東京は郊外から消えていく! 首都圏高齢化・未婚化・空き家地図 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036980

作品紹介・あらすじ

かつて団塊世代が東京圏にあふれ、郊外に大量の住宅が建てられた。それが今や、人口減少社会へと転じ、ゆくゆくは40%が空き家になるという予測も出ている。そうなれば、東京の随所にもゴーストタウンが現れるだろう。長年ローンを払い続けて手に入れたマイホームも、資産価値のない「クズ物件」となってしまう。日本の都市は、他にもさまざまな問題をはらんでいる。居場所のない中高年、結婚しない若者、単身世帯の増加…。とくに首都圏では、それらが大量に発生する。これから郊外はどうなる?住むべき街とは?不動産を最大限に活用するには?独自の意識調査などをもとに、これからの東京の都市、郊外のあり方を提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 「第四の消費」や「ファスト風土化する日本」の著者で、かつパルコに務めて消費や都市問題について長く研究して来た方の本。だけあって、マーケティング視点の入っている。これから東京近郊の都市はどこが発展していくのか、未来の都市の姿はどうなるのか。
    住宅地マネジメントという考え方は面白かった。

  • 人口減・高齢化の中で郊外中心にゴーストタウン化(空き家率上昇)を予測。この流れを阻止するには住民による住宅地全体のマネジメントが必要と説く。アメリカのホームオーナーズアソシエーション的なものとのこと。若い世代の価値観からすると、田園都市線沿線が避けられるかもしれないというあたりは説得力あり。

  •  前半は、詳細なデータ分析、アンケート分析だが、後半の大胆な断言の方がおもしろい。

    (1)郊外の衰退するオールドタウンに対するマネジメントのために、よく言われる地主組合とか、斉藤広子先生が提案している(p193)が、むしろ、デベロッパーか、やる気のある地権者が管理会社を立ち上げて、地区運営をどんどん手がけた方がいいのではないか。

     どうせ年寄りが多くて実践をみせなければだめだから、まず、事業をしているという発想が大事だと思う。

    (2)田園都市線沿線は、住みたい街だが、働きたい街ではないという世論調査を逆手にとって、東急が二子玉にシェアオフィスを構えているのもおもしろい。(p166)

     このままだと、東急線沿線は衰退していくので、ここで、職住近接型のくさびをうって時代を先行しようとする意気込みがいいと思う。

    (3)新しいビルに魅力がなくなり、路地の魅力が再生しつつある。(p187)

     これも実感にあっている。大手デベロッパーに聞かせてやりたい。無理して、再開発をしなくて、リノベーションとかコンバージョンでこつこつ稼ぐ技術、ノウハウを磨くべき。

  • これだけのアンケート情報などの分析からすると、何も特徴のない郊外は過疎化が激しくなると現実味がある。実利の埼玉、千葉は、納得感があるな。

  • 首都圏の話です。
    ですから、福岡に住む人には、あまり関係ない話。
    でもないけど、これは!、という目を惹くような内容は、あまりなかったように思います。

  • 首都圏の住宅問題をえぐる新書を連読していますが、これもまた首都圏に視野が狭まった分析で、田舎に住む私には何も響きませんでした。極論すれば、近いうちに大震災で壊滅するはずの首都圏にこれからも支出すべきか、五輪後を見すえて議論すべきだと思います。

  • 資料を並べただけ。

    特筆する事は無し。

  • 期待してたのだが退屈だった

  • 2016年6月6日読了。国勢調査や住みたい街/住んでよかった街などのアンケート結果をもとに、団塊世代・団塊ジュニア世代がどこに住んでいてどこに住みたいと思っているかを分析し、日本の住宅の将来像を描く本。一般消費者へのアンケートとは別に、コンサルタントやマーケティングの専門家にもヒアリングし、その結果の傾向と比較しているのがとても興味深い。かつての「ニュータウン」がオールドタウン化・そしてゴーストタウン化するのは避けられない流れだが、人口減・収入減・嗜好の多様化がさらに進む将来の日本は、積極的にクルマや住宅など所有物の共同化を進め、老若男女多様な人材が多様な場所で暮らす社会を目指すべき、という結論は妥当に思える。将来の働き手の減少=ラッシュが緩和される、ということでもあるもんな。「日本が変わる」という楽観的な期待は決して持てないが、すでに動き出している企業や自治体、個人もあるようで、自分も「多様化」を推し進める人材の一人ではありたいものだ。

  • 第1章を立ち読みし、面白そうだと思って買って電車の中で読んだのだが、第2章以降はほとんど斜め読みした。
    私の実家も郊外にあるので、郊外物件が売れずにゴーストタウン化することは他人事ではない。だから第1章で食いついたのに、第2章以降は結局どんな町が人気あるのか、アンケート結果の羅列に終始し、またその分析も「マーケティング系」だの「コンサルティング系」だの、田園都市線沿線はブランド好きだの、ややもするとステレオタイプ的な軽~い分析にとどまっている。また、結局、郊外はこれからゴーストタウン化するから、これからどの街が人気でるかよく見極めた方がいいよっていうだけの本だったのかと、期待を裏切られた感じの記述が続く。
    第1章に対する答えは最後の第6章になってようやく書かれていて、ホント、第1章と第6章だけ読めば十分だった。まあ、第6章だって、問題の深刻さを指摘した第1章に対する答えとしては薄いというか、きれいな言葉だけ並べたてている感が否めない。
    もっと立ち読みしておけば買わずに済んだかもしれない・・・。

  • 三浦さんの本は読んだことなかったが町村敬志さんが書評していたので読んでみた。データに基づいて論が進むのでおおむね信頼できる。コンセプトをかかげる段になるとややホントか?という部分もあるが、東京の郊外出身者としても腑に落ちるところが多く勉強になった。問題の現状をつかむには良い。

  • 2015年4月15日読了。

  • タイトルが面白そうで即決したが、面白いと思えなくなったので、途中で古本屋に売却。
    作者の方、スミマセン。

  • 市区別の発展性、衰退性をデータとして列挙。目黒区を含む城南地区は、安定している。

  • 郊外に衰退が進みつつある地域が増える一方、仕事の場を郊外に定める動きも起きている。新しい暮らし方、働き方を模索する1冊。

  • 《目次》
    第1章 あなたの街がゴーストタウンになる!
    第2章 発展する街・衰退する街はどこか?
    第3章 団塊ジュニア以降の世代はどこに住むのか?
    第4章 団塊世代は親子二世帯同居をするか?
    第5章 どういう郊外が生き延びるか? 
    第6章 郊外をゴールドタウンにする方法
    《内容》逗子市図書館
    第6章がミソか?

  • 郊外を放置すれば高齢者だけのゴーストタウンになる。働・学・憩・農の機能を持つ魅力的な地域にすれば若者も住むゴールドタウンになる。

    行政を待ってるだけじゃなく、オール地域でがんばったところが生き残るんだね。

  • 議論の土台になる1~4章は飛ばして5,6章だけ読んでもOK。関東首都圏において、所有から共有への消費の変遷から郊外の目新しい役割と発展の指針を提示してくれている。

  • 【読書その52】著者は出向していた新潟県上越市出身の三浦展氏。ちなみに大学の先輩でもあり、非常に親近感。本書のテーマは、自分の仕事とも大きく関わる、今後の人口構造の変化に伴う、都市部の状況の変化。住まいの視点から見える、東京の将来の姿。2025年には人口が一番多い層である団塊の世代が75歳以上になりきる。早期に日本社会を総点検し、取るべき手をとらないといけない。自分自身のプライベートを考えても、自分の住まいをどこに置くか、長期的なスパンでみるべきだと感じた。

  • 東京圏特に千葉、埼玉、神奈川までを中心に団塊の世代と団塊ジュニアの人口動態や、住みたい街、住んで良かった街などのアンケートなどを使って今後どの沿線、地域に人が集まるかなどを予想している。

    国交省資料を見ても高齢化と人口減は当面避けられないが、実際に郊外ではマンションの空室率が増えている。ホームズなどで見ても東京都でも東青梅までいくと1DK365万円の中古マンションが有る。しかし、誰がそれを買いたいと思うかだ。

    ニュータウンがオールドタウンになり、ゴーストタウン化に向かう今それを防ぐにはどうするかについてはあまりパッとした答えはない。
    例えば無個性な開発を批判してるのは誰もが納得しても、旧い街と路地が多いのがいいと言われてもねえ。散歩したくなる街をイメージしてるのだろうけど。

    住民自らが地域を守れるような行政上の仕組みが必要と言うのはその通りとしても、そのモチベーションは住んでる地域に愛着があることだから何かのきっかけは必要。美観や風景を良くするのも各論では利害が対立するのでその合意形成をどうやるか。これも住んでる人がやるしかない。ここら辺はイタリアの小都市の話の方が説得力が有った。

  • 特に目新しい概念もなく、データの羅列と既刊本との連関を示し、他の書籍からの引用で締め括られているという印象。

  • 読了。
    …といっても、「調査報告書」みたいで書籍としてはどうか…とも思うが、逆に調査報告書だと思って読めば、なかなか興味深い。いつもの三浦氏らしく、やや牽強付会なところも散見されるが、三浦氏自身が「仮説」であり、「ブレスト」と書かれているのだから、そう思って参考にすればよい。

  • 社会と時代の移ろいの中で庶民の棲むということすら市場原理主義に動かされてきた。今後は暮らしていく街の住宅地マネジメントが必要になる・・。

    ああ、暮しの平穏ってどこにあるのか、新しい地域コミュニティなんて幻想なのだろうな。

  • 人が少なくなると下水が流れなくなる。。まぁそう言われればそうだよな。。人は社会的な動物なんだから、一緒に生活しないとだめだと思うけどね。。中途半端にくっついてるのは五月蠅いけど。。大勢いれば五月蠅くないのかな。。昔新しい産業ができて、若い人が移り住んできて、街ができて、その産業がなくなって若い人がまた別の産業のあるとこへ移動していってその街がなくなる。。の繰り返しなんだろうな。昔からずーっと同じところに住んでるわけじゃないからな。。

  • データに基づいて、今後訪れるであろう日本の将来像を提示した作品。
    前半はデータ分析が中心でそこまで面白くはない。いくつか感心させられる事実もあったが、基本はわかっていることの羅列。この部分は、今から家を買うならどこに住めばよいか、の参考になるという意味で一読の価値あり。郊外が消えるというか、消える郊外もあれば消えない郊外もある、という方が正しい。
    後半はそれに基づいた筆者の意見が中心になってくるわけだが、ここに関してはちょっと色々と意見を挟みたい部分も多く、一息といったところ。この本の価値は、どちらかというとデーター集として有用という点にあるのではないだろうか。

  • 調査の分析が主眼だが、サンプル数が少ない印象。結論はオーソドックスで新味はそれほどない。団塊Jr.世代の分析に対してはやや違和感も残る。

  • 分析の仕方と見せ方がとても参考になる。
    かつての住宅地がゴーストタウン化する指摘と、「ゴールドタウン」 化の提案。やっぱり仕事の場所が分散されるのが望ましいなあと、郊外から1時間以上かけて通勤する会社員は思うわけです。

  • ●:引用、→:感想
    ●前章でも述べたように、第四の消費社会においては、新しいものがよい、正しい、カッコイイという価値観ではなくなる。新しいものでも、無駄なもの、意味の無いものつくってほしくない人が増えている。古いものをうまく利用したほうが面白いと考える人が増えているのである。まだ使える古い建物を壊して、無味乾燥でつまらないビルにしてほしくないのである。(略)五反田も大崎も品川も、再開発によって同じようなのっぺりとした街になってしまった。そんな開発をわれわれは求めていない。その逆である。われわれは都市の中に、毛細血管のような路地があり、その路地を歩き回ることを身体的な感覚として求めているのだ。それはまさに、第四の消費社会的な感覚である。第三の消費社会までは、近代化を推進することがよいことだ思われていたので、コルビュジェ的な人工都市をつくることが正しいと思われていた。まっすぐで広々とした街路が張り巡らされ、巨大なビルの中に人間の生活がすべて吸収される。そういう都市がいいと信じられた。しかし、単純な近代化を終えた第四の消費社会においては、人々はそんな単純なモダニズムを信じたりしない。人々は、広くてまっすぐで単調な道路を嫌い、狭くて曲がりくねって複雑な路地を好み、自動車を嫌い、歩くことを好み、ピカピカの巨大なビルを嫌い、古くて小さな味のある建物を好むようになったのである。これは退歩ではなく、成熟である。

    →近年、ちいさんぽやブラタモリといった街歩きが人気なのも、都市生活者が成熟した(第四の消費時代に入った)証のひとつと言えるのか。
    →「階級都市 格差が街を侵食する」も参照。 

  • 人口動態予測やアンケートなどから、今後の首都圏各地域の特徴や街のあり方を分析している。かつてのニュータウンがオールドタウンになり、ゴーストタウンになる過程や、その現象がはやく実現化する地域を予想している。価値観や生活様式の変化によって起きている変化にも納得させられる。2010年に13%だった日本の空き家率が、今から17年後の2030年には43%になると予測もあり、今後は地域間の格差が広がっていくと思われる。日本の大きな問題の一つになるだろう。

  •  かつて東京圏には人があふれ、郊外に大量の住宅が供給された。今後、日本全体が人口減少社会へと転じていく中で、空き家は40%にもなるといわれ、通勤に不便な郊外はゴーストタウン化することが懸念される。今後の郊外の発展には何が求められるか。

    ・働く場所になっていくことがより強く求められていくのではないか
    ・「第四の消費社会」が求めるのは「のっぺりとした街」が作られるような開発ではない
    ・これからはリノベーション時代である
    ・住宅地のマネジメントが必要

     多くのデータが集められた迫力ある一冊。ただ内容としては、すでに都市の研究者間で共有されているものではないだろうか。2012年発売だが、今さらな感あり?

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著者プロフィール

三浦展(みうら・あつし)
1958年生まれ。社会デザイン研究者。カルチャースタディーズ研究所代表。家族、若者、消費、都市、郊外などを研究。著書に『 「家族」と「幸福」の戦後史――郊外の夢と現実』 (講談社現代新書) 、 『ファスト風土化する日本――郊外化とその病理』 (洋泉社新書) 、 『東京は郊外から消えていく!』 『首都圏大予測』 (光文社新書) 、 『愛される街』 (而立書房)などがある。

「2022年 『中央線がなかったら 見えてくる東京の古層』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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