世界最高のピアニスト (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
3.31
  • (1)
  • (15)
  • (18)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 118
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036393

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 面白い視点の評論ではあるが、穿った見方をしすぎて人気のあるピアニストでもかなり辛口に書かれているので、賛否が分かれるところだろう。著者の好みは、一般的な聴衆のそれとは少し離れているように感じた。ある意味「異端」とされる音楽に魅了された著者には、正統派の音楽は味気なく感じるのかもしれない。
    正統派ではなく、一風変わったピアニストを知りたいという読者にはおすすめである。文体も読みやすく、クラシック初心者でも、技術的にわからない箇所などはないだろう。

  • 「ピアノ嫌いのためのピアノの楽しみ方」という視点で書かれた、とにもかくにも刺激的なピアノ音楽の指南書。

    ところで、ピアノという楽器は古くから人気の習い事である。なので、ここ日本にはピアノ学習経験者が山ほどいて、ピアノ曲愛好家の多くはじつはそうした人たちだったりする。けれども、伊達にピアノを知っているがために、ときにはそこでいわれる「感動」がじつは「感心」とイコールだったりもする。つまり、(自分が弾けないような)難解なパッセージを超絶技巧によってさらりと弾いてしまうとそれだけでひどく感動(じつは、それは「感心」なのだが)してしまうということである。なので、ピアノ好きのひとのおススメや解説書の多くは、そうした「技巧」という視点から評価され、紹介されることがとても多い。でも、ぼくのようにピアノを「知らない」人間にとっては、そうしたオススメや解説は「だからなに?」ってことも少なくないのである。

    この本がピアノ曲を楽しむための指南書として画期的なのは、そうしたいわば「感心」と「感動」とをきっちり切り離した上で評価しようという意図が根底にあるところだろう。なので、シューマンやリスト,ラフマニノフといったピアノ学習者ウケのする作曲家の名前も、ここにはまったく登場しない。

    そして、そうした「ルール」(?)をのみこんでさえいれば、ここで書かれている内容はけっして挑発でも過激でもなく、至極真っ当な意見と感じるはずである(もちろん、取り上げられたピアニストや演奏すべてに共感できるかどうかはまた別の話だが)。

    個人的には、筆者のケンプに対する評価のツボは心からの共感をもって読んだ。

  • 個人的には新たに気づかされる様な点はなかったにせよ、なかなか面白く読むことができた。

    文章はこの著者らしく、さらさらと読み進めることができる。その反面、考えさせられる様な鋭い指摘や、深みがあるわけではない。

    かつて、この著者の初期の共著作などを読んだときは、なんとも気をてらった様な物言いや、軽い文体が好みに合わず、一時期避けていたが、その後の著作は、一般向けにシフトしてきた感がある。

    紹介されているCDは、ピリスの「ショパン:夜想曲全集」やツィメルマンの「ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番」など、世間的評価が高いメジャーな名盤が多くを占めていた。

    この本は取り上げられているピアニストからすると、全くのクラシック音楽ビギナーにはおすすめできない。一通り名盤は聴いたことがあり、ピアニストについてのちょっとした説明と名盤ガイドが読みたいという人には、気軽に読めるという点でおすすめできる。

  • 蜂蜜と遠雷、を読んでピアノにちょっと興味が出たので
    勧められたこの本を流し読み。
    まだピアノ初心者なのでこの著者が書いているような
    個々人のピアニストの個性も掴めないけど、
    結構辛辣に書いてあるところは面白かった。
    マルタ・アルゲリッチは私も好きでよく聴いているので
    そこだけ集中的に読んだ。

  • 「聞いてみたい」「聞いてみようか」と思わせる記述がたくさんあって参考になる。ピアニストの選択も著者の評価に基づくもの。

  • 世界が絶賛しているから、とかは一切関係なく、著者独自の目線で解説しているところがいい。勉強不足で知らないピアニストが多かったのですが、ぜひとも聴いてみたくなりました。演奏家の出自や軌跡に詳しく、とても興味深く読ませてもらいました。クラシックの洪水に浸りたくなりました。

  • このタイプの本は久しぶり  で、読んでみて、買って聴いてみたいと思ったCD

    ポリーニのバッハ平均律クラヴィール曲集

    ピリスのショパンノクターン

  • うん。参考になる。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1965年、東京都生まれ。慶應義塾大学教授。著書に『クラシックがしみる!』『問答無用のクラシック』『コンヴィチュニー、オペラを超えるオペラ』『オレのクラシック』『クラシック批評という運命』(いずれも青弓社)、『クラシック魔の遊戯あるいは標題音楽の現象学』(講談社)、『世界最高のピアニスト』『生きていくためのクラシック』(ともに光文社)、『痛快!クラシックの新常識』(リットーミュージック)、『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』(ポプラ社)、編著に『クラシック知性主義』『絶対!クラシックのキモ』(ともに青弓社)、共編著に『クラシック・スナイパー』シリーズ、『クラシック反入門』(ともに青弓社)、共著に『クラシックCD名盤バトル』(洋泉社)など。

「2016年 『クラシックの秘宝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

許光俊の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×