官僚を国民のために働かせる法 (光文社新書 547)

著者 :
  • 光文社
3.44
  • (19)
  • (37)
  • (38)
  • (15)
  • (5)
本棚登録 : 326
感想 : 51
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036508

作品紹介・あらすじ

霞ヶ関を離れても、訴えたかったことを、ここに語りつくす。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  FB友達の高鍋さんが読んだ感想にコメントを寄せた行きがかり上、とにかく読んでみた。

     古賀さんは、経済産業省をやめた役人OBで役人がいかに国民のために仕事をしていないかを種に本をたくさん書いている。

     自分も霞が関の役人をすべて知っているわけではないので、感想になるが、みんなでたらめだと思う。

    (1)一つは、経済産業省というのが、産業政策という国民の利益に直結していない政策目的をたてており、その必要性がまったくなくなっているという、特殊産業行政担当の役人の実態を示していること。よって、これをもって、霞が関の役人について一般化されても困るということ。

     経済産業省が音頭をとった、第五世代コンピューター、国策OS、国策検索システムとかどうなっちゃったか考えれば、産業の振興を国が旗をふる時代ではない。

    (2)公務員制度の改革については、そもそもなんで経済産業省という産業政策の官庁の役人が関与しているのか、疑問に思う。

     自分は、30年ちょっと前にスト権がなくても、職員組合が実際にストをして管理職を団体交渉でつるしあげ、そのため管理職が自殺した話を知っているが、そういう事実を古賀さんが知っているとは思えない。

     国家公務員が国民のために働くシステムをどうしたら構築できるかもっと考えるべき。

    (3)そもそも、先が見通せず、いろいろな制度のきしみがでているときに、何か、一つを悪者にしてそえをぶっこわせば解決するという思想、発想が自分は危険だと思う。

     閉塞感、即破壊になるのではなく、まず、落ち着いて、今の制度を改善していくという、地道で派手ではないが、まじめな取り組みをする態度が大事だと思う。

     破壊をはじめたら、それでもよくならなから、別のものを破壊するといって、再度には日本の安定的な社会システムがなくなってしまう。その危険性をはらんでいる。

     高鍋さんから、役人をよく書いている本はないのかと言われたが思いつかない。そんなに、戦前からシステムは変わっていないので、猪瀬直樹の『昭和16年夏の敗戦』とかいいかもしれません。

  • 2020/9/19
    大学に入ったばかりの頃、まだ将来のことなどあまり考えていない時にひとつだけ心に決めていたことは官僚・役人にだけはならないということだった。
    それはそれまでの経験から直感的に感じていたものだったと思う。
    この本を読むとその時の直感が正しかったことを再認識させられる。
    民主党政権時代の本だが、政権とは関係なく如何に官僚が自己中心的であるかを改めて思い知らされる。
    その能力を公のために注いでくれればもっと良い世の中になるであろうにと思う反面、ごく一部の良識ある人とその他大勢の片手間の業務だけでも国の運営が何とか成り立っている?のはその潜在能力の高さの証明であるともいえる。もったいないことだが…。
    その弊害を政治主導で良い方向へと提言していた頃の話ではあるが、今現在のように政治が国民の方を向いていない場合は想定していなかったのだろうか。
    「官僚の責任」のインパクトに比べると半分ボヤキ?

  • 事務次官の人事権は大臣にあるものだが、実際は官僚が決めて、大臣は承認しているだけ。現職の事務次官は、組織に従順な官僚を後任に決めたら、そのことを印象操作して大臣に伝えて幹部の人事を牛耳る。
    大臣はどうせすぐ変わるから、というので官僚は大臣の方を向かずに、事務次官の方ばかり向いて仕事している。次官に嫌われると出世の道が閉ざされる。
    課長になるまでは、みんな次官ではなく課長補佐が人事権を握っているし、若い人ほど国のために、と思って仕事をしているが。。。課長、局長になると、いつ次官からクビを言い渡されるか、天下りポストはどこになるか、とビクビクしてしまい上の顔色伺いで仕事するようになる。

    官僚の残業のよくある仕事として、国会答弁の想定問答集作りがある。その問答集は、官僚の利権を守るために、自分たちの判断が正しかったと主張できるようにするために、様々なロジックを捻り出すので徹夜仕事。
    そして、まだロクに勉強もしていないのに大臣になった与党議員は、その問答集を見ながら答えているうちにいつのまにか官僚の台本通りにシナリオを辿ってしまう。自分の考えとは全く逆だとしても、つい答えてしまう。

    天下り先を追加するのも重要な仕事。たとえば、ある問題が起きていて対策のための規則導入、プラスそれの監査機関を新たに作りましょう。それが天下り先になっている!
    表向きは綺麗な絵を描いて、その裏で自分たちの省庁の利権を守り拡大することができる人間が、「よくできる有能な官僚」と言われる。
    霞ヶ関でも若い人は優秀な人が多いが、出世してやりたいことを自由にできるようになるためには省益優先して評価されなければならないジレンマに陥って、優秀な人は、飼い慣らされていくか辞めていくか。

    役所の人事は天下りなくして成立しない。年功序列を何より大事にしているので、局長以上のポストなは空きがなく、必然的に同期の殆どが退職し天下りせざるを得ない。

    2009年に民主党に政権交代し、掲げたのは政治主導、脱官僚、天下り根絶‥だったのだが、完全に失速した。大きな理由は、公務員労組の凄まじい抵抗にあったから。公務員組合やその家族しえんしゃなど非常に大きな支持団体で、選挙にかなり影響する。
    また、民主党が政権をとったときに「霞ヶ関の幹部官僚には全員辞表を書いてもらう」と言ったが、本当にうまくやれる与党というのは、官僚を退けるのではなくうまく使いこなす政党だ。
    民主党は次官会議(翌日の閣議の議題に対する準備会議)を無くして、政務三役会議(大臣、副大臣、政務官の会議)からも官僚を完全に排除した結果、仕事を背負い込みすぎてパンクした。

  • この中にある改革案わひとつひとつでいいから、実行していって欲しい。
    公務員に労働基本権が該当しないとは知らなかったです。

  • 2011年に書かれたとあって、少し古い内容。民主党政権時代の諸々のエピソードとか。

    そして、古賀さんの「霞が関を糾弾する立場」として闘ってきた立場からすると当然といえばそうなのだが、
    世間で言われる「役人は旨い汁を吸ってるなんかとりあえず悪い奴論」を、身内目線で解説して煽っているだけの内容に感じてしまった。

    今は少しでも良い方向に変わっている、と思いたい。
    そういえば古賀さん最近あんまりテレビで見なくなった、ような。

  •  どうなっちゃうんだという気持ちになるような、でも同時に、やっぱりね、というか、全くもって想像を絶するわけでもない状況が優しい口調で語られている。提言の章で書かれている内容が具体的。確か、上杉さんも似たようなことを書いていたような。既存のメディアを過信せず、頑張っているメディアを応援する、政治家に発言していき、少額でよいので個人献金を行う、など。

  • 官僚出身の著者が綴る官僚の考え方と公務員制度改革の重要性を説いています。国家公務員にやる気を出させるための提言がわかり易く丁寧に著されていて好感が持てました。政治を知るためのいい活字媒体の選択や、国民一人ひとりができる行動なども列挙されています。良書です。

  • 暴露本ってほどでなく、古賀氏の忘備録的な本。対極的な考えの中野氏の本と平行して読んだので、程よく中和された。どちらも民主党の評価が辛辣な点は共通であった。

  • 官僚を国民のために働かせる法 / 古賀茂明 / 2012.9.16(43/122)
     官僚たちに青雲の志はないのか?ふつうの人たちの集団。
     評価は労働時間で決まる。
     自分たちは優秀だという思い込みが強いばかりに、失敗を認めようとはしない。
     記者クラブ:役所の情報の垂れ流し状態。役所に批判的な記事を描くと、役所から特ダネを教えてもらないなど、村八分される。現代ビジネス、Foresightはいい。
     官僚の公僕意識の復活が日本再生のカギ。
     望まれる人材:スペシャリストよりも、周辺情報を繋げて、オリジナリティを生みだす

  • 官僚の公僕精神を復活させるための仕組みづくり
    国家公務員の身分保障①生活がしっかりしていないと権限を使って悪事を働く②公正を貫き通して貰う

全51件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。産業再生機構執行役員、経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年、国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、急進的な改革を次々と提議。09年末に経済産業省大臣官房付とされるも、11年4月には日本ではじめて東京電力の破綻処理策を提起した。その後、退職勧奨を受け同年9月に辞職。著書・メルマガを通じ活発に提言を続けている。『官邸の暴走』(KADOKAWA)、『日本を壊した霞が関の弱い人たち』(集英社)など著書の累計発行部数は100万部を超える。自身が企画・プロデュースし、本書が原案となったドキュメンタリー映画『妖怪の孫』が2023年3月に公開され、大きな話題を呼んだ。





「2023年 『分断と凋落の日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

古賀茂明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×