上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)

  • 光文社 (2011年10月18日発売)
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本 ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784334036478

感想・レビュー・書評

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  • 出版年は約14年前。
    東日本大震災があった年である。
    フェミニストで団塊世代の上野千鶴子さんと、
    社会学者のまだ20代の古市さん、
    親子ほどの世代の違いのお二人が対談をするという、
    珍しい取り合わせ。

    親や世の中に反発する若者だった上野さん、
    親と仲良しな依存する若者の古市さん、
    ジェネレーションギャップがありすぎ。
    だからこそ、会話がポンポン飛び交っていて楽しかった。
    親と子や上司と部下、縦の関係ではなかなか言いずらい事も、この二人のように、ななめの関係性なら、素直に心を打ち明けて話し合えそう。

    今年はいよいよ、2025年問題、団塊の世代が75歳の後期高齢者に突入した。
    介護や年金や、これからの世代を生きる若者にじっくりと考えてほしい。
    介護保険についてもとても詳しく書いてあるので、参考になる。

    上野さんの言葉で印象に残ったのは、

    「人は産まれた順番に死ぬものです。
    この子は私がいなくてもちゃんと生きていけるから、
    安心して死ねる、というのが親の幸福です。」

    気になったのは、
    「子育ての失敗」、とあるが、
    一生懸命育てたのなら、親だって未熟な人間なのだから、失敗も成功もない。
    その方法が間違っていても、気持ちが通じれば、それで成功だと思う。
    子供を育てるのは、大変な大仕事なのだから。

  • 団塊世代の上野先生と、
    そのジュニア世代よりちょっぴり若い古市さんによる
    介護不安についての対談です。

    インタビュー形式ですが読みやすく
    1時間半くらいで読み終わりました。

    私は古市さんの方と年齢的に近いので、
    抱いている介護不安は参考になるものが多かったです。

    親は親のままでいてほしい、という心理が子にはあること、
    社会になんとかしてほしい、
    解決策は誰か考えてという意識がジュニア世代には強いことがわかりました。

    これはまさに
    今まで受けてきた「答えのある教育」の負の側面かもしれません。
    当事者意識が低く、誰かが回答を準備してくれるものと思ってしまうのです。

    教育は恐ろしいものです。
    どんな教育をするかで、10年後の国の姿が変わってしまうのですから。

    そんな風に育ってしまったことは
    もはや仕方ありません。
    若者を責めても何も変わりません。

    そんな誰が悪いとか不毛な争いをするくらいなら、
    日常のちょっとした困り事に気づいて
    少し工夫をして解決する方がよっぽど良いです。

    そういう小さなことから始めていけばいい。
    それは、問題を解決する力を少しずつ身につけることにもなります。

    自分の足元を見つめてみることが
    結局は社会が変わることになる。
    そんなことを教えてくれる本でした。

  • 『海外旅行とか車が欲しいとか、欲はないのか?』
    『会社でのし上がっていこうとか思わないの?』
    今の生活に満足して、まったりとした日々を送る息子をみていて、いつも不思議に思っていました。
    若者よ、それで良いのか?!と。
    この本を読んだところによると、これからの世の中は、どうやらそれで良いらしい。。。
    何かにつけうっかりバブル世代の癖が出てしまう私や、バカの一つ覚えのように『原発再始動』『景気上昇』しか考えてない財界の偉い人達の方が
    これからの世の中の形をちゃんと理解できていないんだろうな。
    『幸せだから政治運動なんてしない』という古市君に、
    『もしそうだとしたら、そのまま文句言わずに滅びていただくしかないですよ』と答える上野先生(笑)
    お世辞も建前もない二人の本音の会話が
    本当に面白くこれからの生き方を考えるのに大いに役に立ってくれそうです。

  • 面白くて一気読み。対談形式でシリアスな内容を展開しているのだけれど、テンポのよいコントのよう。信頼しあっている様子が微笑ましい。介護、年金、社会保障、少子化。これを読んだら、他人事ではいられなくなる。歴史に学び、他国に学び、よりよい方に向かえるようにできることをしなくては。社会学って面白い。

  • 遠くない将来の当事者として、かなり真剣に集中して読んだ。
    手元に置いて、いつでも読み返したい本。
    うちの親が、まさに団塊の世代の典型的な親であり、私は子育ての失敗作。
    まったりとした生活がイイなんて、のほほんとしてる場合じゃない。
    動かなきゃ。

  • 古市さんのよくも悪くも正直すぎる文章に惹かれ、彼の著書をすべて読破しようとして購入した本だったが、まさに自分も親の老いを感じ始め直面している問題で、一気に読んでしまった。介護不安に関してのみならず、現代社会が抱える問題について、まったく異なる世代の社会学者二人が対談しており、世代によってここまで考え方が違うかと面白かった。はからずも、最後の上野先生から古市さんへの手紙は、愛が感じられ、涙がでそうに。ためになる本だった。

  • 面白かった。
    上野さんにこんな一面が。

  • ほんとうは☆5をつける内容じゃないとは思うのだけど、本全体にあるエネルギーにおされた。あとがきの手紙でなぜか泣いてしまったくらい。新書で泣かされるとはびっくり。

  • 介護不安を端緒に、当事者意識を持つことの大切さや社会改革の萌芽は自分が抱える喫緊の課題を知ることといったメッセージ。

  • 上野教授と古市氏のコラボ。遭わない人は遭わないと思う。私はこの手の方!

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著者プロフィール

東京大学名誉教授,NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長

「2024年 『挑戦するフェミニズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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