が絶賛しているから、とかは一切関係なく、著者独自の目線で解説しているところがいい。勉強不足で知らないピアニストが多かったのですが、ぜひとも聴いてみたくなりました。演奏家の出自や軌跡に詳しく、とても興味深く読ませてもらいました。クラシックの洪水に浸りたくなりました。

  • このタイプの本は久しぶり  で、読んでみて、買って聴いてみたいと思ったCD

    ポリーニのバッハ平均律クラヴィール曲集

    ピリスのショパンノクターン

  • うん。参考になる。

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著者プロフィール

1965年、東京都生まれ。慶應義塾大学教授。著書に『クラシックがしみる!』『問答無用のクラシック』『コンヴィチュニー、オペラを超えるオペラ』『オレのクラシック』『クラシック批評という運命』(いずれも青弓社)、『クラシック魔の遊戯あるいは標題音楽の現象学』(講談社)、『世界最高のピアニスト』『生きていくためのクラシック』(ともに光文社)、『痛快!クラシックの新常識』(リットーミュージック)、『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』(ポプラ社)、編著に『クラシック知性主義』『絶対!クラシックのキモ』(ともに青弓社)、共編著に『クラシック・スナイパー』シリーズ、『クラシック反入門』(ともに青弓社)、共著に『クラシックCD名盤バトル』(洋泉社)など。

「2016年 『クラシックの秘宝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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